肩甲骨は上肢の動きとともに上方回旋し肩甲骨は3軸性の運動があります。①上・下方回旋 ②前・後傾 ③内・外転です。 上肢を挙上する場合、上肢が挙がるにつれ肩甲骨も上方回旋・後傾・内転をします。肩甲骨の動きが挙上する際には重要な役割を担っています。 従って、肩甲骨の正常な動きが出ないと上肢は挙上することができません。例えば肩関節周囲炎、腱板断裂、胸郭出口症候群などの疾患は、各々の病態の理解とともに肩関節の癒着・拘縮を取り除き、肩甲骨自体の動きの評価と肩甲骨周囲筋の協調性向上を行います。 肩甲上腕関節と肩甲骨の相互を考慮し治療を進めることが必要です。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
骨折などの外傷後は、関節が硬くなりやすく可動域が制限される場合があります。その要因は大きく分けると、①骨・軟骨の問題、②軟部組織の問題、③浮腫・腫脹や疼痛による問題が挙げられます。 一般的に、関節部のアライメント異常や軟骨障害など、骨・軟骨の問題を根本から治すためには、何らかの外科的治療が必要です。 一方で、皮膚・筋肉・腱・靭帯・関節包・神経・血管などの軟部組織の問題や浮腫・腫脹の問題の多くは、リハビリテーション(運動療法・物理療法)、注射などの保存療法が有効です。関節が強固に固まった場合は、手術(授動術)が必要な場合もあります。 これらの骨・軟骨の問題、軟部組織の問題、浮腫・腫脹の問題を改善し、関節が動きやすくなることで、痛みの問題が改善することも多くあります。 理学療法では、何が原因で関節の可動域が制限されているのかを、触診や徒手検査、動作分析、画像所見などから評価します。そして、原因となる軟部組織や浮腫に対してアプローチを行うことで、関節の動きの改善を目指していきます。 リハビリテーション科 奥山智啓 |
手を挙上・歩く・走ると言った運動を行うと各々の関節の中では関節内運動が起きています。 大きく分けると並進運動と回転運動です。関節に於ける運動では回転運動が大きな割合を占めています。 回転運動には①すべり運動②転がり運動があり両者が組み合わさり形成していることが多いです。すべり運動は肩関節の外転時(外に上肢を挙上)に見られ上腕骨頭と関節窩が常に接触し中心軸が一定のまま移動(すべり)する運動です。転がり運動は膝関節の屈曲時に見られ、大腿骨と脛骨の接触している面が後方にズレながら、中心軸も同様に移動(転がる)する運動です。 軟部組織の癒着・短縮により関節が動かない場合、関節内運動が表出できず、理学療法としては軟部組織へのアプローチと同時にこれらの運動を導き出すことが重要です。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
骨折などの外傷後にギプス固定となった場合は、循環障害や機能障害を防ぐために、なるべく患部を心臓より高い位置に保持すること、周囲の関節や筋肉を積極的に動かすことが重要となります。 例えば、手首の骨折(橈骨遠位端骨折)をしてギプス固定となった場合、手を心臓より低い位置にしていると腫れが溜まりやすく、ギプスでの圧迫などにより循環障害を起こしてしまう可能性があります。そのため、寝ている時も起きている時も、手を心臓よりも高い位置に保持することで血液やリンパ液が心臓へ戻りやすくなるように注意します。 そのうえで、ギプスから出ている指の関節を動かせる範囲いっぱいまでしっかりと動かして筋肉を収縮させることで、血行を良くし、関節が固まること(拘縮)や筋力低下をできる限り予防します。特に、指の付け根の関節(MP関節)を十分に動かすことがポイントとなります。 また、骨折部の固定性が良好で、医師の許可があれば、固定している手関節をギプスの中でギプスに押し当てるようにして軽く動かすこと(ギプス内等尺性収縮)や手関節の固定に影響のない部位(前腕など)をギプス開窓して、開窓部から筋肉などを徒手的に動かして柔軟性の維持を図ることも効果的です。 ギプス固定中は、折れた骨を治すだけでなく、できる限り患部周辺の機能を維持することがその後の日常生活をより快適に過ごすために重要となります。 リハビリテーション科 奥山智啓 |
体は約200の骨から成り立っています。バラバラの骨が関節として繋がり人間の体を作っています。 関節は関節包・靱帯・筋肉・腱・皮下組織・皮膚などの軟部組織と骨の硬組織から構成されています。 例えば外傷による骨折を起こした場合、治癒するためには硬組織と軟部組織の両方を考慮します。硬組織(骨)に対し手術、ギプスにより固定性を高めるようにします。しかし、固定性を高め動かさない期間が長くなると拘縮と言う関節が動かない状態になります。 骨は治癒したが、関節が動かないと機能面が低下し日常生活が不自由になります。骨の固定性と軟部組織の柔軟性獲得が重要になってきます。つまり、骨折した場合、硬組織・軟部組織の両組織に対してアプローチし治療を行います。
リハビリテーション室長 見田忠幸 |