リハビリ通信 No.126 THA術後における靴下着脱動作について

2014年09月15日(月) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

先日、参加した学会でTHA(全人工股関節置換術)術後早期における靴下着脱動作には早期に股関節屈曲95°獲得が重要であると報告がありました。THAは術後早期より理学療法を開始し、4週経過で退院をするのが、現在のリハビリテーションの流れとなっています。

関節機能の獲得はもちろんのこと、歩行能力、ADL(日常生活活動動作)の向上が最終的には一番の目標となります。通常、股関節の可動域は腰椎の代償も含めての角度となり、純粋な股関節だけの可動域角度は80°90°です。THAの術後には、最終目標としては靴下の着脱動作が正常に近い状態で、着脱動作と同等のADLレベルになるように理学療法を実施します。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.125 日本臨床整形外科学会学術集会に参加して

2014年08月31日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

720日、21日に第27回日本臨床整形外科学会学術集会に参加してきました。我々理学療法士は日々のリハビリ以外に年に数回学術大会に参加し、演題発表を聴講して最新の知識や技術を学んだり日々の治療成果を発表したりしています。発表内容は大きく①症例報告と②研究報告の2つに分けることができます。

①症例報告は症例に対して評価を行って問題点を抽出し解剖学や文献を基に考察して理学療法を行った結果、一定の期間内に良好な成績を獲得できた治療を考察を交えて発表することを言います。例えば靱帯損傷した患者様の治療について、文献で「靭帯の修復期間は○週」との報告があるので靭帯の修復過程を考慮し、治療を工夫した結果、○○週で受傷前の身体機能を獲得することができたと考察を加えながら報告をします。

②研究報告は、研究テーマに沿った疾患を数十例~数百例集めて、検討項目を挙げて統計学的に数値化して比較・検討した発表のことを言います。例えば変形性股関節症の患者様を数十例以上集めて、跛行(異常歩行)が出現する要因は何なのか検討するために、1.股関節内転制限、2.外転筋力、3.脚長差などの検討項目を挙げてそれぞれ統計で数値化して検討していきます。

今回の学会では研究報告の演題が多く勉強になりました。今回得た知識を臨床の場で生かせれるように日々努力していきたいと思います。

リハビリテーション科 服部 司


リハビリ通信 No.124 第27回日本臨床整形外科学会の参加報告

2014年08月24日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

720日~21日に仙台で開催された日本臨床整形外科学会学術集会にて「橈骨遠位端骨折変形治癒例における理学療法経験」という演題を発表してきました。この学会では整形外科医をはじめ、コメディカル(看護師・理学療法士・作業療法士、等)も発表し、職種の枠を越えてディスカッションが行われました。

今回、私が発表した「橈骨遠位端骨折」とは手首の骨折であり、上腕骨近位端骨折・脊柱圧迫骨折・大腿骨頸部骨折とともに「高齢者の4大骨折」と言われる発生頻度の高い骨折です(全骨折の1/6程度の頻度だそうです)。本骨折の合併症の一つとして「変形治癒」があり、骨折部が転位したまま骨癒合することにより変形が完成してしまいます。変形、つまり骨の形が変わると関節の機能としても変化してしまうので、後々可動域制限や運動時痛、関節不安定性が続発してきます。しかし今回、変形治癒を呈した症例に対し、関節操作の方法と運動をする時期を考慮することで、良好な結果が得られたということを発表しました。発表後、私の演題に対して整形外科医の先生が質問をしてくださったので、熱くディスカッションをし、大変貴重な経験をさせていただきました。

橈骨遠位端骨折に対する運動療法に関する報告はまだまだ少ないのが現状です。そのため今後も研究を重ねていき、今より少しでも良い治療ができるように精進していきたいと思います。

リハビリテーション科 小野正博


リハビリ通信 No.123 認知症とフレイルについて

2014年08月10日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

先日、日本臨床整形外科学会学術集会に行き、学術発表・講演を聴いてきました。その中の一つに認知症の程度により大腿骨頸部骨折の術後成績が左右されるとの報告がありました。認知症は健康・介護予防を阻害する三大因子の一つであり、他にはメタボリックシンドローム、ロコモティブシンドロームがあります。認知症ではない高齢者でも骨折が引き金になり寝たきりになる(ロコモティブシンドローム)可能性も十分あります。

最近では色々なところで、ロコモティブシンドロームの前段階での予防に気をつけようとフレイルを予防する事に取り組み始めています。フレイルとは高齢になって筋力・活力が衰えた段階で生活機能が全般的に低くなることをいい、65歳の11%がフレイルと言われています。高齢者が認知症、骨折、寝たきりに至らない様に予防と普及活動をしていく事が重要であると思われます。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.122 理学療法士と作業療法士について

2014年07月22日(火) QAリハビリテーション科1新着情報

PT

リハビリの専門職には、理学療法士(PT)と作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)があり、それぞれ医師の指示の下、リハビリを行います。

理学療法士は、事故や転倒などによる骨折や脳卒中での麻痺、内科的疾患などの身体的な機能障害が生じた患者様の基本的動作能力の回復を目的に、運動療法や物理療法などの理学療法を行っています。基本的な動作を簡単に言うと、手足を動かす関節運動や階段昇降、歩行動作のことを言います。

一方、作業療法士とは、上記の機能障害や精神障害が生じた患者様の応用的動作能力と社会的適応能力の回復を目的に、作業療法を行っています。応用的動作能力とは、手工芸(折り紙や編み物)、日常生活動作(食事や料理、入浴動作、トイレ動作)など、何か物を使ってリハビリを行い、社会復帰を目指すためのリハビリを行っています。

当クリニックでは、理学療法士が3人おり、院長の指示の下、上肢、体幹、下肢全ての部位に対して理学療法を行い、身体機能の改善を図っています。

リハビリテーション科 服部 司