リハビリ通信 No.121 腸腰靱帯について

2014年07月15日(火) QAリハビリテーション科1新着情報

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先日、ブラジルのサッカー選手であるネイマール選手が「第3腰椎横突起骨折」を受傷しましたが、これが3番目の腰椎ではなく、5番目の横突起だったら腰椎の不安定性が出ていたのかもしれません。その理由は、第5腰椎横突起には腸腰靭帯という腰椎と腸骨とを結び、腰椎の安定性を司る非常に重要な靭帯りま

この靭帯による制動が破綻してしまうと、第5腰椎を止めておくことができなくなり、腰椎すべり症となってしまいます。腰の筋により完全に覆われているため、触診するのは非常に難しい部位ではありますが、我々理学療法士は、この靭帯の状態もしっかり評価しながらアプローチしていきます。

リハビリテーション科 小野正博


リハビリ通信 No.120 五十肩と肩関節周囲炎について

2014年07月09日(水) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

一般に五十肩と言われる肩関節疾患の正式名称は、肩関節周囲炎と言われています。どのような状態になるかと言うと、上肢の挙上が出来なくなり、動かすと痛みが出現します。

肩関節周囲炎は加齢による変性疾患で肩関節周囲軟部組織の癒着・短縮が見られます。肩関節は①ロテーターカフ(rotator cuff)筋 ②肩関節固定筋 ③Outer muscle の3つの機能がバランス良く働き、肩関節機能としての役割を果たします。

肩関節周囲炎(五十肩)は①ロテーターカフ(rotator cuff)筋 ②肩関節固定筋の機能が拘縮により十分に働かない状態であり、上肢が挙上できない事や痛みが発症します。理学療法では癒着・短縮している部分を評価し、アプローチを行い治療を進めます。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.119 理学療法士の歴史について

2014年07月02日(水) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

日本の理学療法の始まりは、1900年初期で温熱や電気治療などの物理療法が中心となり、その当時の理学療法は、柔道整復師やマッサージ師が担っていました。

その後、数十年の時を経て1965年に理学療法士及び作業療法士法が制定され、理学療法士の歴史が始まりました。その当時は、理学療法士の存在やリハビリの必要性などあまり認知されていませんでしたが、現在、理学療法士の養成校や理学療法士の数が増え、理学療法士の存在やリハビリの認知度が増してきたと感じます。その背景に、ここ十数年で高齢社会となり、高齢者や介護施設の増加により理学療法を必要とする人が増えてきたからだと思います。

しかし、実際に理学療法士がどのようなことをしているのかは、認知されておらず「理学療法=マッサージ」と思っている方が多いように感じます。

では、理学療法士ってどんなことをしているのかというと、脳梗塞による麻痺や事故による骨折で身体機能が障害された人に対して、医師の指示の下、基本的動作能力の回復を目的に理学療法を行っています。

整形外科では変形や痛みにより可動域制限や筋力低下が生じた関節に対して、筋肉や靭帯などの軟部組織に対してストレッチや筋収縮を促し、身体機能の改善を図っています。

まだまだ、理学療法士の歴史は、浅いですがたくさんの人に理学療法士の存在や仕事の内容を知って頂きたいので、理学療法士に興味がある学生や疾患について聞きたい方などご不明の点がございましたら、お尋ね下さい。

リハビリテーション科 服部 司


リハビリ通信 No.118 野球肘について

2014年06月29日(日) QAスポーツ整形1QAリハビリテーション科1新着情報

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野球肘では、投球時に肘関節の内・外側に痛みが生じる疾患です。痛みの発生部位としては、肘関節の内側が多いですが、これは投球によって肘が悪くなるというより、「他関節から影響を受けて生じた症状」と考えられるケースをたくさん経験します。

その中でも特に多いのが、肩甲帯の動きが制限された結果、肩甲骨の内転(肩甲骨が脊柱に寄る運動)ができないために肘関節へのストレスが増大して発症するものです。投球動作では、腕を後ろにもっていきます(図1の②)。この動作では、肩甲骨の内転運動が必要不可欠となります。しかし、筋肉の柔軟性が低下することによって肩甲骨の内転運動が制限されてしまうと腕が後ろに持っていけず、結果として肘下がりの投球動作となってしまいます。そのような投球フォームを繰り返すことにより、肘関節の内側にストレスが加わり続け、肘の内側における安定性を司る内側側副靭帯の損傷につながります。

次に、この内側側副靭帯(図2の赤丸)による制動力が低下すると、関節安定化作用は筋肉(図3)に頼るしかない状態となります。もともと靭帯による制動で安定している関節が、靭帯よりも制動力が低い筋肉に頼ってしまうわけですから、その筋肉にも痛みが生じてくることは容易に想像できると思います。

この靭帯(内側側副靭帯)と筋肉(円回内筋)の付着部は隣接しています。そのため、肘関節の内側で痛みが生じている場合、どちらの組織が痛みの原因になっているかを鑑別しなければ、原因組織が特定できません。そのため、我々理学療法士は、どの組織が原因となって痛みが生じているのか、どの組織にストレスが加わって痛みが出現しているのかを鑑別するために各組織を触診し、動作をチェックしながら原因組織を特定し治療を行っています。

リハビリテーション科 小野正博

 

 

 


リハビリ通信 No.117 肩関節の可動域制限と機能解剖について

2014年06月15日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

上肢の挙上は上腕と肩関節の動き(肩甲上腕関節)と肩甲骨の動き(肩甲胸郭関節)が一緒になり、上肢の挙上という一連の動きが行われます。肩関節疾患の患者さんの場合、とくに肩関節周囲炎では最初に理学療法を実施するときに2点について患者さんに質問しながら、評価を行います。

①夜間に痛くて目を覚ましますか?or夜に何度も目を覚ますか、寝ることができませんか? 

②自分の手を90°以上あげる事ができますか?

この2点が共にある人は治療が長期に及ぶ可能性があります。(週23回の通院で4ヶ月以上)

これには理由があり、2つの質問から癒着の場所と範囲が、おおよそ特定することができます。もちろん可動域・触診を行い最終的には原因を絞り治療を行います。

リハビリテーション室長 見田忠幸