リハビリ通信 No.191 ガン・糖尿病が臭いでわかるセンサーについて

2016年03月13日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

絵

人の息だけでガンや糖尿病などの診断が出来る高精度センサーが開発され2022年にも実用化されます。現在は開発段階ですが、国による医療機器の認証などに6年程、かかる見通しです。将来的にはセンサーをスマートフォンなどに組み込み、個人で手軽にチェック出来るようになる可能性があります。

ガン患者の呼気に含まれる特有の物質の有無などをチェックしてガンの判定をする仕組みです。僅か数ミリmm四方の小さいチップであるセンサーに搭載された膜が呼気の特徴を検知します。ガンは日本人の死因のトップで年間40万人近くが死亡しています。早期発見が重要で、早期発見が死亡者数を減らし、ガン患者の減少が医療費の抑制につながると期待されています。将来はセンサーの精度を高め「臭い」のデーターを蓄積すればガンの種類も見極められると考えられています。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.190 関節リウマチの変形について

2016年03月11日(金) QAリハビリテーション科1新着情報

無題

関節リウマチの変形は、各関節に生じますがとくに両側の指の関節や手関節に特徴的な変形が生じます。

・スワンネック変形:指の第一関節が屈曲し、第二関節が過伸展位となる。変形した指を横からみると白鳥の首のようにみえるのでこの名がつきました。

・ボタンホール変形:指の第一関節が伸展し、第二関節が屈曲位となる。背側に突出した骨がボタンの穴のように腱に穴をあけるのでこの名がつきました。

・尺側偏位:親指以外の指が全て尺側(小指側)を向きます。

・Z型変形:親指の第一関節が伸展し、第二関節が屈曲位になります。

指の変形が進行すると日常生活に支障をきたします。そのため理学療法士は関節可動域訓練以外にも関節に負担のかからないように日常生活指導を行ったり、自助具の導入を進めたりしています。

リハビリテーション科 服部 司


リハビリ通信 No.189 肩甲骨固定筋の筋力低下と肩こりについて

2016年03月05日(土) QAリハビリテーション科1新着情報

図1(図1)

図2(図2)図3(図3)

肩こりの原因は、様々なことが言われています。その数ある原因の一つとして肩甲骨固定筋の筋力低下があります。

人間の肩甲骨は胸郭上に乗るような構造をしており、様々な筋肉によって肩甲骨は胸郭から離れないように固定されています。その中でも、図1にある「僧帽筋」という筋肉が肩こりと大きく関連しているものと考えられます。この僧帽筋が筋力低下を起こすと、肩甲骨は重力に抗することができずに下がってしまいます(図2)。その結果、肩こりの好発部位である肩甲挙筋という筋肉(図3)が持続的に牽引されることにより肩こりが生じてくると考えられます。

様々な肩関節疾患を罹患して関節運動が長期に渡って制限された結果、この僧帽筋の筋力低下が生じるケースはよく経験します。その結果、二次的障害として肩こりを自覚しておられる患者さんもたくさんいます。われわれ理学療法士は肩甲骨の位置や筋力をチェックし、二次的に生じる肩こりやその他の症状の予防も念頭に置いて治療にあたっています。

リハビリテーション科 小野正博

 

 


リハビリ通信 No.188 関節可動域訓練について

2016年02月22日(月) QAリハビリテーション科1新着情報

図

理学療法士が患者さんに対して行う治療の中に関節可動域訓練(ROM:Range of Motion)があります。関節可動域訓練は動かしにくく、制限のある関節を動かしやすくして、本来の機能を回復させる治療です。

関節を無理矢理に動かして正常な機能を獲得するわけではなく、解剖学的にどの部分が原因(癒着、柔軟性低下、滑走性低下)なのか考えます。例えば骨折をして手術を行った場合、皮膚を切開し骨折部を髄内釘、プレートなどで整復治療をすると関節内は無論のこと皮下組織でも癒着が起きます。関節包内・関節包外(図参照)、両方の要因が関節の制限になります。また、変形性の関節症の場合、骨の変形が主となり関節包内から様々な所へ影響が波及して行きます。

関節可動域の治療では原因を評価し疼痛を抑えつつ(無理矢理に関節を動かすと痛みにより防御しようと力が入り筋肉が勝手に収縮してしまう)関節を改善します。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.187 関節リウマチの診断基準について

2016年02月15日(月) QAリハビリテーション科1新着情報

イラスト

関節リウマチの診断には、約30年前のアメリカリウマチ学会による診断基準を長いこと用いられてきました。関節リウマチの診断基準には下記の7項目があります。

1.朝のこわばり:少なくとも1時間以上持続すること。

2.3関節以上の関節炎:少なくとも3つの関節で、軟部組織の腫脹または関節液の貯留を認めるもの。

3.手の関節炎:手関節、指の関節の少なくとも一カ所に腫脹を認めるもの。

4.対称性の関節炎:対称性に関節炎が同時に認めるもの。

5.リウマトイド結節:骨が突出した部分や関節周囲に皮下結節を認めるもの。

6.血清リウマトイド因子

7.レントゲンの変化:関節リウマチの典型的な変化を認めるもの。

以上の7項目のうち4項目を満たし、項目1~4は少なくとも6週間持続している患者様を関節リウマチと診断します。

しかし、この診断基準では早期の関節リウマチを診断することが困難なため、数年前にアメリカと欧州リウマチ学会が合同で新しい診断基準を発表しました。

新しい診断基準には、少なくとも1つ以上の関節で腫脹を認めること、その原因が関節リウマチ以外の病気が認められない場合に1.関節炎の数、2.リウマトイド因子または抗CCP抗体が陽性or陰性、3.炎症値が正常or異常、4.症状の持続時間の4項目でそれぞれの点数を合計し、6点以上であれば関節リウマチと診断されます。

日本リウマチ学会もこの診断基準を用いて早期の関節リウマチの診断および治療を行っています。医療の進歩により治療薬で関節リウマチの進行を抑えることが可能なってきたため、早期から関節リウマチと診断をして、治療を開始することが重要となってきます。

リハビリテーション科 服部 司