指は腱によって曲げ伸ばしが可能となりますが、指を屈曲する際に作用する腱を屈筋腱といいます。この屈筋腱には、腱の浮き上がりをおさえる靱帯性腱鞘というトンネルがありますが、手を使い過ぎたりするとこの屈筋腱と靱帯性腱鞘の間で炎症が起こります。これが「腱鞘炎」と言われるものです。 鞘炎の症状は痛みや可動域制限、弾発現象といったものがあります。この弾発現象というものは、手指を屈曲した際、腱が引っ掛かってしまい、指が伸びなくなってしまうものです。そのため、反対側の手を使って伸ばしてやるといったことが必要となったり、強制的に伸ばした際に強い痛みを伴ったりします。 その対処法の一つとして、下図のMP関節屈曲位でPIP関節・DIP関節を伸展させてからMP関節を伸展させるという方法を推奨させていただいております。腱鞘炎の起きている場所にもよるのですが、この伸展方法にて引っ掛かりが軽減した状態で指を伸ばすことができるため、痛みが少ない状態で伸展することができます。 リハビリテーション科 小野正博 |
距骨滑車の形状 足関節の運動軸 (運動療法のための機能解剖学的触診技術下肢・体幹より) 足関節(距腿関節)は脛骨、腓骨遠位端、距骨滑車の3つの骨が足関節を構成しています。距骨滑車の上部形態が前部で広く、後部で狭い台形の様な形状をしている為、背屈では距骨滑車前部の広い面は脛骨、腓骨遠位端に挟み込まれる様に接して安定性が高く、底屈位で距骨滑車後部の狭い部分が脛骨、腓骨遠位端に挟み込まれる様に接している時は背屈位に比べると不安定性があります。 理学療法士が可動域改善の為、足関節の背屈・底屈運動を行う場合、運動軸を意識して足関節の背屈・底屈を行います。単純に足関節を上下に動かすだけではなく、足趾が内側に向かいながら底屈し、足趾が外側に向かいながら背屈をします。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
肩関節周囲炎とは、骨や軟骨、靱帯、腱などの組織が退行変性することにより炎症を起こし、肩関節の痛みや動きの制限が生じるものである(メディカルノートより引用)。時に、日常生活動作が制限される程の強い痛みが出現することもあります。当院にも「肩関節周囲炎」を患って受診される方が非常に多いです。 当院では、肩関節周囲炎による痛みを改善するために運動療法を実施しますが、そのような患者様から「近所の人がほっておいたら治るって言ってたから、しばらく様子をみていた。」とか、「そのうち痛くなくなると言われて、治るのを待ってた。」という話をよく聞きます。確かに、炎症の時期を過ぎてしまえば痛みは減少するかもしれません。しかし、拘縮(関節が固まってしまい、動きが制限されている状態)が生じ、関節運動が生じないがために痛みを感じなくなったということも考えられます。また、痛みが改善しても可動域が制限されたままでは動作が困難になってしまいます。 肩関節周囲炎はしばらく様子をみていても治りにくいですし、場合によっては強固な拘縮が完成され、理学療法が思うように進まないこともあります。そのため、肩関節の痛みを自覚したら早急に診察受診をしていただくことをお勧めします。そうすることにより、そのような患者様が減るのではないかと思っています。 リハビリテーション科 小野正博 |
一般的に言う肩関節は、上腕骨と肩甲骨から構成される肩甲上腕関節(GH Glenohumeral joint)です。しかし、肩関節機能として考えると肩甲胸郭関節も含めて考えて行きます。 人が上腕を挙上する場合、上腕が上に挙がるだけではなく、肩甲骨が補助をしながら上腕を180°垂直まで挙上します。肩甲骨の動きを止め、上腕だけで挙上した動きは90°〜100°ぐらいです。上腕骨の挙上時の動きと肩甲骨が上方回旋(上向きに回転する)する動きが合わさり180°挙上が可能となります。 理学療法士は治療をする際、肩甲上腕関節だけではなく肩甲胸郭関節も含め、治療を進めて行きます。 リハビリテーション室長 見田忠幸 |
11月2日(土)に近畿手外科研究会に参加してきました。この研究会は肘関節・手関節・手指の領域で、診断や治療方針に困った症例を各病院が持ち寄り、実際に患者様に研究会会場に出席していただき、症例検討を全員参加型で行うという特徴を持つ研修会です。 私は本研究会に初めて参加させていただき、評価の重要性、検査から病態を推察していく手順等、多くの事を学ばせていただきました。その中でも特に印象的だったのが、病態を推察する上で検査や評価を行っていく上で、「徹底的にnegativeなデータを排除する」ということが本研究会で強調されていました。当たり前の話なのかもしれませんが、一つの所見があれば、その所見にどうしても目が行ってしまい、negative date、つまり、否定できる項目がまだ残っているのにも関わらず、治療を進めてしまいがちです。否定できる項目は徹底的に排除し、本質となる所見のみにする作業を決して怠ってはいけないということを改めて考えさせられました。 本研究会で勉強させていただいた事をもとに運動療法を実施していこうと思います。 リハビリテーション科 小野正博 |