2015 年 3 月 のアーカイブ

「肝疾患治療の新しい視点」

2015年03月31日(火) 院長ブログ

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先日、名賀医師会臨床懇話会が開催されました。講演は「肝疾患治療の新しい視点」で演者は三重大学大学院医学系研究科消化器内科学准教授白木克哉先生でした。

今回の内容は主にC型肝炎の新しい治療に関するお話しでした。私は専門外ですのでほとんど肝炎に関する知識はありませんが、興味深く聴かせて頂きました。

白木克哉先生によりますと高齢者を含めC型慢性肝疾患はまだまだ増加傾向にあるそうです。

C型慢性肝炎の治療法には肝臓の炎症を抑え病気の進行を遅らせるための「肝庇護療法」と体内からウイルスを排除して治癒を目指すための「抗ウイルス療法」があります。「肝庇護療法」にはウルソデオキシコール酸やグリチルリチン酸―アンモニウム・グリシン・L-システイン塩酸塩水和物などがあります。

「抗ウイルス療法」として代表的なものはインターフェロンです。インターフェロンも私は名前くらいしか知りませんが、種々の理由によりインターフェロンが使えない場合や効かない場合も多いそうです。効きやすさはウイルス遺伝子型やウイルス量にもよるそうです。しかしながら最近では抗ウイルス療法」として内服薬で新薬が出ているそうです。これも効きやすさはウイルス遺伝子型によるらしいですが、型によっては高率に有効であるそうです。また新薬治療を受けられた患者さまの印象は白木克哉先生によりますと、だるさがとれた、精神的に楽になった、糖尿病のコントロールがよくなった、など概ね良好であったそうです。また透析患者でインターフェロン投与困難である症例にも新薬の内服薬が有効であったそうです。

今までの常識では考えられないように、肝炎治療において注射でなく内服薬で「抗ウイルス療法」ができるようになってきているということです。随分以前とは変わってきているようで、各方面で医学は進歩しているようです。素晴らしいですね!

リハビリ通信 No.147 変形性膝関節症に対する運動について

2015年03月29日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

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変形性膝関節症とは、膝関節の関節軟骨が摩耗した結果、痛みが生じてくるというものです。そしてテレビや雑誌などでも「変形性膝関節症に対する運動」として筋力トレーニングを推奨しているものをよく目にします。「筋肉を鍛える」と聞くと、運動しなければならないと考えるでしょうし、もちろんその通りなのですが、この運動の方法を間違えると更に関節軟骨を摩耗させることとなってしまいます。

日頃、患者さんからも「筋肉を鍛えるために頑張って歩いた方がいいですか?」とよく聞かれます。歩くということは、膝関節には荷重がかかります。そして、それが負荷となり、痛みを更に強くすることがあります。そのため理学療法の中では、「関節に荷重をかけることなく筋力を強化する」ということを実施しています。立位(立った状態)、歩行、階段昇降などでは、荷重がかかってしまいます。なので、寝た状態、座った状態など、膝関節に荷重が加わらない肢位で膝を伸ばす運動などを指導しています。その方が関節に負担をかけることなく、筋力を強化できると考えるからです。

我々理学療法士は、このような運動指導を行い、痛みを助長することなく筋力強化を図るような運動療法を実施しています。

リハビリテーション科 小野正博

待ち時間のお知らせ (3月23日~3月28日)

2015年03月28日(土) 待ち時間のお知らせ1新着情報

3月23日~3月28日

待ち時間のお知らせ (3月16日~3月20日)

2015年03月21日(土) 待ち時間のお知らせ1新着情報

3月16日~3月20日

第4回ラグビードクターフォーラム

2015年03月21日(土) 院長ブログ

ラグビードクターフォーラム

先日、第4回ラグビードクターフォーラムが開催され出席しました。

シンポジウムは「スポーツ現場における救命外傷の対応」で顔面領域、腹部損傷、整形領域、World Rugbyと4つの分野についてそれぞれ第一人者の先生から講演がありました。

顔面領域は「スポーツ現場における顔面外傷の診断と治療」で講師は日本大学医学部形成外科学系形成外科学分野准教授副島一孝先生でした。顔面骨折は一般に鼻骨骨折、頬骨骨折、下顎骨骨折、眼窩底骨折の順に頻度が多いそうです。それぞれの骨折について、スポーツ現場での診断法、応急処置、治療の実際について解説してくださいました。質問にもありましたが、顔面領域は脳外科、眼科、耳鼻科、口腔外科などの境界領域であり、専門治療を要する場合にどの科に紹介するか難しい場合もあると思いますが、副島一孝先生はまず形成外科にご紹介くださいということでした。しかしながら形成外科のない病院も多いので、やはり悩ましいところですね。

腹部領域は「ラグビーに関連した腹部外傷における診断・初期治療とピットフォール」で講師は東京慈恵会医科大学消化器外科診療部長三森教雄先生でした。ラグビーにおける腹部外傷は鈍的外傷が主体で、重症臓器損傷に至る頻度は比較的少ないものの、固定された後腹膜臓器(十二指腸、膵臓、腎臓など)、肝臓、脾臓は傷害を受けることがあるそうです。また、腸管穿孔、腸間膜血腫による血流障害なども起こりえるそうです。現場では、迅速に丁寧な腹部触診、打診、聴診をもとに痛みの程度、脈拍、血圧、呼吸状態などから、重症度を推測することが基本になるそうです。軽度損傷では受傷早期に腹膜刺激症状が乏しく初期診断が困難なことがあるので経時的な診察が肝要であるということでした。現場で行うべきことは安静、患部の冷却、下肢挙上などに限られるので、血圧、脈拍の変動を伴うようであれば初期輸液を開始しながら救急医療機関への搬送が必要になります。

整形領域は「ラグビーにおける足関節・足部外傷の診断と治療~応急対応から復帰まで~」で講師は奈良県立病院機構奈良県総合医療センター副院長杉本和也先生でした。杉本和也先生は同志社大学ラグビー部チームドクターでラグビー日本代表カテゴリー帯同の経験も持っておられるラグビーに特化したスポーツドクターの第一人者です。各種靱帯損傷、インピンジメント症候群、骨軟骨損傷、疲労骨折などの診断と治療などに関して詳しく解説してくださいました。免荷による筋萎縮により復帰が遅れないように注意を要することを指摘されました。私は厚生連松阪中央総合病院勤務時代に、光栄にも杉本和也先生に直接ご指導頂く機会に恵まれました。

World Rugbyは「World Rugbyにおけるピッチサイドでの外傷対応(診断と治療)」で講師は流通経済大学スポーツ健康科学部スポーツ健康科学科教授山田睦雄先生でした。山田睦雄先生はWorld Rugby Medical Committeeを務められ日本ラグビーフットボール協会メディカル委員会委員・安全推進対策委員会委員・競技力向上委員会委員を勤めておられます。ラグビーのピッチにおいては頭部外傷・脊髄損傷・心疾患・呼吸器疾患・胸部外傷・腹部臓器損傷・出血性ショックなどを発生しうるし、会場内または観客席では呼吸器疾患、循環器疾患などが発生しうるということです。山田睦雄先生はWorld Rugbyが世界的に展開しているプログラム「Immediate Care In Rugby」を紹介されました。

基調講演は「プロサッカー選手における外傷と治療~日本代表チームにおけるメディカルサポート~」で講師は順天堂大学医学部整形外科講座先任准教授池田浩先生でした。サッカーはラグビーに先駆けて自国でのワールドカップ開催も果たしていますし、人気の面でもラグビーの一歩先を行っています。日本代表チームのチームドクターとして活躍された池田浩先生のお話は大変興味深く参考になるものでした。池田浩先生はラグビーに関わっている人ばかりの中での講演発表なので、完全アウェイでやりにくいと冗談でおっしゃっておられましたが、会場の皆さんは大変熱心に聴いておられる様子でした。