当院では、ミーティングの際にスタッフ全員で簡単なストレッチを行っています。そこで今回は、大腿筋膜張筋という筋肉のストレッチについてご紹介させていただきます。 大腿筋膜張筋とは(図1)にある上前腸骨棘という骨盤外側部に位置する骨の突起部から始まり、下行していく際に途中で「腸脛靱帯」という組織を介し、膝関節を越えて下腿の前外側部に位置するGerdy結節というところまで走行しています。したがって、股関節と膝関節をまたぐように走行しているため、この筋肉の伸張性が低下してしまうと股関節と膝関節の両方に影響を及ぼしてしまうこととなります。 例えば、この大腿筋膜張筋が拘縮(固まっている状態)してしまうと、(図2)にあるように股関節の内転(脚が内側に入る動き)が制限されてしまうため、歩行時に必要な股関節の内転が制限され、その結果として腰椎に負担がかかる、正常から逸脱したような歩き方(跛行)などが出現してきます。そのため、この筋肉を右図のようにしっかりストレッチし、柔軟性を維持することが非常に重要となってきます。 リハビリテーション科 小野正博 |
認定理学療法士の研修会に行って来ました。認定理学療法士の制度改革とそれを取り巻く現状について説明をします。理学療法士協会の認定理学療法士制度は2017年度より筆記試験、ポイント審査、症例報告審査の3つの判定からなる年度毎の総合判定方式になり取得をするのに難しくなっています。現在、理学療法士協会は理学療法士の卒後教育、理学療法士の質の担保を目的として根本的な理学療法士の制度改革を行っています。 理学療法士は現在14万人います。年間、1万2千人位の割合で増加しています。数の充足と同時に質の低下が言われており、社会のニーズと相反する様になっています。協会は卒後教育のシステムを再構築し、社会のニーズに耐える理学療法士を教育して行こうと考えています。教育制度の改革、登録制度などシステムの再構築も行われる予定ですが、一番重要なのは理学療法士が各々、個人の向上心を高め意識改善を行い、努力する事が更に必要だと思われます。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
筋肉は筋収縮したり伸張されたりする組織であり、この筋肉が骨(軟部組織に付着を持つ筋もある)のどこに付着しているかで作用(動き)が決まります。この付着部の両端のことをそれぞれ「起始」と「停止」といいます。また、筋肉の筋線維はこの起始と停止の方向に向かって走行しており、筋線維方向に収縮と伸張が生じます。 我々理学療法士が運動療法を行う際、筋の起始と停止が非常に重要となってきます。例えば、一つの筋肉をストレッチする際、最も起始と停止が遠ざかるポジションにしながら筋肉を伸張しなければなりません。また、筋肉を収縮させる際も起始と停止が近づく運動(求心性収縮と言います)を促さなければなりません。そのため、起始と停止はもちろんのこと、筋肉の線維方向もイメージしながら運動療法を行っています。 リハビリテーション科 小野正博 |
跛行とは何らかの障害により正常な歩行が出来ない状態の事を言います。歩行は片脚立位が交互に連続性を持って行われる動作で、視覚、平衡感覚、バランスなどの神経感覚と筋、骨、関節の動きなどが精密に連携して働き歩行と言う一連の動作を行います。 神経感覚、筋骨の何かに障害を受け、動作機能として働かない場合、正常な歩行はできず異常歩行つまり、跛行になります。跛行が起きる要因に疼痛の逃避性跛行、筋力低下による跛行、形態異常による跛行、中枢神経の障害による跛行があります。 代表的な跛行にトレンデレンブルグ跛行、デュシエンヌ跛行があります。筋力低下、変形、拘縮などの要因により見られます。 理学療法士は原因により改善できる場合、適切なアプローチを行い安定した歩行に近づける様に治療を進めて行きます。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
2021年4月から理学療法士の研修プログラム等が大幅に変更されることとなり、新たに「登録理学療法士」というシステムが開始されます。 この登録理学療法士について、現時点ではまだ新制度の詳細が発表されていないのですが「登録理学療法士とは、認定理学療法士の水準にまでは達していないが、日進月歩する基本的理学療法を実践できる人材」、「登録理学療法士は、協会として最低限の質を担保するもの」とされており、研修や臨床経験など、ある一定のものに達していないと取得できないライセンスとなります。 上記のように登録理学療法士および、その上位資格である認定理学療法士を取得する上で、大幅な研修時間等の改訂が開始されます。 先日、私も認定理学療法士の試験を受験し、資格を取得することができました。これからも日々、自己研鑽していこうと思います。 リハビリテーション科 小野正博 |