正常な関節は筋肉・関節包・靭帯によって構成されています。そして筋肉は動的安定性,関節包・靭帯は静的安定性に関与しています。 関節痛は関節自体が痛みを出し,原因として①異常運動軌跡(abnormal tracking)によるもの ②関節内圧によるもの ③循環障害によるものが挙げられます。通常,正常な関節面に沿った正常運動軌跡(normal tracking)では痛みは生じません。 しかしながら正常から逸脱した動きをすれば関節包・靭帯・腱など軟部組織の自由神経終末が刺激され痛みを出します。加齢による軟骨の変形・摩耗が進み荷重時にかかる応力が大きくなり,関節不安定性に起因する関節周囲筋の疲労が加わり痛みを発症させます。また,循環不全により虚血が起き骨頭壊死・軟骨の摩耗・骨膜炎・骨異化・限局性の骨粗鬆症を発症し疼痛が出現します。 理学療法は軟部組織に対するアプローチを行いつつ正常なアライメント・運動軌跡に近づける様に実施しています。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
膝関節周囲の主な骨として、太ももにある骨を大腿骨(だいたいこつ)、すねには2本骨があり、一つを脛骨(けいこつ)、もう一つを腓骨(腓骨)と言います。膝関節の前方にあるお皿のことを膝蓋骨(しつがいこつ)といい、膝関節は、これらの4つの骨で構成されています。 膝関節は2つの関節により構成されています。一つが大腿骨と脛骨からなる大腿脛骨関節(いわゆる膝関節)、もう一つが膝蓋骨と大腿骨からなる膝蓋大腿関節です。 理学療法士は、膝関節の痛みや可動域制限などの症状がある患者様が、どういった動作をして痛みが出るのか、膝蓋骨がどの程度動き、どの方向に制限があるのか、また、股関節の肢位を変えて膝関節を曲げた際に、膝関節の角度がどのように変化するのか評価し、上記の2つの関節に対してアプローチしています。 リハビリテーション科 服部 司 |
前回の報告では、肩甲骨に付着する筋肉・それらの筋肉で生じる症状に関するメカニズムが紹介されましたが、今回は「肩甲上腕関節」に着目した肩こりについてです。 「肩甲上腕関節」は肩甲骨と上腕骨とで構成される関節です。そのため、この肩甲上腕関節でのトラブルは肩甲骨およびそれに付着する筋肉にまで影響を及ぼします。 例えば猫背になって肩甲骨が外側へ偏位したり、下がってしまった場合、肩甲骨と上腕骨のポジションが変化してしまいます。つまり、肩甲骨が下がってしまうと、肩関節は相対的に外転位(腕を外側に広げている状態)となってしまします。この肢位で関節の動きが制限されてしまうと、筋力トレーニング等で肩甲骨のポジションを是正しようと思っても元に戻ってしまします。 そのため、我々理学療法士は、肩こりが生じている部位(肩甲骨周辺の筋肉)に対する評価だけではなく、肩甲上腕関節の可動性も評価を行い、その部位で問題があれば治療を行っていきます。 リハビリテーション科 小野正博 |
肩甲骨には約17個の筋が付着しています。筋の働きから大きく3つに分けると… ① 肩甲骨を固定する部分 ② 上腕骨と肩甲骨を固定する部分 ③ 外側にあり上腕骨と肩甲骨を大きく覆いかぶさっている部分 以上3つがあります。 肩こりとは①肩甲骨を固定する部分 ②外側にあり上腕骨と肩甲骨を大きく覆いかぶさっている部分が問題になっていると考えられます。 例えば猫背と呼ばれる姿勢は肩甲骨を固定する部分が働きにくく緊張が入りやすくなっています。働きにくい部分は細く、薄くなり、代償するようにその他の筋が、より強く働き、上腕骨の重さに肩甲骨が下を向いてしまいます。その結果、肩こりに関わる僧帽筋は緊張が入りやすく、循環不全状態になり、疼痛を発症します。肩こりを治すには緊張している筋をリラックスさせ循環を良くし、肩甲骨を固定する筋をしっかりと働ける様に整える事です。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
当クリニックでは今年の4月より部活動やサークルで怪我をした小学生から大学生の患者様を対象に毎週月・火・水・金曜日の18:00~18:20にスポーツ教室を行っています。スポーツ教室では、部活動で怪我をして出現した腰痛や投球障害、捻挫などの症状に対して指導や治療を行っています。 たくさんの患者様を評価・治療していく中で、多くの患者様に共通して言えることが「身体が硬い」ということです。身体が硬い(筋肉の柔軟性が低い)と関節に負担がかかり、怪我をしやすくなります。 スポーツ教室では、筋肉の柔軟性や可動域制限の改善を目的にストレッチや可動域訓練指導を行います。また、投球フォームやストレッチ指導も行っていますので、スポーツで怪我をしてお困りの方は、一度当クリニックを受診してみてください。 リハビリテーション科 服部 司 |