リハビリ通信 No.306 関節の構成について

2019年10月25日(金) QAリハビリテーション科1新着情報

運動療法学総論より

 

関節は骨と軟部組織から構成され骨と骨とを軟部組織が連結をして一つの関節として成り立っています。連結しているだけではなく、一定の範囲の可動性があります。

軟部組織の構成を簡潔に言うと最内層は滑膜という疎性結合組織でその上を関節包、靱帯、筋の順で多層となり積み重なっています。また、関節最内層の関節腔の中は滑液で満たされ無菌状態です。例えば変形した骨を人工関節に置換した場合、異物を挿入するわけなので、感染には注意が必要です。理学療法士は関節構成体の解剖学的な理解を踏まえ、更に機能的な関節運動も理解し、治療を行います。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.305 関節の共同運動について

2019年10月18日(金) QAリハビリテーション科1新着情報

人間の身体が動く際、一つの関節だけで運動が完成されるのではなく、いくつかの関節が協調しながら動くことにより運動が完成されます。逆に、一つの関節で何らかの異常が生じ、思うような動きが出来なくなってしまった場合、他関節にも大きな影響を与えてしまうことになるということが言えます。

例えば「腰痛」で考えてみた場合、腰椎は骨盤や股関節と共同して、且つ協調して動きます。そのため、「腰椎と骨盤、股関節」はセットで動かないといけないということになります。しかし、腰痛で苦しんでおられる患者様を色々検査すると、股関節の可動域制限を有する方が圧倒的に多く、腰椎・骨盤リズム(腰椎の運動:骨盤の運動=2~3:1)が崩れてしまっている方が多いです。

肩関節においても同様であり、肩甲骨と上腕が協調しながら動くことが非常に重要ですが、肩関節での運動時痛を訴えられる患者様の多くで肩甲上腕リズム(肩甲骨の動き:上腕骨の動き=2:1)が崩れてしまっています。

そのため我々理学療法士は、痛みが生じている部位だけではなく、患部に隣接した関節から影響が及んでいないかを確認するため、他関節への治療も行っております。

リハビリテーション科 小野正博


リハビリ通信 No.304 膝関節運動軸について

2019年09月29日(日) QAリハビリテーション科1新着情報

(運動療法のための機能解剖学的触診技術下肢・体幹より)

 

膝関節の屈曲・伸展運動つまり曲げる、伸ばす運動は大腿骨内側上顆と外側上顆を結んだ線が屈曲・伸展の運動軸と言われています。内側上顆は外側上顆に比べ上方かつ後方に位置するので運動軸は外側前下方から内側後上方に傾斜します。この運動軸に沿って膝関節の屈曲・伸展を行うと屈曲時に内旋、伸展時に外旋が見かけ上生じることになります。

リハビリテーション室長 見田忠幸


リハビリ通信 No.303 肩関節周囲炎について

2019年09月19日(木) QAリハビリテーション科1新着情報

当院にも肩関節周囲炎の患者様が多く来院されます。肩関節周囲炎と言うと聞き慣れない言葉かもしれませんが、俗名として「五十肩」と呼ばれるものがこれにあたります。

患者様との会話の中で、「私、50歳過ぎてるけど五十肩?」とか「70歳やから七十肩じゃないの?」といった質問があるので、これについてご紹介させていただきます。

今よりもっともっと平均寿命が短かった時代に「だいたい50歳代になると肩が痛くなる」ということから「五十肩」と呼ばれるようになったそうで、今の時代に照らし合わせると「七十肩」や「八十肩」と言うべきなのかもしれませんが、変わらずに俗名として「五十肩」と呼ばれているのが現状です。

この肩関節周囲炎は、骨に異常は無く、痛みや関節可動域の制限が生じ、日常生活動作を制限してしまうものです。「近所の人が放置してたら治るよって言ってたから病院には行かなかった。」という方も多大勢おられますが、放置して拘縮(関節が固まってしまう状態のこと)が完成されてしまうと非常に時間がかかってしまうこととなります。なので、肩関節で痛みを自覚されている方、可動域が制限されてきている方は受診することをお勧めします。

リハビリテーション科 小野正博


リハビリ通信 No.302 脊髄損傷について

2019年08月30日(金) QAリハビリテーション科1新着情報

東京オリンピック・パラリンピックまで1年を切りました。パラリンピック選手の中で、車いすバスケットボールなどで活躍している脊髄損傷の選手の方も多数います。脊髄損傷は脊髄の腰部で損傷をすると、腰部より末梢の下肢での運動障害・感覚麻痺が起こります。頸部での場合は、ほぼ全身の運動・感覚障害が起こります。

簡単に説明をすると脊髄が損傷することにより、脳から身体に運動命令が届かない事により運動ができず、逆に身体の感覚の命令が脳に届かないため、感覚障害が起こります。

現在の医学では完全に治療する事は不可能ですが、将来はiPS細胞など医学が進歩すれば完治することも可能になると考えられます。

リハビリテーション室長 見田忠幸