2019 年 1 月 のアーカイブ

骨粗鬆症とともに Vol.26 橈骨遠位端骨折

2019年01月31日(木) 新着情報1骨粗鬆症

骨粗鬆症が原因で起こる骨折の中の一つが橈骨遠位端骨折(手首の骨折)です。椎体(背骨)、大腿骨近位部(足の付け根付近)の骨折に次いで多いとされています。

肘から手首までには橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)という2本の骨がありますが、親指側にある橈骨の手首に近い部位での骨折のことを指します。転んで手をついてしまったと訴えて来院される患者様がほとんどで、もう片方の手で支えないと我慢できないような強い痛みを伴います。

この骨折は50歳代後半から増加し、60~70歳代が最も高いとされています。また受傷場所は屋外が多く、活動性の高い、比較的若い高齢者が多いという特徴があるようです。

治療法は日常生活や全身状態、骨折の状態によって判断します。ギプスや装具の固定による保存的治療を行う場合や、手術治療を行う場合もあります。骨折前の可動域を獲得するために、リハビリ治療が必要な場合もあります。

橈骨遠位端骨折は連鎖する脆弱性骨折の最初に起こる骨折であるとされています。骨折の治療と並行して骨粗鬆症治療を開始し、長期に継続してもらうことで骨折の連鎖を防止することが重要であると言われています。健康で自立した生活をより長く送っていただけるよう私達も治療に対する支援をさせていただきたいと思います。

 

骨粗鬆症マネージャー 石山 瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

整形外科の疾患&治療 津村弘監修 メディカ出版 2017

整形外科看護 第22巻12号 メディカ出版 2017

待ち時間のお知らせ(1月21日~1月26日)

2019年01月26日(土) 待ち時間のお知らせ1新着情報

リハビリ通信 No.284 STT関節障害について

2019年01月24日(木) QAリハビリテーション科1新着情報

母指CM関節周辺の痛みを有する方は非常に多く、このような場合、同部位(CM関節)の変形性関節症を疑います。しかし近年、このCM関節のすぐ横に位置するSTT関節における関節障害との鑑別が非常に重要であるという報告が散見されるようになってきました。

STT関節とは、舟状骨(Scaphoid)、大菱形骨(Trapezium)、小菱形骨(Trapezoid)から構成される関節(下図を参照)であり、母指CM関節のすぐ隣に位置するために疼痛部位もCM関節症の疼痛と非常によく似ています。しかし、このSTT関節は手関節の運動に関与する関節です。一方、母指のCM関節は母指の運動に関与するため、両者の関節障害を鑑別するためには「母指の運動で疼痛が誘発されるのか」、または「手関節の運動によって疼痛が誘発されるのか」を評価すればどちらの問題なのかが判断できます。

当院では、このように責任病巣がどこなのかを的確に評価できることを目指して運動療法を実施しています。

リハビリテーション科 小野正博

介護保険主治医意見書研修会

2019年01月23日(水) 院長ブログ

先日、名賀医師会におきまして介護保険主治医意見書研修会が開催されました。講演は「特養での生活~笑顔あふれる生活の実現~」で講師は社会福祉法人弘仁会特別養護老人ホーム国津園施設長布川高宏氏でした。

布川高宏氏によりますと社会医療法人弘仁会の法人理念は高齢者福祉においては「私が暮らしたい施設を作ると共に、私が使いたいサービスを提供すること」で、児童福祉においては「子どもたちの伸び行く可能性と、笑顔にあふれる未来のためにサポートする。」ということで、「全ての人が笑顔になれるように…」ということでした。社会福祉法人弘仁会は1989年に設立され、1990年に特別養護老人ホーム国津園を事業開始したそうですが、現在では3カ所の保育園も手がけているそうです。特別養護老人ホーム国津園は住宅地の近くですが、豊かな自然と美しい四季を感じられるロケーションであるそうです。

布川高宏氏によりますと、特別養護老人ホームは社会福祉法人や自治体が運営する「公的施設」であり、有料老人ホームは民間企業が運営する「民間施設」であるということでした。特別養護老人ホームは重介護者の保護に重きが置かれているために、65歳以上で原則的に要介護度が3~5であることが入所条件となっているそうです。一方、有料老人ホームの場合、施設により入居条件は異なるそうです。特別養護老人ホームは入居者の費用負担が安いことが最大の魅力で、有料老人ホームでは入居一時金は不要のところから数千万円かかるところもあり、施設によって様々であるそうです。

特別養護老人ホームの重点化ということで、平成27年4月から、原則、特別養護老人ホームへの新規入所者を要介護3以上の高齢者に限定し、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設としての機能に重点化したそうです。他方で、要介護1,2の方についても、やむを得ない事情により、居宅での生活が困難であると認められる場合には市町村の適切な関与の下、特例的に入所することが可能であるそうです。布川高宏氏は平成29年に医療と介護の連携に関する意見交換における主なご意見として、特別養護老人ホームの配置医は、健康管理と療養上の指導だけではなく、看取りや急変の対応について本人や家族、職員と話をすることも求められてきているが、改めて配置医の役割や処遇を見直して、これから看取りが求められる時代にふさわしいあり方にしていく必要があるという意見があったことを紹介されました。身体的拘束等の適正化の推進も図られているそうです。特別養護老人ホームの入所基準は、入所順位決定基準があり、本人の状況(要介護度)、介護の必要性、家族等介護者の状況を点数化し、点数が高くなると優先度が上がり、入所検討委員会があるそうです。

特別養護老人ホーム国津園では理念とミッションを実現するために様々な試みがなされているようです。桜祭り、家族のつどい、納涼盆踊り大会、敬老祝賀会、居酒屋くにつ、外出行事(ピクニック、お買い物)、つつじが丘交流会、余暇活動(クラブ活動、喫茶店)、日常生活におけるリハビリテーションなど行事が目白押しだそうです。サービスの質向上のための委員会として、身体拘束廃止検討委員会、事故発生防止委員会、褥瘡予防委員会、認知症ケア委員会、医療安全委員会、感染症蔓延予防委員会などがあるそうです。サービスの質の向上のための今後の取り組みとして、個別ケアの推進、介護ITCの導入などを挙げられました。介護記録ソフトと入力用タブレットの導入を行い、コミュニケーションを活性化しケアの質の向上を図っているそうです。

理念とミッションの実現に向けて着々と活動しておられる布川高宏氏の行動力に感心いたしました。

Sport Japan vol.41

2019年01月20日(日) 院長ブログ

Sport Japan vol.41の特集は”ストレスをプラスに変えると…”ストレスがある、だからこそスポーツは魅力満載!です。

東北大学教授井樋慶一先生によりますと、ホメオスタシス(恒常性)をかく乱するのがストレスで、ストレスに対する生体の応答は大きく二つに分類されるそうです。一つは視床下部や脳幹部と呼ばれる脳内領域を介し自律神経系が活性化されるそうです。もう一つの反応はホルモンを介するもので視床下部にある神経内分泌細胞の指令によって副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の合成・分泌が高まり、コルチゾールがストレスに対抗し、体を防御するそうです。この様に、生体はストレスに応答し瞬時(交感神経)と少し遅れた(副腎皮質ホルモン)、ダブルのプロテクト機構によって自らを守っているそうです。ストレスも「いいストレス」と「悪いストレス」に分類されるそうで、その日のストレスをその日のうちに解消するため運動の重要性を考え、実践しているということでした。井樋慶一先生はストレスを克服してアスリートが目標を達成していくために、欠かせないのは冷静な判断とユーモアの精神であると述べておられます。

日本女子体育大学運動科学科長佐々木万丈先生によりますと、ストレスがない状態は、いわば無菌室で育った状態と同じ事で、人はある経験に対処し、学び、それゆえ免疫もできて適応力も高まるので、人として生きるためにストレスは大切なものであり、スポーツもそれを学べる大切な場の一つであると述べておられます。

大阪市立大学大学院医学研究科運動生体医学教授吉川貴仁先生は、”ストレスとの上手な付き合い方”について解説しておられ、ストレスの対策法として自分のストレスの存在に気づく、見方を変える、人は弱い者ということに気づく(大丈夫だと思わない)事を挙げられ、マインドフルネス、コーピングが有効であると述べられました。

他にも様々な立場から専門家がスポーツとストレスの関係について解説してくれています。スポーツにおいてもストレスとの付き合い方が大事ですね。とても参考になりました。