日本医師会企画、日医ニュース、健康プラザNo.549は「入浴中の事故~ヒートショックと入浴熱中症~」で、指導は千葉科学大学危機管理学部保健医療学科救急救命学コース教授黒木尚長先生でした。
高齢者に多いと報じられる入浴中の事故ではヒートショックが有名ですが、黒木尚長先生によりますと、高齢者の入浴事故ではヒートショックが7%で、入浴熱中症が84%であるということです。
黒木尚長先生によりますと、高齢者は熱さを感じにくく、小さな子供や瘦せた人は体が温まりやすいので、入浴熱中症に対して要注意であるそうです。また自律神経の働きを高める方法の一つである温冷交代浴はヒートショックと同じことなので、高血圧症や心臓に病気のある方には危険であるということです。
入浴事故を防ぐ工夫として、黒木尚長先生がまとめてくださった表が参考になりますね!
日常の診察で患者さんが先生に、広告の切り抜きやテレビでみた宣伝のことを話し、サプリメントはのんだほうがいいのか質問される場面をよく目にします。サプリメントに明確な定義は無いようですが、一般的にはいわゆる健康食品のうち、特定の成分が濃縮された錠剤やカプセル状、顆粒などのものをサプリメントと呼ぶことが多いようです。つまりサプリメントは、形態は医薬品と同じですが中身は食品と同じと言え、医療機関で有効性を判断するものではありません。
サプリメントに関してはさまざま使用体験談が紹介され、健康増進や病気の予防に効果があるような宣伝が行われています。しかしこの情報は薬のような厳密な臨床試験よって効果が確認されたものではなく、内容が不正確なことや、誇張されている可能性もあります。そのため過剰摂取による副作用を引き起こす可能性もあり、注意が必要です。骨粗鬆症患者の場合、治療薬のビタミンD製剤を服用中にカルシウムサプリメントを大量に摂取すると、腸管からのカルシウム吸収が亢進し、高カルシウム血症を起こすことがあります。その他にも、薬と同時に摂取することで起こる様々な相互作用があり注意が必要なことも多いです。
このようなことから、必要な栄養素はまず普段の食べ物から意識的に摂取していただくことをお勧めします。サプリメントを使用するときや使用しているときは、診察時に医師に相談していただくことが大切です。
骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂
参考文献 OPJリエゾン第8号 ライフサイエンス出版株式会社 2021