痛みの病態を捉えるうえで大切な所見に、圧痛所見があります。 圧痛(あっつう)とは、圧迫したときに感じる痛みのことです。痛みのある部位を押さえて圧迫を加えたとき、さらに痛みが強くなる場合は、圧が高まることで痛みが強くなる病態があるということになります。この場合、圧が高くなっている状態を改善していくことが治療の方針となります。 組織に炎症が起こっているのか、過緊張が起こっているのか、あるいは他の病態があるのかは更なる評価が必要です。しかし、圧痛所見を取ることはトラブルを生じている組織とその病態を絞り込むことができ、痛みを改善していくための重要な指標となります。 リハビリテーション科 奥山智啓 |
鎖骨は肩鎖関節により肩甲骨、胸鎖関節により胸骨と結合しています。 肩甲骨は鎖骨を介して体幹と繋がっており、鎖骨は肩甲骨の運動を制動し誘導する調整軸でもあります。そして、鎖骨の形状は特徴的でS字状の彎曲を呈しています。これは回旋・挙上が行いやすい機能的な理由からです。 臨床的には鎖骨骨折は発生頻度が高い骨折であり、ほとんどが鎖骨体で発生します。 理学療法は骨折部位に負担をかけないように可動域・筋力向上と機能面における日常生活の向上を目標に実施します。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
クリニックに来院される患者さんのほとんどは、運動器のどこかしらに痛みを抱えていらっしゃいます。 例えば、膝を伸ばした時に痛くて、曲げると楽になる場合、基本的には膝を伸ばすことで組織に何らかの負担が加わっていることが推測されます。それがわかると、評価していくポイントが絞り込めるとともに、リハビリでやるべきことやリスク管理などが明確になっていきます。また、日常生活で気をつけることや自主トレーニングなどの手がかりにもなります。 痛みの原因は多様ですが、痛みが楽になる条件を見つけていただくと、痛みを軽減していくための一つのきっかけとなるのではないでしょうか。 リハビリテーション科 奥山智啓 |
関節は運動方向(運動軸)によって分類をすることが出来ます。例えば肘関節は運動の軸が1軸性(屈曲・伸展)で蝶番関節と言われています。その他1軸性の関節には近位橈尺関節があり、車軸関節と言われています。 反対に自由度の高い多軸性(運動軸は3軸)は①屈曲・伸展②外転・内転③内旋・外旋の3方向があり、肩関節、股関節が該当し、球(臼)関節と呼ばれています。肩関節は多軸性で自由度が高いだけに不安定性も併発します。しかし、同じ多軸性でも股関節は臼蓋に覆われ骨性に安定しています。 肩関節は軟部組織で覆われ、とくに靭帯の薄い前下方の部分は脱臼しやすく、脱臼をした場合、治療としては筋の協調性の向上が重要なポイントとなります。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
変形性膝関節症の患者さんの中には、「変形した骨が痛い」「擦り減った軟骨が痛い」と訴える方が多くいらっしゃいます。しかし、実際には、骨は骨折以外ではほとんど痛みが出ませんし、軟骨そのものには感覚神経がないため擦り減っても痛みを感じることは考えにくいです(半月板の血行の多い部分では痛みを感じます)。 骨や軟骨の痛みとして訴えられているものの多くは、軟骨や半月板が傷むことで関節が本来の動きから逸脱して動くことで、関節を包んでいる関節包の内側を覆う滑膜に炎症が起こることなどが原因と考えられます。 リハビリテーション科 奥山智啓
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