挙上の際、大結節は3つの経路を通過しています。内旋域の前方挙上によるanterior path外旋域での側方挙上によるpostero lateral path 両方の中間的なneutral pathです。 拘縮がある場合、肩甲上腕関節に関係する軟部組織のどの部位に癒着、柔軟性低下があるのか評価します。軟部組織の拘縮部位により大結節がanterior pathで挙上を行いやすいのか、neutral path、postero lateral pathで挙上しやすいのか、どの経路で肩峰下を通過しやすいのかを考察します。軟部組織の拘縮改善を目的に、挙上が比較的に楽な経路から理学療法を段階的に実施します。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
肩関節は自由度の高い多軸性の関節です。上腕骨、肩甲骨、鎖骨から構成される軟部組織は皮膚、皮下組織、筋、筋膜、腱、靱帯、関節包、滑膜とあり、その他には腱の骨付着部付近で骨に接触する部位では脂肪体組織が腱にかかる負担、摩擦力を低減させるために存在する。同様に滑液包も骨と軟部組織の圧力を低下、滑走性を向上させる働きがあります。 肩関節周囲炎の場合、拘縮改善が治療の主な目的になりますが表層、皮下組織部、筋膜、腱、cuff筋が癒着をしているのか、筋が短縮・萎縮をしているのか、靱帯・関節包が癒着をしているのかを評価します。癒着が要因であれば、癒着剥離操作、筋の短縮はストレッチング操作、スパスムにはリラクセーション、萎縮であれば適切な収縮を促すことを行います。病態に合わせ適切な治療を行う事が必要です。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
膝蓋大腿関節は、お皿と呼ばれる膝蓋骨と大腿骨との間にある関節です。膝関節を屈曲(曲げる)すると大腿骨に対して膝蓋骨は遠位に移動します(図1)。上記の動きは、膝蓋骨に付着する大腿四頭筋等の柔軟性があった上で遂行されます。 大腿四頭筋等の軟部組織の柔軟性が低下すると大腿骨に対して膝蓋骨が動きづらくなり可動域制限や痛みを引き起こす可能性が考えられます。 リハビリテーション科 河田龍人 |
肩甲上腕関節は上腕骨頭と肩甲骨関節窩から構成され自由度の高い(動きが自由で360°動く)関節です。上腕骨頭は肩甲骨の関節窩に比べると約3倍の大きさを持ち逸脱、脱臼をしやすいので関節唇、靱帯、筋などの軟部組織で安定性を高めています。 日常生活をする上で自由度の高い関節が制限を受けると不自由になり、日常生活活動動作(ADL)が低下します。制限因子としては軟部組織である筋、靱帯、関節包の癒着・拘縮が原因となります。肩関節の可動域制限に対する理学療法を行う上で評価をする時、4つの領域に分けて考えます。上方軟部組織、下方軟部組織、前方軟部組織、後方軟部組織です。各々の場所を走行、存在する軟部組織が、現在どういう状態にあるのか、癒着をしているのか、攣縮をしているのか、短縮をしているのか、萎縮をしているのかを評価し治療へとつなげて行きます。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
膝関節の屈曲(曲げる)運動は、ただ単に大腿骨に対して脛骨が曲がるだけではなく回旋しながら遂行されます。要因の一つに脛骨顆部の関節面の形状があげられます。 脛骨顆部の関節面は内側と外側で形状が異なっています。内側は中央が凹んだソケット状を呈しており、外側はフラット状を呈し後方に向かうにつれて下方に傾斜しています。上記の形状を踏まえると膝関節の屈曲時、大腿骨内側顆部では滑りの割合が多くなり、大腿骨外側顆部では転がりの割合が多くなります。そのため、膝関節屈曲運動時には脛骨は内旋運動を伴います。我々理学療法士は、正常の関節運動を踏まえた上で評価・治療を実施しております。 リハビリテーション科 河田龍人 引用文献 林典雄:運動療法のための機能解剖学的触診技術 下肢・体幹 改訂第2版 |