先月のシルバーウィーク(9月20日~21日)に開催された第24回整形外科リハビリテーション学会学術集会に参加してきました。当院の理学療法士は、この学会で発表したり、聴講したりと、毎年参加させていただいています。今回、私は学会発表での参加ではなく、座長のお仕事をいただき、参加してきました。 通常、学会の座長と言えば「司会・進行役」のような仕事をします。しかし、本学会の特徴として「座長レクチャー」というものがあり、各演題を聴講するにあたりどのような点に着目すべきなのか、どのような解剖学的特性があるのかなどを解説するというものです。このような大役を経験させていただき、非常に緊張しましたが、今までの学会発表には無い貴重な経験をさせていただき、大変勉強になりました。また、今回の学会で得た考え方・操作方法などを患者さまに還元できるように、日々精進していこうと思いました。 リハビリテーション科 小野正博 |
認知症対策で国は「認知症施策5カ年計画(オレンジプラン)」を進め認知症の予防に力を入れ始めました。生活習慣病の予防が大切で糖尿病は普通の人の2倍、高血圧は3倍認知症になりやすいということです。現在、軽度認知症障害(MCI)の人は推定380万人で、軽度認知障害の約半分が5年以内にアルツハイマー型認知症を発症すると言われています。 認知症の根治療を目指す薬の開発はうまくいかない場合が多いですが神経細胞が十分残っている軽度認知症の段階で治療をすれば治療可能である場合が多いです。 予防対策としては認知機能(コグニッション)と運動(エクササイズ)を組み合わせた「コグニサイズ」が重要です。これはステップ運動やウォーキングをしながら引き算などの計算、しりとりを1回30分、週3回以上行うなどというものです。 運動をすると認知症になりにくいと言われており、認知症は軽度段階での予防が重要になります。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
肩関節下垂位からの外転運動を行う際に重要となるのが棘上筋と三角筋の協調作用である。この2つの筋肉が同時に作用して1つの運動が起こる作用のことをForce coupleといいます。 棘上筋のみが収縮した場合、作用点である大結節が支点となる肩関節に近いため外転する力が小さく、外転運動が困難になります。また、三角筋のみが収縮した場合、上方に引き上げる強力な力が生じ、肩峰に上腕骨頭が衝突し外転運動が困難となります。 正常な肩関節の外転運動は、棘上筋が上腕骨頭を臼蓋に引きつけて、三角筋による外転する力を生み出すことで遂行されます。 リハビリテーション科 服部 司 |
肩関節周囲炎や肩関節周辺骨折などの患者さんでは、腕が上げられないという症状を伴います。その原因は様々なものがありますが、その中の一つとして「翼状肩甲」というものがあります。 この「翼状肩甲」とは、肩関節運動時に肩甲骨の内側縁が浮き上がり、翼のような形態となってしまうことを言います。そして、このような所見が得られた時には肩甲帯機能不全を疑います。肩関節の運動は、上腕骨・肩甲骨・鎖骨などが協調し合って完成されますが、運動の構成要因である肩甲骨周辺(肩甲帯)の可動域制限や筋力低下といった機能不全が生じると肩関節の挙上ができなくなります。 当院の理学療法士は、このような所見の有無をチェックしながら理学療法を行っています。 リハビリテーション科 小野正博 |
握力は前腕など筋力の強さのバロメーターであるとともに死亡リスクの大きさや心臓血管系の病気へのかかりやすさにも関係しているという研究が発表されました。 カナダのマクマスター大学など国際研究チームが17カ国の成人に2003~2009年に実施しました。35~70歳の男女14万人、カナダ・スウェーデン・バングラデシュ・パキスタンなど先進国から発展途上国まで広い対象に研究を実施しました。握力が5kg弱くなると死亡リスクが16%増え、心筋梗塞のリスクが7% 、脳卒中のリスクは9%増加しました。 握力は最高血圧の値より死亡リスクとの関係が強く、年齢・学歴・たばこ・アルコール摂取などの要因について調整しても結論は変わりませんでした。今後の課題は筋力を高めることにより早死にを防げるかどうかの研究が必要ということです。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |