リハビリ通信 No.106 膝関節の運動について

2014年03月16日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

大腿脛骨関節(いわゆる膝関節)の正常な関節運動(屈曲・伸展)は、単純に大腿骨顆部が脛骨関節面を転がるのではなく、転がりと滑り運動の複合運動を起こすことによって行われています。

膝関節屈曲に伴い、大腿骨顆部が脛骨関節面上を後方へと移動することをroll back機構といいます。もし後方へと滑ることなく膝関節屈曲運動が行われた場合、大腿骨顆上部後面が脛骨関節面後部と衝突し屈曲制限が起こるので、大腿骨顆部が脛骨関節面上を効率よく運動するために転がりと滑り運動がとても重要になってきます。

変形性膝関節症などの膝関節疾患の膝関節は、軟部組織の柔軟性が低下し、可動域が生じるので、正常な関節運動軌跡を獲得するために理学療法を行います。

リハビリテーション科 服部 司

 


リハビリ通信 No.105 松葉杖の支持と合わせ方について

2014年03月09日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

 

(松葉杖の支持) 松葉杖は、足()の外傷(骨折や靱帯損傷など)によってギプス固定が施行されたときや、足()に体重をかけてはいけない(免荷)時期に使用します。松葉杖は両側のわきで把持するため、腋下(わきの下)で支えるようにも思われがちですが、手で松葉杖のグリップ部分を持って支持します。

(合わせ方) まず、松葉杖を両側のわきに挟むように把持します。そして両側の足を揃え、その足先から前方に約15cm、外側に15cmのところで杖先をつきます。そのポジションで杖の長さを調整します。杖の長さですが、両腋下から杖の間で指が23(23横指)入る程度が適切な長さとなります。手で把持するグリップ部分の高さは大腿骨の最も突出した部分(大腿骨の大転子)に合わせます。これらを指標にして松葉杖の高さ調節し、松葉杖歩行練習を行います。

リハビリテーション科 小野正博

 

 


リハビリ通信 No.104 基礎代謝とダイエットについて①

2014年03月01日(土) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

基礎代謝とは何もしないでじっとしている時に生命維持のために消費される一日あたりの必要最小限のエネルギーの事です。

エネルギー消費として筋肉22%,肝臓21%,脳20%,心臓9%,腎臓8%の割合です。エネルギー消費として一番高い筋肉(骨格筋)は,一日あたり一キログラムにつき約13キロカロリーを消費します。男性は体重の40%前後,女性は35%前後が筋肉の割合になります。

つまり,65kgの男性ならば筋肉量は26kgで,筋肉による基礎代謝は338キロカロリーとなります。そして,年齢とともに筋肉量が減少していくため基礎代謝量も下がります。

ダイエットのために筋肉の量を増やしても筋肉1kgに対し13キロカロリーしか消費できないため,無意味ではないですが効率が悪いです。筋肉を鍛えれば基礎代謝量があがり,いくら食べても太らないと言うのは幻想と言えるかもしれません。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.103 膝関節の機能解剖について②

2014年02月22日(土) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

大腿脛骨関節(いわゆる膝関節)は、大腿骨顆部と脛骨顆部で構成される関節のことをいいます。大腿骨顆部の形状は、外側より内側の方が大きく、球状の関節面になっているのに対して、脛骨顆部の形状は、扁平状の関節面になっています。骨の形状上、膝関節の骨性の安定性は、決して高くなく、周囲の軟部組織(靭帯や筋肉)により安定性を得ています。

膝関節の靭帯は、前十字靭帯・後十字靭帯・内側側副靭帯・外側側副靭帯の4つがあり、これらの靭帯は、関節包とともに膝関節の静的安定性を担っています。また、膝関節の筋肉は、膝を伸ばす筋肉である大腿四頭筋と膝を曲げる筋肉であるハムストリングスがあり、これらの筋肉は、膝関節の動的安定性を担っています。大腿四頭筋は、大腿直筋・中間広筋・内側広筋・外側広筋の4つから構成されており、太ももの前面に付着しています。また。ハムストリングスは、大腿二頭筋と半膜様筋と半腱様筋の3つから構成されており、太ももの後面に付着しています。

膝関節障害には、スポーツをしている人に多い、靭帯や半月板の損傷、筋力低下や加齢、肥満などがきっかけにより膝関節の機能が低下し、関節軟骨変性、間接裂隙の狭小化などが起こる変形性膝関節症などがあります。軟部組織により安定性を得る膝関節は、筋力低下や筋短縮などにより様々な膝関節障害を引き起こします。適度な運動やバランスのとれた食事をすることで膝関節障害の予防に繋がるのでみなさんぜひ心掛けてみてください。

リハビリテーション科 服部 司


リハビリ通信 No.102 橈骨遠位端骨折後の可動域訓練について

2014年02月11日(火) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

橈骨遠位端骨折は「手首」の骨折です。前腕の親指側に橈骨があり、小指側には尺骨があります。その橈骨が遠位(手首に近いところ)で骨折するのが本骨折です。

骨折すると、骨が癒合するまでの期間ギプス固定が行われます。固定する以上、手関節で拘縮(固まってしまうこと)が生じるために可動域制限が生じます。私たち理学療法士はギプス除去後に可動域訓練を行い、拘縮除去・手関節の機能向上を目標にリハビリを進めていきます。

手関節には各運動方向がありますが、日頃患者さんのリハビリをしていると、手関節の掌屈(手首を倒す方向:手首を反らす運動とは反対の運動)運動が制限されていることが多いように感じます。

手関節の掌屈運動は、橈骨手根関節で40%、手根中央関節で60%の動きで構築され、背屈運動(手首を反らす運動)では橈骨手根関節66.5%、手根中央関節では33.5%の動きで構築されます。そのため、この2つの関節での可動性を獲得することが治療のkey pointとなります。特に手根中央関節は掌屈運動の大部分を占めるわけですから、私たち理学療法士はこの部位での可動性を早期に、かつ最大限に獲得できるようにアプローチしています。

リハビリテーション科 小野正博