肘関節は(図1)にもあるように腕橈関節、腕尺関節、そして近位の橈尺関節の3つの関節で構成され、屈曲・伸展、前腕の回内・回外といった多方向の運動が可能な関節です。その構造上、他関節の代償動作が入りやすいというのも特徴的です。 例えばテニス肘などでよく痛みが出る肘関節外側部の筋をストレッチする際、肘関節伸展位、前腕回内位を開始肢位とし、そこから手関節を他動的に掌屈させて伸張します。しかし(図2)のように肘関節の正面が上方を向いていない、つまり、肩関節内旋の代償動作が入ることにより前腕回内位とならないことがよくあります。(このような代償動作が入ると筋の伸張操作にロスが出てしまうため、効果が半減してしまいます。)狙うべき筋をしっかりと伸張するのであれば肘関節の正面(肘窩)を天井に向けたまま、前腕回内位とし、その肢位からストレッチすることが重要となります。 リハビリテーション科 小野正博 |
身体内部に想定される重心を通る相互に直行する3つの面を身体の基本面といい、そのうち前方から後方に通り身体を左右に2分する面を基本矢状面いいます。また基本矢状面から外れた平行な面を矢状面といいます。 矢状面上の動きは、主に屈曲や伸展ですが身体の前後を通る面の動きとなります。 リハビリテーション科 堤 豊 |
(朝日新聞 2018.5.16より) 熱中症のために救急車で病院に運ばれる人は全国で年間4万~5万人程です。軽症者も含めると年間30万~40万人がなっていると考えられています。真夏だけではなく気温が上がり始める季節も要注意です。暑さが体に慣れておらず熱中症になりやすいと言われています。熱中症は症状の重さにより3段階に分かれています。 めまいや立ちくらみがする 1度 (応急処置) 頭痛や倦怠感がでる 2度 (医療機関へ) 意識障害もある 3度 (入院) 症状が出た場合、対応は頭文字をとった「FIRST」ファーストを勧めています。 Fluid (水分補給) Ice (体を冷やす) Rest (涼しい場所で休む) Sign (15~30分ほど様子をみる) Treatment(治療・改善しなければ病院へ) 熱中症は十分注意をすれば予防できる病気です。屋外でスポーツをする人はこまめに水分補給を行い、家の中にいる場合は室温に気を付けて暑いと感じたらエアコンをつけることです。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
胸郭出口症候群とは、上肢の運動や感覚を司る神経および血管が牽引や圧迫を受けることにより痛みやしびれが生じる疾患です。「圧迫型」や「牽引型」に分類されますが、多いのは牽引型であり、「なで肩であり、肩が下がっているような姿勢の人」がなりやすいというのが特徴です。 肩が下がると肩甲骨も下がります。そうすると図の赤色の点線で示した部位で神経・血管が牽引され、症状が出現します。その原因として最も多いのは「姿勢や肩甲骨周囲筋の筋力低下」であり、筋力低下が生じることにより肩甲骨が下がってしまうため、運動療法ではこの部位の筋力トレーニングを積極的に行い、神経や血管が牽引を受けない肢位の獲得を目指します。 リハビリテーション科 小野正博 |
前額矢状軸における前額面上の運動で、身体に近づいていく動きをいいます。(図1) 肩峰を通る垂直線を基本軸とし、上腕骨を移動軸としてみることで角度を測定し判断します。参考可動域は0°となっております。また、肩関節を20~40°屈曲させ測定する別法もあります。(図2) 肩関節の炎症や拘縮により内転制限が起こると、夜間痛(肩を下にすると痛い)が引き起こされる可能性があります。従って、問診などから肩関節内転制限とそれらに付随する因子を予想することができます。 リハビリテーション科 堤 豊 |