リハビリ通信 No.166 Rotator cuffについて

2015年08月21日(金) QAリハビリテーション科1新着情報

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肩関節は、小さくて浅い臼蓋と広くて大きい上腕骨頭から構成されており、様々な運動に対して安定させるために静的のみならず動的に上腕骨頭を臼蓋に引きつける力が必要となります。その役割を果たしているのがRotator cuffになります。

Rotator cuffとは、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋から構成されています。これらが上腕骨頭を包み込むように付着しているので肩関節がどのような肢位においても、筋収縮により上腕骨頭を臼蓋に引きつける力を作用させることができます。

リハビリテーション科 服部 司


リハビリ通信 No.165 上腕骨骨端線離開(リトルリーグショルダー)について

2015年08月15日(土) QAリハビリテーション科1新着情報

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野球少年にみられる少年期の野球肩の一つとして「上腕骨骨端線離開(リトルリーグショルダー)」があります。特にピッチャーに多く、投球フォームと関連性が深いと考えられています。「体が早く開いてしまい、肩が過剰に前へ出てしまっているフォーム」、「投球時に肩甲骨を後ろへ引くことができず、肩が前へ出し、肘が下がってしまっている。」といった肩関節に負担をかけるフォームが原因であることが多いです。

このリトルリーグショルダーは、左上図のような骨の成長線である「骨端線」にストレスが繰り返しかかることで発症するとされており、痛みのために投球ができなくなってしまいます。そして離開した骨端線は右上図にあるようなレントゲン所見となるそうです。

投球障害で問題となっている部位はもちろん「肩関節」ですが、他関節からの影響により、結果として肩関節に負担が増大することで発症することがほとんどであるため、フォームチェックの他、他関節の可動域や筋力をしっかりチェックし、「肩関節にかかる負担の原因」を見つけ出すことが重要となってきます。

当院の理学療法士は、詳細な評価(可動域測定や筋力検査、フォームチェック、など)を行い、投球障害肩の治療を行っています。

リハビリテーション科 小野正博

 


リハビリ通信 No.164 高齢者の熱中症について

2015年08月02日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

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熱中症とは運動や暑熱が要因となり起こる体の障害の総称です。熱中症が重症になったものを熱射病、日射病と呼びます。高齢者はとくに熱中症になりやすいと言われています。炎天下で起きる若年齢者の熱中症と違い、室内で人知れず熱中症になり、気が付くと重症化している事が多くなっています。

2013年の夏40万人が熱中症で治療を受けました。死者550人の内、65歳以上が9割近くいて、死者が出たケースの9割近くは屋内で起きました。高齢者はとくに一人暮らし・精神疾患・心疾患などの持病があるとリスクが上がります。

対策としては水分・塩分をこまめに補給し、エアコンを上手に利用する。また、暑さに備えた体づくり、糖・タンパクなど栄養補給も大切です。熱中症は、かかってしまう前に対策・予防をする事が重要です。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.163 膝蓋靱帯炎について

2015年07月26日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

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膝蓋靱帯炎とは、膝蓋骨尖から脛骨粗面に付着する膝蓋靱帯が運動などにより炎症が起こる病態のことを言います。膝蓋靱帯炎は、スポーツ選手の中でも特にトップアスリートに多く発症すると報告されています。膝蓋靱帯に疼痛を認め、初期ではスポーツ後に疼痛が出現するが進行するとスポーツ中にも疼痛が出現すると言われています。

膝蓋靱帯の圧痛には、①膝関節屈曲位にて疼痛が出現する場合と②膝関節伸展位で疼痛が出現する場合、③膝蓋靱帯の膝蓋骨付着部に疼痛が出現する3パターンがあります。

①膝関節屈曲にて疼痛が出現する場合、膝伸展機構への張力が増すことで、膝蓋靱帯表層への伸張ストレスが増大し、疼痛が出現すると言われています。

②膝関節伸展位で疼痛が出現する場合、膝蓋靱帯の深層には膝蓋下脂肪体が存在し、膝蓋下脂肪体の滑走障害や炎症後の線維化が生じることで疼痛が出現すると言われています。

③膝蓋靱帯の膝蓋骨付着部に疼痛が出現する場合、外側広筋や腸脛靱帯の過緊張による膝蓋骨の外上方への牽引力が増大すると膝蓋骨尖が突出し、膝蓋靱帯深層部に応力が集中し疼痛が出現すると言われています。

治療方法として、炎症の沈静化と軟部組織の柔軟性改善を図り、膝蓋靱帯にかかるストレスを軽減させることが重要になってきます。

リハビリテーション科 服部 司


リハビリ通信 No.162 結帯動作について

2015年07月23日(木) QAリハビリテーション科1新着情報

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肩関節周囲炎の患者さんにおいて、手を後ろに回す動作である「結帯動作」が制限されていることをよく経験します。痛みで手を後ろに回せない方、痛みは無いけど硬くて回せない方など、症状は様々ですが、この結帯動作が制限されると日常生活動作が大きく制限されてしまうこととなるため、同制限を改善するために努めています。

この「結帯動作」は肩甲上腕関節(一般的に肩とされる部位)と肩甲骨の複合運動ですが、肩甲上腕関節レベルでの制限が大きく関与しているとされており、その中でも上方~後方の拘縮(固まって動かなくなること)が制限因子となります。この制限因子に対して筋収縮を促したり、筋を滑走させる操作を行ったり、ストレッチをしたりして関節の動きを獲得するような治療が必要となります。

各操作を行う上で痛みを伴うことがあるため、当院の理学療法士は痛みを出さない治療を心がけてアプローチしています。

リハビリテーション科 小野正博