2020 年 11 月 のアーカイブ

リハビリ通信 No.322 肘関節について

2020年11月26日(木) QAリハビリテーション科1新着情報

肘関節は上腕骨、尺骨、橈骨の3つの骨から成り立っています。従って肘関節は3つの関節から構成されているとも言えます。上腕骨と尺骨の腕尺関節、上腕骨と橈骨の腕橈関節、橈骨と尺骨の橈尺関節から構成されています。腕尺関節が主として肘関節と呼ばれ、屈曲、伸展と運動方向が一軸性の関節で、一度、拘縮が起きると改善しにくく難渋する事も多い関節です。

症例としては骨折、骨折の術後、リウマチ、自己免疫疾患などを要因とする拘縮、投球肘障害、外側上顆炎など使いすぎなどが要因となり拘縮になる症例が治療の対象になりますが治療期間も長くなる事も多い様です。

理学療法士は早期より拘縮を予防しつつ、治療を進め、拘縮が進んだ場合、治療対象の軟部組織を評価し改善できる様に理学療法を継続して行きます。

リハビリテーション室長 見田忠幸

「十三市民病院におけるCOVID-19診療」

2020年11月23日(月) 院長ブログ

本日、ある会議にオンラインで参加し、「十三市民病院におけるCOVID-19診療」という講演を拝聴いたしました。演者は十三市民病院呼吸器内科部長白石訓先生でした。

現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第3波が到来していると言われており、全国の1日の新規陽性者数が更新されている今日この頃、とても貴重なご講演を聞かせていただきました。

大阪市立十三市民病院では2020年3月23日から結核病棟を新型コロナウイルス感染症対応病棟として、感染患者の受け入れを実施していたそうです。2020年4月14日に大阪市長松井一郎氏は「大阪市立十三市民病院を“コロナ専門病院”にします。」と宣言したことを受け、2020年5月1日から新型コロナウイルス感染症中等度患者の入院専門病院になったそうです。

COVID-19の重症度分類では、軽症は呼吸器症状がなく咳のみで息切れもなくSpO2が96%以上で、入院も必要ない場合が多いそうです。重症とはICUに入院したり、人工呼吸器が必要であったりする場合であるそうです。大阪市立十三市民病院では肺炎所見や息切れもあるが、基本的には酸素投与の必要ない中等症の症例が入院対象となっているそうです。

COVID-19患者を集めて隔離する場合には、非清潔区域と清潔区域を明確に区分けする必要があるということで、陽性(レッド)ゾーン、前室(イエロー)ゾーン、清潔(グリーン)ゾーンに分けるゾーニングを行ったそうです。

COVID-19患者の特徴としては、喫煙歴のある場合や糖尿病患者が高率であるそうですが、糖尿病のコントロール不良の場合予後が不良である場合が多いということです。男女比は中等症では男性がやや多い傾向ですが、大阪市立十三市民病院から高次医療センターに転院となる重症例では男性の方が圧倒的に多いそうです。重症例になると、肺血栓症、肺塞栓症などを生じてくる場合が多く、呼吸器内科だけでの対応は困難になることもあるということでした。酸素療法の考え方として、目標はSpO2が93~96%に維持することを目標とし、維持できない場合は酸素投与を徐々に増やしていき、転院できない場合は挿管も考慮するということでした。

医療従事者の曝露のリスク評価と対応では、患者がマスクを着用していない場合には、医療従事者が高度のPPE(個人防護具)をしていないと濃厚接触者となり就業制限を要する場合があるので、患者と医療従事者の両者がマスクの着用をしていることが重要であるということでした。

現在はCOVID-19患者重傷者数の増加により、医療提供体制が逼迫してきているそうです。大阪市でCOVID-19診療の中核を担っている大阪市立十三市民病院の責任の重さがうかがい知れました。大変勉強になりました。白石訓先生、ありがとうございました。

「メディ★ナバ ~あれこわい ちょっと知っとこ 健康チャンネル~」

2020年11月22日(日) 院長ブログ

名張市立病院から名張市民の皆さまへ最新の医療情報や健康への知識を「メディ★ナバ ~あれこわい ちょっと知っとこ 健康チャンネル~」という番組名で、令和2年11月からケーブルテレビで配信されるそうです。この番組は、名張市民の皆さまからお寄せいただく不安や疑問の声をもとに、「知りたいことが知れる番組」を目指すということでした。

第1回のテーマは「新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザ」で今回、解説してくださいますのは感染症専門医今井雄一郎先生と感染管理認定看護師城村裕一氏です。前編と後編とも、youtubeで見させていただきました。一番知りたい疑問に、明快に答えてくださり、とてもわかりやすいと思いました。

待ち時間のお知らせ(11月16日~11月21日)

2020年11月21日(土) 待ち時間のお知らせ1新着情報

骨粗鬆症とともに Vol.46 骨の強さは何で評価するの?

2020年11月19日(木) 新着情報1骨粗鬆症

骨折を予防するために丈夫な骨の状態を維持できるよう、食事や運動に気をつけている方は多いと思います。病院では骨粗鬆症の診断のために、骨密度検査をすることがありますが、骨の丈夫さ=骨密度が高いではありません。骨粗鬆症とは、骨密度の低下と骨質の劣化のため、骨強度が低下して骨折しやすくなる疾患と定義されています。このように骨の強さ(骨強度)は骨密度70%、骨質30%の要因で決められています。

骨密度は骨の中のカルシウムの含有量を示す測定値で、よく病院や検診などで測られているものです。骨質は骨の微細構造や骨代謝の状態、微小骨折の有無、石灰化の状態などで決まりますが、骨質を評価する方法はないため骨粗鬆症の検査に骨密度を測っています。

骨密度は正常範囲なのに骨折を起こしてしまったという、骨密度に依存しない骨折のリスクの上昇は、骨質の劣化が一因である可能性があります。

現在骨質そのものは臨床的に定量化できないため、今後の研究が待たれているところです。

 

骨粗鬆症マネージャー 石山瑞穂

参考文献

石橋英明 骨粗鬆症の最新治療 2016 主婦の友社

Osteoporosis japan PLUS 第4巻 第4号 2019