疾患の無い正常な膝関節が最大伸展位にある時、大腿骨側から脛骨を見た場合、大腿骨は脛骨に対して内旋しています。逆に脛骨側から大腿骨を見た場合、脛骨は大腿骨に対して外旋しています。最大伸展位の膝関節が最大屈曲位(正座)に向かって屈曲を開始すると、脛骨は徐々に内旋しながら屈曲をして、内旋をした脛骨の内側後方が大腿骨に軟部組織を介して衝突、ロックされた状態が最大屈曲位で、正座という一つの運動動作に繋がります。 人工膝関節(TKA)の場合は生体の機能とは違い、最大伸展位の膝関節が脛骨側から大腿骨を見た場合、内旋しており、屈曲とともに外旋方向へ回旋するなど実際の健常人の膝関節の正常運動軌跡とは違う異常運動軌跡を辿る様です。理学療法では人工膝関節(TKA)の患者さんを治療する時に健常人とは違う動きを考慮しながら人工膝関節の患者さんの治療を行なっています。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
手指におけるスポーツ外傷の中で、比較的発症頻度の高いものとして「突き指」があります。その受傷機転としては、指先にボールが当たったり、人と接触した際に指先で突いてしまうことで受傷します。一般的に「突き指は軽い(軽症)もの」と捉えられがちですが、加わった外力の大きさや方向によっては手指の関節構成体である各軟部組織が損傷されたり、または骨折を合併していることもよくあります。そのため、「置いておけば治る」、「しばらく様子をみよう」と思うのではなく、整形外科を受診することをお勧めします。 当院にも「突き指したけど、そのまま置いておいたら治ると思ってた。けど、いつまで置いてても良くならない。」と言って受診される方がたくさんおられます。このような場合、受傷から長い時間が経過しているために、拘縮や癒着が完成しつつあります。そのため、運動療法を行っても可動域を獲得するために長い時間を要しますし、予後が悪くなってしまいます。たかが「突き指」かもしれませんが、されど「突き指」です。受傷した際は「軽いもの」と考えるのではなく、整形外科を受診しましょう。 リハビリテーション科 小野正博 |
アライメントとは骨の配列や関節の位置関係を表し、理想的な安静立位のアライメントとは側方から見た場合、床からの垂直線が上記5つの点を通るといわれています。また、立位姿勢を崩すような重力の影響や姿勢を保持するための筋活動も最小になることで効率の良い立ち方といえます。 リハビリテーション科 堤 豊 |
(2018.8.1朝日新聞より)
認知症を治す方法は確立していないが、リスクとなる要因を避けることで予防へとつなげる関心が集まっています。認知症にかかる要因で最近、注目されているのが難聴です。難聴がリスクを高める理由として、聴覚からの刺激が減り神経の機能が落ちるといった直接的な作用および、コミュニケーションが取れない事で社会から孤立し、うつになりやすいと言った理由が考えられます。 英医学誌の報告によると認知症につながる要因のうち65%は対策ができない遺伝的要素が占めます。対策可能な35%の要因には若い頃の教育不足、難聴、高血圧、肥満、喫煙、うつ、運動不足、社会的孤立、糖尿病が挙げられます。 認知症の発症には20〜30年前からどんな生活習慣を続けてきたかが大きく影響します。最近、日本は健康への意識が高まり、血圧、血糖コントロール、禁煙も進みました。その世代が高齢になる今後、認知症になる割合が減る可能性はあります。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
診療ガイドラインとは、「特定の病気について、必要な診断や治療の方法を具体的に示した基準や診療指針であり、医師の判断を助けるほか、医療の質の向上や医療費の効率的使用に役立つものである。また、従来は病院や学閥、有力医師ごとに診療内容の基準が違うことが珍しくなかったが、臨床試験データなどを重視するEBM(根拠に基づく医療)が1980年代から国際的に重視されるようになり、1990年代から日本の各学会がガイドラインづくりに取り組むようになった。」(日本大百科全書から引用)とされている。 現在、理学療法においてもこの診療ガイドラインの改定作業が行われており、日本理学療法士協会の会員約115000人の中から約1200人の方々がこの改訂作業に携わっておられます。今回の改訂作業では私も微力ながらその作成のお手伝いをさせていただいており、普段聞き慣れない言葉や研究方法など、すごく勉強になることが多く、良い経験をさせていただいています。これからしばらくの間、苦戦しながらですが、しっかり取り組んでいこうと思います。 リハビリテーション科 小野正博 |