認知症が原因の行方不明者が年間約1万人に上り大きな社会問題になっています。 そもそも、認知症とは脳の神経細胞が死んだり働きが悪くなったりして、記憶障害、言語障害が起き日常生活に支障が生じる状態で物忘れ・妄想・徘徊などの症状がでます。原因によりアルツハイマー型、脳血管障害などいろいろなタイプに分かれ、薬で病気の進行を遅らせることはできますが根本的な治療法は確立されていません。 最近の研究では認知症の6割を占めるアルツマイマー型を血液で診断する事が可能になって来ました。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
約10年前より、アメリカで新しい人工肩関節置換術として注目されているのが反転人工肩関節(Reverse Shoulder Replacement:RSR)です。人工関節はボールとソケットで構成され、変形した肩関節の機能を再獲得するものです。 従来の人工関節は、図のように上腕骨側がボールで、肩甲骨側がソケットの構造となっており、膝関節・股関節などの人工関節と同様に、金属とプラスチックにより構成されています。この人工関節の欠点の一つに、腱板(肩関節周囲にある重要な筋肉)が金属部と擦れてしまうために消耗してしまい、腱板機能が低下したり、断裂してしまうことが報告されています。しかし今年より、日本でも「反転人工肩関節」の導入が開始されることとなりました。これは従来の人工関節が抱えていた問題を解決する新しい治療法であるとのことです。 人工関節の機能や置換術後の運動メカニズムなどは後々紹介させていただきますが、今まで日本では行われていなかった治療法であるため、我々理学療法士は論文などといった研究・報告をもとにしっかり勉強し、患者様の治療を行っていきます。 リハビリテーション科 小野正博 |
現在、エボラウイルスが1976年に発見されて以来、最大の流行で死者は2400人を超えました。これまでエボラウイルスは5種類が発見されています。今回、流行しているのはザイール・エボラウイルスです。ウイルスは自分で増える事ができず、感染した生物の細胞が増殖する仕組みを利用して増えます。 エボラウイルスが脅威で強力なのは高い増殖力と異常を引き起こして激しい症状をもたらす性質によります。増えたウイルスは肝臓・腎臓・血管・全身の細胞に侵入し臓器の細胞を破壊、多臓器不全に至らせます。 そして特徴的な症状の出血である原因として、ウイルスが血液中にあるマクロファージという細胞に付着し血液を固める物質を血液中に大量放出し結果、体中のあらゆる場所で固まります。したがって固まる物質の不足により、血液がもろくなった血管を破っても固まらず出血が止まらなくなると言った症状を起こします。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
変形性膝関節症とは、関節軟骨の変性・摩耗により生じる関節疾患といわれています。その中で、膝の内側部での痛みを主訴とする患者さんは非常に多いです。 変形性膝関節症について、よく「軟骨が擦り減って痛い。」と耳にしますが、日頃の臨床上では膝関節の間にある「半月板」に問題が生じているケースに遭遇します。ある研究によると変形性膝関節症の初期では、半月板が関節内から逸脱(半月板が膝の内側よりはみ出してくること)してくるそうです。もともと半月板は膝関節内におさまっているものなので、これが関節面から逸脱しそこに荷重が加われば関節に挟み込まれるために痛みとして出現します。 そのため理学療法により半月板の可動域訓練を行い、半月板を関節内に押し込む(内方シフトさせると言います。)操作を行っています。効果としては変形の程度や半月板の状態にもよりますが、理学療法により歩行時の膝内側部痛が改善する場合もあります。 これらのことより、当院では歩行時痛の原因が何なのかを評価しアプローチすることにより患者さんの膝関節痛にも改善に努めています。 リハビリテーション科 小野正博 |