2020 年 3 月 のアーカイブ

リハビリ通信 No.316 挙上時の上腕骨と肩甲骨の動きについて

2020年03月29日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

上肢が挙上をする時、肩関節では上腕骨大結節部(棘上筋・棘下筋・小円筋が付着する骨隆起)が肩甲骨の肩峰下をくぐり抜け中へ滑り込み、徐々に最大挙上(肩関節屈曲180°)に近づくと上腕骨大結節部が外旋をしながら後方へ出て行きます。

つまり肩関節屈曲位と外転位、二つの動きの挙上範囲が肩関節の関節窩と上腕骨頭の動きで言えば、烏口突起〜肩峰の範囲と言えます。烏口突起に近い挙上経路(anterior path)は屈曲内旋位での挙上、肩峰下での挙上経路(posterolateral path)は外転外旋位挙上と考えます。

肩関節周囲炎により拘縮・癒着があり大結節が肩峰下に滑り込めず、正常な動きが出来ない場合、どの部分が原因で上腕骨頭が動けないのか評価し改善することを理学療法では進めていきます。

リハビリテーション室長 見田忠幸

待ち時間のお知らせ(3月23日~3月28日)

2020年03月28日(土) 待ち時間のお知らせ1新着情報

骨粗鬆症とともに Vol.39 骨折した家族を介護する方の現状

2020年03月23日(月) 新着情報1骨粗鬆症

高齢化が進む昨今骨粗鬆症による脆弱性骨折は増加を続けています。介護が必要となる原因の22.3%が骨折、転倒または関節疾患であるといわれており、健康寿命を延ばし介護状態を回避することが大きな課題と言えそうですが、実際に介護が必要になった方の家族の現状はどのような実態なのでしょうか。

介護が必要となった原因疾患は1位椎体(背骨)骨折26.6%、2位大腿骨近位部(足の付け根)骨折19.2%でした。介護を原因に転職、離職した人25%、離職したが再就職できた人は20.3%だそうです。介護を担う世代では、1位40~50歳代53.2%、2位60歳代と、働き盛りの世代が大多数を占めるようです。この中で5年以上介護した割合は24%だそうです。実際にどのような介護内容に負担を感じているかでは、外出の付き添いやサポート、トイレの移動、お風呂の介助などがあげられ、介護者の身体的な負担も大きい内容になっています。しかし実際に家族の介護を経験している方によると、身体的負担よりも精神的負担を感じている場合が多いようで、それは離職をして介護している方ほど強く感じているというデータがあるようです。

私達は日々脆弱性骨折などを起こした介護が必要な患者様と接していますが、その患者様を介護する家族の方々にも十分に目を向け、負担を軽減していくことが重要だと感じています。社会資源の調整、メンタルケアや傾聴で負担軽減に努めていきたいと思います。

骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

Osteoporosis japan PLUS 第4巻 第2号 ライフサイエンス出版株式会社 2019

Sport Japan vol.48

2020年03月22日(日) 院長ブログ

Sport Japan vol.48の第1特集は”人のため?自分のため?スポーツにおける「感謝」とは?”です。

トップアスリートのインタビューなどで感謝のことばを口にするプレーヤーをよく見かけますし、日々のスポーツにおいても、感謝の大切さを説く指導者は多いでしょうね。なぜスポーツには感謝が必要なのか、その意味を問えば、より深い導きが、また見えてくるということです。

茨城キリスト教大学生活科学部心理福祉学科講師岩﨑眞和先生によりますと、感謝には自身が価値ある何かを受け取っている(いた)ことに気づいて(認知)、「ありがたい」と感じ(感情)、その気持ちを表出する(行動)という3つのプロセスがあるということです。感謝は周囲の人々との関係をより円滑にし、幸福感や環境への適応感および精神的健康の向上に寄与するということです。岩﨑眞和先生によりますと、スポーツや趣味も苦しさや大変さ、投げ出したいほどの逆境を経るなかでより心からの感謝の念を抱けるようになっていくそうです。また感謝と甘えの間には正の相関関係があるということで、素直な甘えが許容されるほど自立/自律が促され、感謝の念も抱きやすくなるということです。岩﨑眞和先生は感謝を体験しながらスポーツライフを送れることが理想的とおっしゃいます。私は感謝について、ここまで深く考えたこともありませんでした。とても奥深い内容ですね。

國學院大學人間開発学部健康体育学科教授、剣道部部長植原朗先生は「礼に始まり礼に終わる」、「打って反省、打たれて感謝」などの剣道のことばを紹介されています。植原良朗先生は、感謝とは自然発生的にあるもので、ふとしたときに内から湧いてくるものであるとおっしゃいます。植原良朗先生によりますと、剣道で大切にされるものに「残心」があり、一本を取ったあとに、そこに心が残っているかどうか、油断しない身構えが、心構えが取れているかどうかが残心であるということです。一本を取ったあとにガッツポーズをしようものなら、一本は取り消しになるそうです。心構えとしても残心では、抜かりはないか、そして相手に対して失礼はないか、それが問われるそうです。日本古来の武道では共通した考え方なのかもしれませんが、他のスポーツではあまり一般的な考え方ではないように思われ、剣道の精神がスポーツ界全体に広がればいいのにと思いました。

その他にも、様々なキャリアの方々が、感謝について深く洞察されています。感謝について、一度振り返って考えてみるということは、スポーツの選手、指導者の両者にとって有益であると思われました。

第2特集は”ますます関心高まる「スポーツと多様な性」”です。日本スポーツ協会作成のハンドブック「体育・スポーツにおける多様な性のあり方ガイドライン」がスポーツの指導者と指導される側の両方に、有効に活用されるといいですね。

令和元年度公認スポーツ指導者全国研修会では岸見一郎氏による「スポーツにおける勇気づけ」の講演が開催されたそうです。岸見一郎氏は「嫌われる勇気」、「幸せになる勇気」などの著でアルフレッド・アドラーの考え方を紹介し、自己啓発の重要性を諭す哲学者であるそうです。岸見一郎氏によりますとオーストリアの精神科医であるアルフレッド・アドラーは「自分に価値があると思えるときにだけ勇気を持てる」と言っています。この勇気には「対人関係に入る勇気」と「課題の取り組む勇気」の二つの意味があるそうです。対人関係に入れば摩擦を生じるので、対人関係で傷つくことを恐れる人は多いが、生きる喜びや幸福は対人関係のなかでしか得ることはできないということです。課題に取り組むと結果が出るので勇気がいるということです。課題に取り組む勇気を持てるにためには、自分に価値があると思える援助を指導者はしなければならないということです。

岸見一郎氏は指導について、叱ってはいけないと言います。叱ることの問題は叱られた人が自分に価値があると思えなくなるからです。そうなると課題に挑戦する勇気を持てなくなるということです。また選手を叱る指導者は自分の指導に問題があることに気づいていないと言います。

岸見一郎氏は指導でほめてもいけないと言います。ほめるとは能力のある人が能力のない人に下す評価で、ほめることでは選手が自分に価値があると思えなくなるということです。アルフレッド・アドラーは「あらゆる人は対等である」と言っていることから、自分が対等だと見なされていないと思うと、自分に価値があるとは思えないということです。

それでは、どうすればいいのか。岸見一郎氏はアルフレッド・アドラーの言う「勇気づけ」が必要であると述べておられます。第1に結果ではなく、結果に至る過程に注目し「頑張った」という言葉をかけていくことが選手の勇気づけになるということです。第2に過去も未来もなくただ、「今」だけを考えてプレーできるように指導する必要があるということです。第3に「ありがとう」という言葉をかけることは勇気づけになるということです。選手を勇気づける言葉は「練習に来てくれて、ありがとう」、「練習が終わった時にも、ありがとう」であるそうです。そして指導者は選手を「尊敬する」ことが重要であるということです。

岸見一郎氏は、指導者は選手のモデルにならないといけないと述べておられます。何かの課題に取り組む時、何か理由をつけてそこから逃げ出そうとすることをアルフレッド・アドラーは「劣等コンプレックス」と言っているそうです。指導者の劣等コンプレックスを見ると選手たちは幻滅してしまうということです。「あの人についていきたい」と選手が思える指導者になることが重要であるということでした。岸見一郎氏の話はスポーツ指導者にとって重要なメッセージであると思いました。

待ち時間のお知らせ(3月16日~3月21日)

2020年03月21日(土) 待ち時間のお知らせ1新着情報