健常人でも前腕回内位(手の甲が正面を向いた状態)で外転挙上を行うと、大結節が肩峰下で引っ掛かり(インピンジメント)外転挙上が出来ません。逆に前腕回外位(手のひらが上を向いた状態)で外転挙上を行うと肩峰下を大結節が通り抜け、180°挙上肢位を保持することが出来ます。 肩に疾患がある患者さんの場合、前腕回外位で外転挙上を行っても、肩峰に大結節が引っ掛かり挙上困難になることが多く見られます。なぜならば、肩甲上腕関節内の軟部組織に癒着・短縮が起き正常な運動軌跡(normal tracking)を保てず、大結節が肩峰下を通り抜けることができないからです。 理学療法士は正常な機能を獲得するために、変性した軟部組織に対し評価・治療を行います。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
膝を屈伸する時などに、関節が「ポキッ」と鳴る現象をみなさん一度は経験があると思います。この音の原因はいくつか説がありますが、「関節の中を液体が移動する時に気泡が破裂する音」という説が一般的です。 関節の音が鳴ること自体はそれほど気にする必要はないと思われますが、痛みや違和感なども伴うようであれば、変形性膝関節症や半月板損傷などの可能性も考えられますので注意が必要です。 リハビリテーション科 奥山智啓 |
肩甲上腕関節(肩関節)には大きな関節包が付着しています。 関節包は広く薄いため上方・前方が靱帯により補強されています。そして、上下関節包が相対的に等しくなるのは肩関節外転45°位と言われています。下垂時は上部の関節包が張っており下部の関節包は弛んでいる状態にあり、挙上時は上部の関節包が弛んで、下部の関節包が張っている状態になります。 つまり、上肢が下垂位の場合、下部の関節包は弛んでいる状態にあり、癒着・短縮が起こりやすく肩関節挙上制限の一要因になっていると考えられます。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
膝を伸ばしてリラックスした状態のとき、膝蓋骨の下端は膝関節の裂隙(関節の隙間)の高さに一致するのが正常といわれています。例えば、膝蓋骨の下端が関節裂隙よりも上にあれば大腿四頭筋など膝蓋骨の上方に付く組織の緊張が高くなっているか、膝蓋骨の下方に付く組織が損傷していることや緩くなっていることが予測されます。膝関節を曲げるときには、膝蓋骨が下方へ滑るとともに回旋などの自転運動を伴い移動していきます。 膝蓋骨の位置や動きを把握することは、膝の痛みに対する治療や予防を行っていくうえで重要な情報源となります。 リハビリテーション科 奥山智啓 |
肩甲骨に関する主な靭帯として肩鎖靭帯、鳥口鎖骨靭帯(菱形靭帯・円錐靭帯)、鳥口肩峰靭帯があります。 各々の靭帯は肩甲骨の運動を制動する役割を持っています。その中でも鳥口肩峰靭帯は肩峰・鳥口突起とともにアーチをつくり、肩関節の安定化に関与しています。また、上腕骨の挙上時、腱板が収縮する際、上から抑えることによりレバーアームの役割を果たし、より働きやすく作用しています。 鳥口肩峰靭帯は常に腱板と接触しており、柔軟性の欠如が腱板断裂の一要因になっていると考えられています。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |