リハビリ通信 No.116 膝半月板の血行について

2014年06月08日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

半月板の血行について、以前は血行がなく、一度断裂すると自然治癒しないと言われていました。しかし、研究により、半月板実質部外縁1/3から中1/3にかけて血管が存在し、関節包由来の血管より栄養を受けています。内側の1/3には、血管が存在しておらず滑液より栄養を受けていることがわかってきました。この研究が現在の半月板部分切除術か縫合術かを選択する基礎となってきています。

半月板実質部外縁1/3には血行が豊富でこの部分をred-red zoneと呼び、中1/3red-white zone、内側1/3white-white zoneと呼ひます。一般的に血行のある部分は、半月板縫合術の適応で、血行の乏しい部分は、半月板部分切除術を施行されていました。

しかし、近年の研究より半月板を温存することによるメリットを最大限に活かせるようにいろいろと検討されるようになり、半月板縫合術の適応を血行の豊富な部分から乏しい部分へと拡大しつつあります。

リハビリテーション科 服部 司


リハビリ通信 No.115 腰の痛みについて

2014年06月01日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

腰が痛いと訴えられる患者さんは多くいます。症状としては「腰が痛い!!」とみなさん共通していますが,原因は10人いれば10通りであることが多いようです。

例えば腰部・股関節の筋力低下,股関節周囲筋をも含めた拘縮・協調性低下,仙腸関節・腰椎椎間関節の拘縮・炎症,逆に若い女性に見られる靱帯の緩み,膝・足関節など下肢の問題が波及し二次的に疼痛を発症など,症状は一緒でも原因は数多くあります。患者さんによっては1つだけの要因の方もいれば23つと重なっている方もいます。

理学療法では治療・評価をして何が本当の原因なのか?具体的に原因を絞り治療を実施します。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.114 半月板の機能について

2014年05月25日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

半月板の機能は、①膝関節の適合性の良好化、②緩衝作用、③関節内圧の均等化、④滑液の分散、⑤可動性の適合化などが挙げられます。

①膝関節の適合性の良好化について、膝関節は、丸い形態をした大腿骨顆部と平らな面の脛骨顆部により構成されており、力学的に不安定な関節をしています。この状況下で膝関節の安定性を高めるためには、両側に存在する半月板が膝関節の適合性を良くします。

②緩衝作用について、垂直方向の荷重ストレスに対して、大腿脛骨関節面でクッションの様な働きをすることで膝関節にかかるストレスを和らげる役割があります。

③関節内圧の均等化について、荷重ストレスは、半月板が存在しなければ大腿骨顆部と脛骨顆部のある一定の面積のみ接触し、その部位に集中して圧縮応力が加わります。半月板が存在することで面としての接触に変化させ、圧縮応力を減少させます。

④滑液の分散について、膝関節内は滑液によって満たされています。とくに滑液は、潤滑機能に重要な役割をもっており、半月板が存在することで滑液機構が成立し、膝関節の滑らかな運動に貢献しています。

⑤可動性の適合化について、半月板には可動性があり、膝関節の屈伸運動に伴い、関節面を移動し、関節の適合性を高めています。

①~⑤の中で、理学療法士がアプローチできるのが⑤で、どの軟部組織がどこに付着し、どのようなメカニズムで半月板が運動するのかを理解して治療することが重要になります。

リハビリテーション科 服部 司


リハビリ通信 No.113 炎症について

2014年05月18日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

炎症とは障害を受けた組織を防御し修復する過程であり、骨折・虫さされ・感染・やけど・打撲・切り傷・挫滅・潰瘍・びらんなど組織の障害があれば炎症反応が発生します。

炎症の4要素として①赤い②腫れている③痛い④熱感ありの症状が見られます。

治る順番としては初めに、熱感・赤みがとれます。(拡張した血管が元に戻るにつれ赤み・熱感がとれます)やがて痛みがとれ(発痛物質の減少)腫れのみとなります。最後に腫れが引いて(浸出液の吸収)元に戻ります。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.112 半月板について

2014年04月27日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

半月板は、内外側の脛骨関節面を覆う線維軟骨のことを言い、内外側で異なった特徴を有しています。

内側半月板は、上方からみるとC型をしており、外側半月板よりも大きい形状をしています。そのため、膝関節屈伸時の半月板の可動性は小さいです。外側半月板は、O型をしており、内側半月板より小さく、可動性は大きいです。

また、半月板に付着する軟部組織も、内外側で異なっています。半月板の前方には、膝蓋骨と半月板を結ぶ半月膝蓋靭帯が存在し、大腿四頭筋が収縮することで、膝蓋骨が上方に移動することにより半月板が前方に移動します。内側半月板の後方には、半膜様筋が付着しています。また、外側半月板には膝窩筋が付着し、それぞれが収縮することで後方へ移動します。

半月板は、膝関節の屈伸に伴って移動することで、大腿脛骨関節の適合性を保っていますが、スポーツなどで半月板を損傷すると痛みを伴い、半月板の可動性が低下します。そのため半月板を損傷した患者様に対する理学療法では、半月板に付着する軟部組織に注目し、運動療法を行うことが大切です。

リハビリテーション科 服部 司