リハビリ通信 No.246 新しいリウマチ治療薬について

2017年12月11日(月) QAリハビリテーション科1新着情報

関節リウマチ1関節リウマチ2

(日本海新聞 2017.9.28)      (ファイザー製薬HP)

2017年9月に認められた新タイプのリウマチ経口薬「JAK阻害剤」は、生物学的製剤と同等の高い効果があり、通院による点滴や注射をしなくて良いと言われています。

日本で2003年に登場した生物学的製剤はリンパ球を活性化するサイトカイン(生理活性物質)の働きを妨害して効果を発揮し関節破壊を防ぎます。(*リウマチはリンパ球が自分の体を攻撃する自己免疫疾患で、原因は不明です。)

一方、JAK阻害剤は細胞内側にあるJAK(ヤヌスキナーゼ)という酵素の働きを抑えることでリウマチの炎症、痛み、腫れを抑え関節機能低下を抑えることができる新しい飲み薬です。

今後、経口薬の効果により日常生活が改善され、普通の生活を送ることが可能になる多数の患者さんが増えると考えられています。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.245 患部を冷やすべきか、温めるべきか

2017年11月23日(木) QAリハビリテーション科1新着情報

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運動療法や物理療法を受けておられる患者さんからよく「痛いところを冷やした方がいいんですか?それとも温めた方がいいんですか?」という質問をよく受けます。これに対し、「痛みがある場所が局所的に熱を持っている(熱感がある)場合は冷やしてください。それがなければ温めても大丈夫です。」とお答えしております。

熱感がある場合、そこには急性炎症が生じている事を意味するので、温めてしまうと炎症している部位の循環を促進することとなるために痛みが更に強くなったり、炎症の症状がおさまりにくくなったりするため、この「熱感」があれば冷やす事をお勧めしています。また、局所的な熱感が無く、炎症による痛みでなければ慢性疼痛であるため、温めて対処するのが良いのではないかと考えます。

痛みが出た場合はどう対処すれば良いのか、冷やした方がいいのか、温めた方がいいのかを判断するのは非常に難しいと思いますので、まずは「熱感の有無」を確認し、その所見が得られるかどうかでアイシングなのか温熱療法なのかを判断していただければと思います。

リハビリテーション科 小野正博


リハビリ通信 No.244 変形性膝関節症について

2017年11月02日(木) QAリハビリテーション科1新着情報

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生まれた赤ちゃんはみんなO脚で骨の成長阻害、ビタミンD欠乏、クル病、外骨腫などの病気以外は自然に矯正され、3歳の頃には少しX脚になりますが発育とともに小学校に入学する時は真っ直ぐになります。しかし、大人のO脚は自然に治る事はあり得ません。骨が変形した事によりO脚になった場合は手術をしないと根本的には完治しません。

巷で言われているO脚が治ると言う宣伝は…。限界はありますが姿勢を正せば美しく見せる事はできます。

欧米人に比べ日本人はなぜO脚になりやすいのかと言うと日本人の靭帯の位置、筋肉の走行に特徴があるのでO脚になりやすいと言われています。

O脚が一番問題になるのは健常な脚に比べ変形性膝関節症になる確率が高く、変形性膝関節症に進行しやすいと言う事です。変形性膝関節症が進行する原因にO脚があり、その他には太りすぎ、運動不足などがあります。

進行を遅らせ少しでも防ぐ方法は体重を減らし、膝関節周囲の筋の協調性、柔軟性を高める事です。決して強い負荷の運動はせず隣接する関節を含め、少数頻回で行うことが重要です。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.243 神経の変性について

2017年10月20日(金) QAリハビリテーション科1新着情報

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整形外科の領域で対象となる疾患に手根管症候群や肘部管症候群、腓骨神経麻痺などといった末梢神経障害があり、神経が麻痺してしまうことによりしびれや筋力低下といった症状が出現します。これらは様々な要因により神経が圧迫されることにより神経症状が出現する疾患であるため治療法は「神経を圧迫している要因を除去する・除圧すること」です。

しかし中には手術治療を受けてもしびれが残存したり、筋力低下がなかなか改善しないケースを経験します。その原因として「神経が圧迫を受けている期間」が重要であり、予後に大きく影響してきます。

神経は圧迫されると、圧迫部はへこんでしまいます(神経にくびれができる状態)。圧迫を受けて神経症状が出てすぐに治療が行われたケースにおいては、圧迫を除去することでへこんでしまっていた神経が元の形に戻る(へこんだ部分が元の形に膨らんでくる)ので予後良好です。しかし、数ヶ月~数年という長い期間圧迫を受け続けていた神経は圧迫要因を除去しても神経がへこんでしまったままで元に戻らなくなってしまい、その結果、神経症状が残存することとなります。

何らかの症状が出ていても「そのうち治る」、「もう少し様子をみよう」と思い、そのままにしてしまいがちですが、我慢のし過ぎは予後を左右することとなりますので注意してくださいね。

リハビリテーション科 小野正博


リハビリ通信 No.242 がんゲノム医療について

2017年10月01日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

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新たにがんと診断される人が年間100万人を超える日本、がんゲノム医療の進んでいる欧米に追いつこうと、日本中どこでもゲノム医療が受けられる体制づくりに本格的に動き出しました。ヒトのゲノムは約30億塩基対のDNAからなります。ゲノムは生物が生きていくために必要な遺伝情報の一組をいい構造は染色体の1セットに相当します。

がんは遺伝子が傷つき変異することで起きます。同じ臓器でも変異のタイプは何種類もあり、違う臓器でも変異のタイプが同じという事もあります。遺伝情報を解析して、がんの原因となった変異を見極める治療に生かすのが、がんゲノム医療です。つまり、遺伝子変異を調べ、それに応じて薬を選ぶ治療、これまでは薬は臓器ごとに効くかどうかわからなくても使われ、効果や副作用に個人差がありました。遺伝子解析の技術が進み効く薬を事前に選べる可能性が高まり、完治への一歩へと踏み出しました。

リハビリテーション室長 見田忠幸