2018 年 12 月 のアーカイブ

第98回全国高等学校ラグビーフットボール大会

2018年12月30日(日) 院長ブログ

本日、東大阪市花園ラグビー場、花園中央公園多目的球技広場におきまして、第98回全国高等学校ラグビーフットボール大会2回戦が開催されました。グラウンドドクターとして参加いたしました。

今日はシード校も全て出場し全部で16試合が東大阪市花園ラグビー場第Ⅰ、第Ⅱ、第Ⅲグラウンドの3つのグラウンドで行われました。今日は大会期間中最も試合の多い日です。それぞれの試合にはドクターが4人ずつ(メインスタンド側に2人とバックスタンド側に2人)待機しますので、ドクターも大勢の方が出務しておられました。私は主に第Ⅱグラウンドのバックスタンド側が持ち場でしたが、寒風の凍てつく寒さの中でも好天による冬の日差しが有り難かったです。長時間になりますと、体が芯から冷えてきますので…。

来年の2019ラグビーワールドカップ日本大会開催に向けて新装なった東大阪市花園ラグビー場という最高の舞台で、いずれの選手たちも闘志あふれるプレーを披露し、見事な熱戦ばかりでした。見た試合の中では岡山県立玉島高等学校の選手の低いタックルが特に光っていました。低いタックルで体格に勝る相手の突進を止めて試合の流れをたぐり寄せ、見事な逆転勝利に繋げていました。しかしながらこの試合の様な接戦よりも、力の差が大きいことによるワンサイドゲームも多かったようです。Bシード校の常翔学園は力の差を見せて67-0のスコアで勝利したようですが、常翔学園に敗北したチームはその前の試合で110-0という記録的スコアで1回戦を勝利しています。いかに出場チーム間におけるチーム力格差が大きいかというあらわれであると思われました。今後、岡山県立玉島高等学校のように公立高校で全国大会に出場し、更に勝ち進むというのは、なかなか至難の業になってくるのかもしれませんね。

強豪校の充実ぶり、チーム力の進化には目を見張るものがありますが、学校間において、また地域間においてどんどん実力差は開く一方のように思われます。この地域格差、学校間格差を将来的に少しでも軽減することができればいいですね。

「ラグビー競技におけるジュニア選手への安全対策」

2018年12月29日(土) 院長ブログ

先日、関西協会医務委員会総務部会・学術部会におきまして、聖隷三方原病院脳神経外科部長佐藤晴彦先生が日本ラグビーフットボール協会安全対策委員会で調査発表された「ラグビー競技におけるジュニア選手への安全対策」について報告して下さいました。佐藤晴彦先生が解説して下さいました内容について、少し紹介したいと思います。

平成24年度日体協スポーツ医・科学研究報告では発生頻度(事故件数/加入者数)は全外傷で順に①ラグビー、②柔道、③バスケットボール、膝前十字靭帯損傷は①ラグビー、②柔道、③バスケットボール、足関節捻挫は①バスケ、②バレーボール、③ラグビー、重症頭部外傷は①ラグビー、②柔道、③バスケットボール、であるそうです。ラグビー、柔道、バスケットボールは外傷が起こりやすいスポーツであると言えそうです。平成25年日本スポーツ振興センターの調査では運動部活動の頭頚部外傷の発生頻度は全外傷では①ラグビー、②自転車、③相撲、死亡・重度の障害事故は①ボクシング、②ラグビー、③柔道であり、やはりラグビーは頭頚部外傷が多いスポーツと言えそうです。

佐藤晴彦先生によりますと子どもの脳の特徴は、脳の発達段階あるので髄鞘が未発達、頭蓋骨が薄い、体に比べ頭が重い、頚部筋群が未発達などであるようです。脳振盪などの頭部外傷が発症しやすく、症状が長引きやすいという特徴もあるようです。管理上の問題として、症状をうまく訴えられない、症状をうまく捉えられない、医学的データが少ないなどがあるようです。

ラグビー競技におけるジュニア選手への安全対策は競技規則、技術的対策、医学的対策などがあり、外傷の発症と悪化を防ぐことが目的であるということでした。競技規則ではワールドラグビーは19歳未満の標準競技規則としてスクラムの制限(1.5m以上押さない、人数の制限)、ハーフ35分以内などを定めた創です。日本ラグビーフットボール協会はU-8低学年では2018年以降タグラグビーを導入するそうです。コートの大きさもU-14以上は標準ですが、年齢が下がると共にコートが小さくなり、試合時間も短く設定されています。

日本ラグビーフットボール協会の重症傷害報告で頭部重症群(2000-2016年度)では原因として「タックルして」が最も多く、ついで「タックルされて」であり、脳振盪報告(2012-2016年度)では脳振盪の原因となったプレーは「タックルして」が52%で最も多く、ついで「タックルされて」が29%で次いで多いということでした。頭部関連競技規則の変更では1984年に脳振盪を起こした選手は3週間試合練習不可、1985年にモール・ラックの姿勢で頭・肩は腰より高く、1996年に危険なプレーは10分間の一時退出、2006年に19歳以下はヘッドギア・マウスガードを装着、2009年に危険なタックルの罰則化(一時退出・退場)、2016年に危険なタックルのさらなる罰則化であるそうです。

日本ラグビーフットボール協会普及育成委員会小学生部門ではU-8で2018年4月からタグラグビーを導入しており、ボールの争奪がない、コンタクトプレーがないという特徴があり安全が確保されラグビーに親しむと期待されています。コンタクトスキルは肉体的準備が整った高校生年代から本格的に取り組むということでした。

医学的対策では医学的知識普及、啓発活動として、安全推進講習会、WR脳振盪ガイドライン、脳振盪国際会議、Child SCAT3などがあり、サーベイランスと して重症傷害報告書、脳振盪報告書などがあります。安全推進講習会は関東・関西・九州協会安全対策委員長、医務委員長から都道府県協会指導者・コーチ・トレーナー、そして各チーム全選手に伝達するようにプログラムされています。

佐藤晴彦先生はLTPD(Long-term player development)という概念を紹介してくださいました。これは個人の能力や参加レベルを最大限に伸ばしてスポーツに関わり続けられるということでした。長期的視野では楽しむステージと発達するステージがあり、楽しむステージは対象年齢の目安が6~12歳、プレーヤーは遊ぶ、コーチは導くという立場で、内容は動くことやラグビーの基本スキルを学ぶということでした。発達するステージは対象年齢の目安は12~16歳でプレーヤーは探求する、コーチは教える、内容はゲームを学ぶ、ということでした。

佐藤晴彦先生は、指導者はLTPDに即した指導を心がけ短期的成果を求めないこと、保護者はジュニアの脳は発達途上であるということを理解すること、レフリーはゲームコントロールする笛を心がけることなどがジュニア世代の重症外傷予防のためのメディカルサポートとして重要であると強調されました。

待ち時間のお知らせ(12月25日~12月28日)

2018年12月29日(土) 待ち時間のお知らせ1新着情報

骨粗鬆症とともに Vol.25 簡単な脊柱変形の診断方法

2018年12月27日(木) 新着情報1骨粗鬆症

整形外科の日常の診察場面では、患者様の最近背が縮んでしまった…とか、背中が曲がってきた…というような訴えをよく耳にします。そのような場合私達医療従事者は、いわゆるいつのまにか骨折を起こしていないかを疑って、身体所見を確認します。

壁際に直立した時、壁に後頭部が着けられない場合には、胸椎レベルに椎体骨折が存在する可能性があります。立位の後方から、肋骨と骨盤の間に手を入れて2横指未満であれば、腰椎レベルで椎体骨折が存在する可能性があります。患者様の訴えを聴き、身体所見を確認した上で、更なる検査の必要性を判断します。

このような方法は自宅でも簡単にできますので、気になる方は一度試してみてほしいと思います。

骨粗鬆マネージャー 石山 瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

引用、参考文献

骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015年版、骨粗鬆症治療の予防と治療ガイドライン作成委員会編集、ライフサイエンス社 2015

待ち時間のお知らせ(12月17日~12月22日)

2018年12月26日(水) 待ち時間のお知らせ1新着情報