足の親指が「く」の字に外を向いている状態を外反母趾といいます。 親指の付け根はこぶ状にふくれることも多く、バニオンと言います。足の親指は外を向いているのですが、足の甲の骨(第1中足骨)は内を向いているのが特徴で、足の甲の5本の骨は全体に拡がっており扁平足(土踏まずの凹みが少ない「べた足」)を呈している場合が多いです。 バニオンの痛みが出る場合も多いですが足の裏に痛みが出る場合も多く、時には2番目の足指付け根の裏のあたりにタコができることもあります。 靴の選択が最も重要で、ヒールの高い先の細い靴は避けるべきです。足指のストレッチや足指ジャンケン(特にパー)が重要です。足底挿板(靴の中敷きのような装具)などの装具療法も有効です。いくら変形が強くても痛みがあまり強くなければ手術は必要ありませんが、日常生活に影響を及ぼすような強い痛みがある場合には手術が有効です。 |
2~4歳くらいの幼児で、手を引っ張られた後などに手をだらりとして動かさなくなったときには肘内障である可能性があります。 「肩が抜けた。」「手が抜けた。」と親御さんが心配されることも多いですが、実際には肘関節の橈骨頭と言われる部分で輪状靱帯というスジがはずれかけている(亜脱臼)状態が原因です。 徒手整復が成功すると直ちに痛みは消失し手も上げられるようになりますが、骨折など他の怪我ではないという鑑別が必要です。くせになることもあるので、不意に手を引っ張ったりしないように注意する必要があります。 |
薬指や小指、中指などが伸ばしにくくなってきて、手のひらや指のつけねにしこりやこぶが触れる場合にはデュピュイトラン拘縮の可能性があります。 他の指や足の裏にも起こることがあります。高齢の男性や糖尿病の方に起こることが多いです。手のひらの下にある手掌腱膜という膜が分厚くなり縮んでひきつれていくことが原因です。 日常生活に支障を来すようになると、手術治療を行うこともあります。 |
野球やバレーボールなどの球技で突き指をしたときに起こりやすい、指の第一関節の曲がったままの変形をマレット指といいます。 マレットとは槌(つち)、ハンマーのことで先が曲がった状態を意味します。マレット指では自力では指の第一関節を伸ばせません。他の指で手伝うと、伸ばすことは可能です。あまり痛みが激しくない場合もあり、医療機関などを受診せずに放置されることもあるようです。 マレット指には、指を伸ばすスジ(伸筋腱)が切れている場合と、骨の一部が欠けた場合(剥離骨折)の場合があります。 治療は装具で固定する場合が多いですが、ピンで固定する手術をする場合もあります。関節がずれている場合(亜脱臼)の場合には手術が必要で、ピンによる固定か骨を固定する手術を要する場合もあります。 |
乳児、幼児の親指の第一関節が曲がったままで伸びないときには「強剛母指」である可能性があります。 強剛母指は親指を曲げるすじ(屈筋腱)が太くなるか、すじのまわりのさや(腱鞘)が分厚くなることにより、指が伸びにくくなります。親指の付け根の手のひら側にしこりを触れることも多いです。小児の親指に起こるばね指(狭窄性腱鞘炎)です。 自然治癒する場合も多いので、経過を見るか装具を使う治療をする場合もあります。就学時以降に手術をすることもあります。 似た疾患で「握り母指症」がありますが、こちらは第二関節がまがっており、力を加えると親指を伸ばすことができます。 |