骨の形状と構成には意味があります。 盛り上がっている部位は筋の付着部になっており、腱が滑走する部位では溝になり、関節内で骨が擦れ合う部位ではスケートリンクより滑りやすくつるつるとして、状況と環境により骨の形状は変化していると考えられます。 例えば肩関節の上腕骨で言えば小結節と大結節があり、両方ともに突出し、前方にある小結節は内旋筋が付着し後方にある大結節は外転・外旋筋が付着しています。そして、肩甲骨上部には棘上筋が入るだけの受け皿つまり空間があり、上肢を挙上する際、肩峰・鳥口肩峰靭帯・鳥口突起で作られるアーチが棘上筋の働きを助けています。 アーチの機能が十分に発揮できない場合、インピンジメント(大結節と肩峰・鳥口肩峰靭帯が衝突する)が起こり、上肢が挙上できない場合があります。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
久しぶりに運動した時や夜中に寝ている時などにふくらはぎがつる経験をされたことのある方は多いと思います。こむら返りは「腓腹筋痙攣(ひふくきんけいれん)」と呼ばれ、ふくらはぎの筋肉が異常な緊張を起こして弛緩しない状態になり、痛みを伴う症状です。 私たちが運動を行うときは、筋肉の収縮と弛緩を調節することで、バランスのとれた動きが可能となります。この調節は、脳や脊髄などの中枢から信号が神経を伝って筋肉に送られ、筋肉が収縮し、次に筋肉や腱のセンサーから信号が中枢に送られ、どれくらい収縮するか弛緩するかが決められています。この仕組みが何らかのトラブルを起こすとこむら返りが生じるといわれています。 筋肉の異常収縮が起こりやすくなる状態は、大きく分けて2つ考えられます。ひとつは運動などで多量の汗をかいた時や、水分を大量に摂りすぎた時に、血液中の電解質(ナトリウムやカリウムなど)のバランスが崩れ、神経や筋肉が興奮しやすくなっているときです。もうひとつは、久しぶりに運動した時、長時間の立ち仕事をした後、寝ている時に足の温度が低下した時などに筋肉や腱のセンサーの感度が鈍くなっている時です。筋肉の緊張状態が続くと、血行が悪くなり、筋肉を弛緩させる調節がうまくいかず、こむら返りが起こりやすくなります。 ただし、ほとんどのものが疾患とは無関係に起こるものなので、予防が大切となります。こむら返りがひどい時には、薬などが用いられますが、運動前後や立ち仕事の後では、筋肉の疲労を取り血行を良くする意味から、軽い足首の運動やストレッング、運動中はスポーツドリンクなどで水分と電解質の補給を心がけると良いと思います。 リハビリテーション科 奥山智啓 |
一般的に言われる肩関節は、正式には肩甲上腕関節と呼ばれています。 肩甲骨の動きに関わる関節としては、肩甲上腕関節・肩鎖関節・胸鎖関節と実際には関節として構成されていない(肩甲下筋と前鋸筋の筋だけで成り立っている生理的関節)肩甲胸郭関節の4つがあります。また、肩関節は上腕骨、肩甲骨、鎖骨の3つの骨から成り立ち各々の解剖学的な特徴があります。 肩甲骨は薄く動きやすく扁平骨であり、上腕骨は後捻角(上腕骨頭が後ろに捻れている)があり、より可動範囲を拡げている。つまり、人間は作業を行う場合、体の前で行うため、それらに適した構造になっています。 リハビリテーション室長 見田忠幸
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膝窩部痛には、歩いたり運動をしたりしていると徐々に痛くなってくるものもあります。これは筋肉の持続的な緊張が関与していることが多くあります。 リハビリテーション科 奥山智啓
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肩関節の cuff 筋はインナーマッスルとも言われています。 表面からは触れることができない深部にある筋です。上肢挙上時に上腕骨に対し支点形成を作り、アウターマッスルである三角筋と共同で作用し、上肢の挙上という一連の動作を行うのです。開始時は棘上筋が主に働き、徐々に肩甲下筋、棘下筋へとシフトして行きます。 腱板断裂の患者さんの場合、180°屈曲位では棘上筋が働かず肩甲下筋、棘下筋が主体となり支点形成を行っているため、初期上肢挙上時に上肢が挙上できなくても、上肢を保持することができます。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |