リハビリ通信 No.111 浮腫(外傷後の腫れ)について

2014年04月20日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

PT写真

骨折などの外傷を受傷すると、患部やその周辺は腫れます。その腫れは「浮腫」と呼ばれ、これを放置すると痛みや可動域制限因子、拘縮へと進んでいきます。

浮腫は、皮下にて水分が貯留している状態ですが、わかりやすく言えばその水分は「水のり」に例えることができます。その水のりを放置すれば、患部周辺の筋や腱、関節包などの軟部組織は拘縮したり、癒着したりします。したがって、浮腫が貯留した状態が長期化すると、関節の可動域を制限してしまうこととなります。また、この水分の中には、ヒスタミンやブラジキニンといった疼痛誘発物質が多く含まれるため、痛みを誘発します。

この浮腫を改善するため、私達理学療法士は弾性包帯、パッド(足底板で用いるパッド)、ガーゼなどを用い、浮腫管理を行います。骨の隆起部・陥凹部などにパッド、ガーゼを当て、水分が流れ込まないように配慮し、弾性包帯で圧迫します。その圧迫下で各関節の運動を行ってもらい、筋収縮を促します。筋が収縮すると「筋ポンプ作用」により、水分は血管内に戻るため、このような方法で浮腫の改善を図ります。

可動域制限を改善するため、理学療法士は浮腫管理も行っていきます。

リハビリテーション科 小野正博


リハビリ通信 No.110 肩関節夜間痛について

2014年04月13日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

肩関節周囲炎の患者さんが「夜痛くて眠れません」と訴えられることが多いです。これは夜間痛と言って、夜、痛みで眠れず、目が覚めてしまう症状です。

原因は①肩峰下圧の上昇 ②上腕骨内圧の上昇が言われています。なぜ?圧の上昇が起きるのかと言うと、加齢による変性(肩峰下骨棘の増殖・鳥口肩峰靭帯の肥厚・腱板の石灰化)、腱板筋群のれん縮、肩峰下滑液包の癒着・瘢痕、関節包の肥厚・線維化、骨内の血流障害が挙げられます。つまり、以上の要因により肩関節上部組織の拘縮が起こり、夜間の就寝時に肩甲骨が床面に固定され、肩甲上腕関節は重力により伸張され肩甲骨による回避姿勢がとれず、就寝時に疼痛が生じます。

理学療法では疼痛を軽減できる姿勢の指導と同時に肩関節の癒着・瘢痕部位の改善を行います。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.109 膝蓋骨の運動について

2014年04月06日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

 

PT

膝蓋骨(いわゆるお皿)は、大腿四頭筋の中に含まれる人体最大の種子骨と言われており、膝を伸ばす筋肉である大腿四頭筋を効率的に機能させるために重要な役割を担っています。

膝関節屈曲に伴う膝蓋骨の運動として、屈曲するにつれ、膝蓋骨が遠位方向へと下降する運動、前額面上での外旋運動(frontal rotation)、冠状面上での内旋運動(coronary rotation)が複合的に運動することによりなされます。

膝蓋骨の周囲には、大腿四頭筋や靭帯などの軟部組織がたくさん付着しており、これらの組織が何らかの原因で、癒着や拘縮、筋力低下が生じることにより、正常な膝蓋骨の運動が妨げられます。

理学療法士は、正常な運動を妨げる原因を触診(軟部組織を手で触れ)、視診(骨運動を目でみて)し、その結果から考察し、治療していきます。

リハビリテーション科 服部 司

 


リハビリ通信 No.108 第25回三重県理学療法学会

2014年04月02日(水) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

 

 

323日(日)、三重県理学療法学会が開催されました。そして今回、この学会で当院理学療法士3名で発表をしてきました。この学会は、三重県に所属している理学療法士が運動器(整形外科のリハビリテーション)領域や脳血管領域、内部疾患(呼吸リハビリや心臓リハビリなど)領域での基礎研究・臨床研究・症例発表などを様々な形式で発表します。

当日は、運動器領域で全9演題ありましたが、当院から4演題エントリーさせていただきました。そして私は、「アキレス腱断裂術後の理学療法」と「橈骨遠位端骨折(AO分類B3-2)の保存療法」の2演題を発表させていただきました。

アキレス腱断裂の術後は、縫合部を再断裂させないように注意しながら拘縮(固まってしまうこと)や癒着を改善しなければなりません。様々な論文を見てみても、術後早期から運動療法を実施していくことには異論はないのですが、その開始時期にはまだ色々議論されているところであります。そのような中、どのように考え、どのようにリハビリを進めていけばよいのかを考えながらアプローチした結果を学会にて報告させていただきました。

2つ目の橈骨遠位端骨折ですが、本骨折は「高齢者の4大骨折」とも言われ、発生頻度の高い骨折であります。骨折の仕方・程度にもよりますが、変形治癒や可動域制限、痛みの残存など、様々な後遺症が残りやすい骨折でもあります。そのような骨折に対する治療戦略を考え、如何にして痛みを遺残させないようにするか、どのようにリハビリを進めていくかということを発表してきました。

今回、学会にて発表し、多くの意見を聞かせていただきました。それを参考にし、患者さんがもっとよくなるように、我々理学療法士は努力したいと思います。

リハビリテーション科 小野正博

 

 


リハビリ通信 No.107 基礎代謝とダイエットについて②

2014年03月23日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

体重の増減は摂取カロリーの量と消費カロリーの量のバランスによって決まります。消費カロリーの方が多ければ体重は減少します。また食事制限による効果は非常に小さいです。

健康にダイエットをするには食事によってカロリーを摂取しすぎないようにするとともに運動によってカロリーの消費量を増やすということを続ける事です。

具体的にどのような運動をするのか?と言うと体重が80kgの人と40kgの人を比較した場合,同じ活動をしても2倍のカロリー消費の差が出ます。厚生労働省では活動の量を「メッツ」「エクササイズ」と言う単位で提案しており,座って安静にしている状態は1メッツ,普通の早さで歩けば3メッツ,早歩きなら4メッツ,軽いジョギングなら6メッツ,そして「エクササイズ」はメッツの値×活動した時間です。

例えば軽いジョギング6メッツを30分間(0.5時間)行った場合,エクササイズの量は6×0.53となります。健康な身体をつくるためには厚生労働省では23エクササイズを推奨しており,普通の早さで歩くと約8時間となります。

リハビリテーション室長 見田忠幸