リハビリ通信 No.221 しゃっくりについて

2016年10月30日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

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しゃっくりとは肺を動かして呼吸させる横隔膜が、強く収縮して息が早く吸い込まれるのと同時に、声帯が急に閉じられる現象です。なぜ横隔膜の収縮と声帯の閉鎖が同時に起きるのかと言うと延髄のしゃっくり中枢に刺激が与えられるからです。

炭酸飲料を飲む、慌てて食べる、激しく笑う、咳をするなどの刺激がのどに分布する舌咽神経から延髄のしゃっくり中枢へと伝わります。延髄は横隔神経を通じて横隔膜を収縮させ、迷走神経を通じ声帯を閉じるよう同時に指令を出します。刺激が常にしゃっくりを出させるわけではなく、普段GABA(ギャバ)と呼ばれる神経伝達物質により脳から抑制を受けています。抑制よりも刺激が強くなるとしゃっくりが起きます。子供は大人に比べ発達が未熟でGABAによる抑制が効かず、しゃっくりが起きやすい、また、大人でも飲酒、一部の薬の効用などがGABAの抑制を減らします。

しゃっくりは自然に止まりますが、しゃっくりが長引く場合、注意が必要です。48時間以上続く場合、「慢性」、1カ月以上だと「難治性」と分類されます。慢性、難治性の場合、脳梗塞、悪性腫瘍などを患っている例もあると言います。

しゃっくりを止める方法として、人差し指を両耳に強く入れて30秒程、押すか、舌を30秒程、引っ張ることにより 舌咽神経にしゃっくりを抑制する刺激が入ると考えられています。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.220 パーキンソン病について

2016年10月24日(月) QAリハビリテーション科1新着情報

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パーキンソン病とは、中脳の黒質に異常が起こり、神経伝達物質のドーパミンの産生が減少する病態のことをいいます。50歳以降に発症することが多く、徐々に進行する原因不明の神経変性疾患です。

主な症状として、安静時の手足の震えや、筋肉のこわばり、動作緩慢および無動、歩行障害(小刻み歩行や一歩が出しづらくなるすくみ足)などが挙げられます。

治療方法として、パーキンソン病の原因である不足したドーパミンを補うための薬物療法や関節拘縮の改善や日常生活動作の向上を目的とした運動療法などがあります。

リハビリテーション科 服部 司


リハビリ通信 No.219 脂肪組織について

2016年10月16日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

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人体には腱が滑走しやすくしたり、神経や血管を包み込んで守るといった役割を持つ「脂肪組織」があります。(太ることにより増加する脂肪ではありません。)具体的には膝関節前面に位置する大腿四頭筋の一つである中間広筋の深層にある脂肪組織(prefemoral fat pad)やアキレス腱の深層に位置する脂肪体(Kager’s fat pad)などがあります。これらは筋や腱を滑走しやすくするためにある脂肪体であり、本来はいろんな方向に動く柔軟性に富んだ組織です。

しかし外傷後や術後の症例ではこの脂肪体までも拘縮していることをよく経験します。この脂肪体は「組織を滑走しやすくする役割」をもっていますが、同組織が拘縮してしまうと脂肪体の機能に依存している筋や腱の滑走性は悪くなってしまい、結果として可動域制限につながってしまいます。

この脂肪体は深層に位置する組織ではありますが、体表から触診することができます。そのため、当院の理学療法士はこの「脂肪体」の動き・柔軟性にも着目しながら治療を行っています。

リハビリテーション科 小野正博


リハビリ通信 No.218 個人情報保護法の政令案が定義した「個人情報」について

2016年10月13日(木) QAリハビリテーション科1新着情報

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個人情報保護法の政令案が定義した「個人情報」が10月上旬に閣議決定し、来年の春に施行されます。政令案では個人情報に含まれる個人識別符号(個人を特定する事ができる文字・番号・記号・その他の符号)としてDNA、指紋、掌紋、顔、目の虹彩、声紋、歩き方、手指の静脈が記されます。身体的特徴のデータは生体認証などで活用されており氏名や生年月日と同様、本人の同意を得ずに第三者への提供は原則禁止されます。他には個人に割り当てられるマイナンバー、免許証、パスポート、保険証などの公的な番号も個人識別符号になりました。

不当な差別、偏見などが生じないよう扱いに配慮を要する「要配慮個人情報」としては改正法では人種、信条、病歴などが規定され更に政令では身体、知的、精神障害や診療情報、非行歴なども示されました。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.217 脳梗塞とペナンブラについて

2016年10月09日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

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脳梗塞とは、脳血管が血栓により閉塞し、脳血流が低下することで酸素や栄養が脳神経細胞へ行かず壊死してしまう病気のことをいいます。脳が虚血に陥ると閉塞した血管の支配領域の中心部(梗塞部分)と、その周辺部分をペナンブラといいます。(上図)

ペナンブラとは、機能障害の状態になりますが神経細胞は、生存しているので速やかに血流を開通させることで、梗塞への移行を阻止できると期待される部位となります。

脳梗塞の急性期の治療の狙いとして、このペナンブラ領域を救うことであり、治療方法の一つとしてT-PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)があります。薬剤を投与することで閉塞させている血栓を溶かし、血流を急速に改善させる効果がありますが使用方法を誤ると出血し、重篤な合併症が生じる危険性があります。また、発症後3時間以内に投与しなければなりません。

脳梗塞の前駆症状として意識障害や感覚障害、手足が動かない、呂律が回らないなどが挙げられるので、このような症状が生じたらすぐに救急車を呼ぶことが大切になります。

リハビリテーション科 服部 司