変形性膝関節症とは、長年にわたる関節の使用や繰り返される負担、外傷などにより関節軟骨の摩耗・骨の変形をきたす疾患です。当院でもこの「変形性膝関節症」で来院される方が非常に多いです。日本の研究で、「40歳以上の変形性膝関節症罹患率」というものがあります。これによると、40歳以上では男性860万人、女性1670万人の合計2530万人の方が変形性膝関節症であると言われています。この疾患に対する治療法の一つとして「筋力トレーニング」があり、テレビや新聞などでもよく見かけると思います。なので、 「筋肉を鍛えるのにどのような運動をしたらいいですか?」 「運動して鍛えないと!」 という声をよく耳にします。そして、最もよく聞くのが 「運動のために頑張って歩きます!」 という言葉です。しかし、筋肉を鍛えるために頑張って歩くのはあまり良い方法ではないと思います。歩くということは全体重を両脚で支えていることになるので、膝関節でも体重支持をしています。そのため、擦り減った関節軟骨部に更に負荷をかけてしまう運動になってしまいます。変形性膝関節症に対する筋力トレーニングとして大切なことは、 「関節に負担をかけることなく筋肉を鍛えること」です。 したがって、座った状態もしくは寝た状態で膝を伸ばす運動をすることによって関節に体重をかけることなく筋力強化をする方法の方が「関節を守りながらのトレーニング」になると思います。残念ながら、一度擦り減ってしまった軟骨を増やすことはできません。そのため、トレーニングをする時も関節を守りながら、関節に荷重負荷をかけない方法で行うことが重要であると思います。 我々理学療法士は、患者様に対してトレーニング方法もしっかりと指導し、症状の軽減・改善を目指します。 リハビリテーション科 小野正博 |
アルツハイマー病は神経細胞が死滅して脳が委縮し、脳内のゴミとされる「アミロイドベータ(Aβ)」「リン酸化タウ」と言うタンパク質が脳内に蓄積して起きると考えられています。アミロイドベータ(Aβ)は症状が出る10年以上前から脳内にたまり脳外に排出されにくくなり、老人斑、神経原線維変化という病変ができます。 これまでの研究では患者の血中のアミロイドベータ(Aβ)濃度は健常者と差がないことがわかっていましたが、最近の研究ではアミロイドベータ(Aβ)が単独で存在するよりも、血中の主要タンパクであるアミロイドベータ(Aβ)と結びつくケースが多いことがわかって来ました。 患者と健常者のアルブミンアミロイドベータ(Aβ)複合体の濃度を調べた結果、Aβ複合体の血中濃度が低い程、患者の割合が多い事が突き止められました。したがって、早期から血中検査を行いアルツハイマーの診断が容易になって来ました。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
11月15・16日に静岡県で開催された第30回東海北陸理学療法学術大会に参加し、「Freiberg病に対する理学療法の一考察」について発表してきました。 Freiberg病とは、中足骨頭(赤矢印の部分)の無腐性壊死が生じる疾患であり、第2・3中足骨に発症することが多いと言われています。症状として中足骨頭背側部痛や中足趾節関節(黄丸で囲まれた関節)の伸展制限、腫脹、足底に胼胝(たこ)などが生じることが特徴です。 正確な原因は特定されていませんが、①解剖学的に第2中足骨が長いこと、②踏み返し動作により中足骨頭部に圧迫力が繰り返し加わること、③血行障害による影響が原因ではないかと言われています。 治療方法として、関節面が比較的保たれている場合は、保存療法で足底板を使用しますが、関節面が損傷している場合は、手術療法を選択します。 Freiberg病についての報告は多数散見しますが理学療法の報告はほとんどないのが現状です。今回Freiberg病の理学療法を経験し、中足趾節関節の伸展時痛に対して評価と治療の一方法として発表してきました。 これからもたくさんの患者様により良い理学療法を提供できるようにスタッフ一同努力していきたいと思います。 リハビリテーション科 服部 司 |
11月15日~16日、静岡県で開催された第30回東海北陸理学療法学術大会に参加・発表してきました。そして今回の学会では、当院から3演題エントリーし、私は「橈骨遠位端骨折保存療法の治療成績および治療法に関する検討」という演題を発表させていただきました。 橈骨遠位端骨折とは、「高齢者の4大骨折」と言われ、上腕骨近位端骨折・脊柱圧迫骨折・大腿骨頸部骨折とともに、非常に発生頻度の高い骨折であるとされています。当院においてもこの橈骨遠位端骨折を受傷され、通院されている方が多くおられます。 本骨折に対する治療法として、手術的治療と手術をしない治療(保存療法)があります。その保存療法の中に理学療法が含まれるわけですが、その方法論はまだ確立されたものが無いのが現状であります。そのため、理学療法を行う上でどのような事に気をつけなければならないのか、どの時期にどのような操作を行わなければならないのか、そして骨折後の後遺症を残存させないためにはどのような工夫が必要なのかを検討し、発表してきました。 理学療法の領域では、手の外科に関する報告がほとんどありません。そのため、これからも研究を重ね、患者さんにより良い理学療法を提供できるよう日々精進していきたいと考えております。 リハビリテーション科 小野正博 |