肩こりとは、「項頸部から僧帽筋エリアの諸筋に生じる主観的に詰まったような、こわばった感じや不快感・こり感・重苦しさや痛みにいたる症候」とされています。少しわかりやすく言うと、「頸部から肩にかけて生じる詰まった感じ、重苦しい感じ、こった感じなどを自覚するもの」であると考えます。 肩こりが生じる筋肉には様々なものがありますが、その中でも図にある「僧帽筋上部線維」での症状を自覚する事が多いです。 この僧帽筋上部線維は、頸部と肩甲骨を結ぶ筋肉であり、「なで肩」で肩甲骨が下がってしまっているような姿勢の方は、僧帽筋上部線維が持続的に伸張されることとなるので、肩こりを自覚しやすくなります。また、この筋肉が引っ張られることにより頸部の運動が制限されることもよくある症状です。 持続的に引っ張られて症状が出現している筋肉に対する治療としては、やはりその筋肉を動かすことが重要であり、上肢を挙上したり、肩甲骨を引き上げたりする運動が効果的です。 リハビリテーション科 小野正博 |
理想的な安静立位のアライメントでは前後、左右から見た場合5つの指標を通ります。しかし、動的な場面では必ずしもその指標上を重心線は通るわけではないためうまくバランスをとらなければなりません。今回はKlein-Vogelbach(クラインフォーゲルバッハ)が提唱したバランスをとる戦略を2つご紹介したいと思います。 1つ目は支持基底面内の重心の支点が変化しないよう、身体の重さを利用して釣り合いを取る戦略でカウンターウェイトと呼ばれます。例えば、おじぎをしたときに、頭部が前方へ移動した際、臀部が後方に動くようにヤジロベーのように重さを利用してバランスをとることをいいます。 2つ目は目的を実行する際に、移動する側と反対の拮抗する筋が働きバランスをとる戦略をカウンターアクティビティといいます。例えば、おじぎをしたときに前方へ重心が移動した際、背筋が働くことでバランスをとることをいいます。 これらはどちらかだけが働くということはなく体を安定させるためにバランスよく働きます。 理学療法士は動作を確認し、痛みや可動域制限によって上記のバランスが崩れた患者様に対し評価、治療を行います。 リハビリテーション科 堤 豊 |
一般的に腰痛と言えば腰部周囲部が痛いという患者さんが多く、「腰が痛いです。」と共通して訴えられます。しかし、腰痛の原因が不明でよくわからない患者さん、逆に多岐にわたり原因があるなど治療に於ける一定の基準は定かではありません。 例えば陳旧性の骨折が要因となり腰痛に到る場合、変形が進み神経を圧迫して痺れとして腰部に出現している場合、坐骨神経等の神経が筋、軟部組織に絞扼されている場合、その他には仙腸関節障害、脊柱管狭窄症、ヘルニア、椎間板終板の障害、椎間関節の拘縮、腰部周囲筋の癒着・拘縮により炎症、筋の内圧が高くなり疼痛を誘発しているなど、例を一部考えただけでも、これほどの要因が考えられます。 理学療法士は腰痛の病態を考え評価、治療を行い、腰痛を改善していきます。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
こむら返りに悩まされている方は非常に多く、「こむら返りが起こって痛い。」、「脚がつって困る。」といった訴えを日常診療の中でもよく耳にします。(よく「こぶら返り」と言っておられる方がいるのですが、「こむら返り」です。) この「こむら返り」ですが、正式な名称は「筋クランプ」と言い、不随意に起こる骨格筋の有痛性筋痙攣(けいれん)であるとされています。筋肉が自分の意思とは無関係に過剰収縮を起こすため、筋の収縮方向とは逆方向(筋肉をストレッチする方向:例えば、ふくらはぎの筋肉がつってしまった場合、つま先が上を向く方向)に引っ張って筋肉を伸張させます。そうすると、筋肉は収縮方向へと動けなくなるために、筋痙攣がおさまります。 就寝時などで急に生じるので、一度起こってしまったら痛みのためになかなか対処できないかもしれませんが、この「収縮方向と反対方向に引っ張る」ということができれば対応できると思いますので、覚えておいていただけたらと思います。 リハビリテーション科 小野正博 |
アライメントとは骨の配列や関節の位置関係を表し、理想的な安静立位のアライメントとは前額面から見た場合、床からの垂直線が上記5つの点を通るといわれています。 これらの指標から逸脱している場合、各関節や筋に負担をかけることになりバランス不良の要因となります。 しかし、個体差があるため必ずしもアライメントが整い真っすぐになっていることが正しいわけではないことも注意していただきたいと思います。 リハビリテーション科 堤 豊 |