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PAD Conference in 名張 (続き)

2014年05月04日(日) 院長ブログ

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PAD Conference in 名張の講演Ⅱは「プライマリ医における地雷的血管性疾患」で講師は金沢大学医学部臨床教授、厚生連高岡病院整形外科診療部長鳥畠康充先生でした。

間欠性跛行とはしばらく歩くと足の痛み・しびれのために歩けなくなるが、しばらく休むと再び歩行可能な状態になることをいいます。間欠性跛行を起こす疾患としては腰部脊柱管狭窄症とPAD(末梢動脈疾患)が代表的です。鳥畠康充先生によりますと間欠性跛行の疾患別割合では腰部脊柱管狭窄症が75.9%、PADが13.3%、腰部脊柱管狭窄症とPADの合併が10.8%であったということです。このことより鳥畠康充先生は、以前には製薬会社による間欠性跛行がPADによるものであるという文言に待ったをかけ、腰部脊柱管狭窄症による間欠性跛行の頻度の多さと重要性を強調されたそうです。鳥畠康充先生は脊椎外科がご専門ですが、日本脈管学会専門医も取得しておられます。日本の整形外科医で日本脈管学会専門医をとっておられるのはおそらく鳥畠康充先生だけでしょう。このあたりにも鳥畠康充先生の間欠性跛行に対する、深い思い入れを感じました。また鳥畠康充先生によりますと間欠性跛行の患者さんが、まず受診する初診科は整形外科が圧倒的に多いそうです。整形外科でも間欠性跛行の患者さんに対しては血管の問題がないのかを常に意識して、必要に応じて循環器内科や血管外科との連携を密にすることが重要であると思われました。

坂井正孝先生も紹介しておられましたように、PADの臨床重症度分類であるFontaine分類は臨床所見による分類ですが、これには跛行、疼痛などの自覚症状と潰瘍・壊疽という他覚症状が混在しています。鳥畠康充先生は自覚症状と他覚症状が混在する理由を、Fontaine分類は下肢動脈狭窄における側副血行の機能分類であるからと説明し、側副血行を有効に機能させる生理的治療の重要性を述べたものであると解説されました。成る程、この様に理解するとFontaine分類の重要性がよく理解できますね。鳥畠康充先生によりますと、血管性間欠跛行は足の狭心症とも言える状態で、痛みという警告サインを利用した生体防御反応であるということです。

間欠性跛行の症状を呈している場合の腰部脊柱管狭窄症とPADの鑑別診断のポイントですが、腰部脊柱管狭窄症の間欠性跛行では立っているだけで下肢痛が現れることや、前屈位で下肢痛が緩和するという特徴があります。すなわち腰部脊柱管狭窄症では老人車歩行や自転車では楽であることが特徴的です。PADの場合は病歴として虚血性心疾患、脳梗塞、糖尿病の既往、喫煙歴などが重要です。またPADでは疼痛部位が片側の下腿後面であることが多いことも特徴です。

鳥畠康充先生は整形外科医にとって大きな落とし穴となる重篤な血管性疾患であるくも膜下出血(脳血管障害)、大動脈解離などについても解説して下さいました。疑わしい場合には専門医への紹介、造影CT検査などが必要であるということです。この点に関しては、地域によっては医療アクセスの問題も影響しそうですね。

PAD Conference in 名張

2014年04月29日(火) 院長ブログ

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先日、名張市でPAD Conference in 名張が開催され出席しました。PADはPeripheral Arterial Disease(末梢動脈疾患)のことで、ASO (Arteriosclerosis Obliterans)(閉塞性動脈硬化症)とも言われる疾患です。

講演Ⅰは「循環器内科における末梢動脈疾患の治療戦略」で講師は名張市立病院循環器内科部長坂井正孝先生でした。

PADの診断には問診、視診、下肢動脈の触診、足関節上腕血圧比 (ABI: Ankle-brachial index)などが重要です。坂井正孝先生は視診ではしっかりと両足とも靴下を脱いでもらって両下肢を観察すること、触診では足背動脈は先天性に約30%欠損があることに気をつけることなどを指摘しておられました。ABIは0.9~1.4が正常、そのうち0.9~0.99はボーダーライン、0.9<、1.4>は異常となります。ABI0.9以下であればPADと診断されます。PADの臨床重要度分類はFontaine分類で虚血肢進行の重症度を表しており、Ⅰ期:冷感、しびれ(原著では無症候)、Ⅱ期:間欠性跛行、Ⅲ期:安静時疼痛、Ⅳ期:潰瘍、壊疽と分類されます。坂井正孝先生は症状のないPAD患者(無症候性PAD患者)も症状のあるPAD患者(症候性PAD患者)と同様に予後不良であることを指摘し、いずれもABIが低下するほど予後不良になるということでした。また糖尿病患者では20~30%にPADの合併がみられ、そのうち症状があるのは約3分の1だそうです。すなわち症状のないPAD患者をいかに発見するかが重要であるということです。

坂井正孝先生によりますとPADの治療は動脈硬化症を起こさないようにする治療で、ひいては心筋梗塞、脳梗塞を起こさないようにする治療であるということです。PADの治療は具体的にはLDLコレステロール、血圧、糖尿病などの管理、禁煙指導、運動療法、抗血小板療法などになります。安静時疼痛や壊疽を伴う重症下肢虚血で保存治療によっても症状が改善しない場合には血管内治療(バルーン拡張、ステント)やバイパス術が適応されます。坂井正孝先生によりますと、血管内治療の進歩によりバイパス術を要するケースが減少したということです。

坂井正孝先生は無症候性PAD患者を見逃さないことの重要性を強調され、症状によってPADが疑われる場合には65歳以上の方(2011年ACCF/AHAガイドライン)、50歳以上で喫煙者や糖尿病患者では積極的にABIを測定し、PADの早期発見や予防に繋げることの重要性を指摘しておられました。

「超高齢化社会における健康寿命を考慮した骨粗鬆症マネジメント」

2014年04月20日(日) 院長ブログ

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先日、伊賀市で伊賀フォーラムが開催され特別講演は「超高齢化社会における健康寿命を考慮した骨粗鬆症マネジメント」で講師は浜松医科大学整形外科准教授星野裕信先生でした。

65歳以上人口の割合が7%超で「高齢化社会」、14%超で「高齢社会」、21%超で「超高齢化社会」と定義されるそうです。2013年9月15日時点で65歳以上人口は3186万人で、日本の総人口に占める割合は25.0%、人口の4人に1人が高齢者という世界一の超高齢化社会です。一方、健康寿命とは健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間です。日本人の平均寿命は男性79.55歳、女性86.3歳ですが、健康寿命は男性70.42歳、女性73.62歳です。健康寿命を延ばして平均寿命との差を縮めることが求められていますが、寝たきりへと繋がってしまう骨粗鬆症の治療は満足に行われているとは言えません。日本では骨粗鬆症1280万人に対して約200万人が治療されていますが、1080万人は未治療だそうです。

骨強度は骨密度と骨質により決まりますが、その寄与する割合は骨密度が70%、骨質が30%だそうです。骨粗鬆症に対する治療薬は近年、様々な薬剤が開発されています。その代表的な治療薬の一つはビスフォスフォネート製剤です。世界的には骨粗鬆症による大腿骨近位部骨折は減少傾向にあるのに、日本では未だ増加傾向にあるのはビスフォスフォネート製剤の導入が遅かったことも一因ではと星野裕信先生は指摘しておられました。

脊椎椎体骨折、椎体変形による脊椎矢状面バランスとQOL(生活の質)との関連が指摘されており、容姿的変化だけではなく胸郭容量の減少、便秘や逆流性食道炎などの消化器症状なども骨粗鬆症が引き起こすことが指摘されています。脊椎後弯変形による逆流性食道炎ではプロトンポンプ阻害薬を用いても難治性である場合が多いそうです。

星野裕信先生は大腿骨近位部骨折や椎体骨折を予防することによる経済的効果についても言及されました。骨粗鬆症治療を広めて骨折を未然に防ぐことにより骨折の結果生じてしまう入院手術治療費の抑制に繋がりますし、個々の健康寿命、幸福寿命が延びることにも繋がると言えそうですね。

星野裕信先生は骨粗鬆症性骨折と鑑別を要する注意すべき疾患として多発性骨髄腫、転移性骨腫瘍、原発性上皮小体機能亢進症、骨軟化症、悪性リンパ腫などを挙げておられました。

理学療法実習

2014年04月13日(日) 院長ブログ

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先週から理学療法実習に、大阪から学生さんが1人来てくれています。

大規模な病院とはまた違った、クリニックはならではという地域に密着した医療を感じて頂ければと思います。これからの日本の医療を担う若い医療者が成長していくために少しでもお役立てできるように、クリニックの教育システムを充実していきたいと思っています。

学生さんがおられますと、リハビリテーション室も更に活気づいて有り難い限りです。ありがとうございます。院長の質問攻撃にもめげずに頑張って下さいね。

ならやまと整形外科スポーツクリニック

2014年04月06日(日) 院長ブログ

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今日、奈良県上牧町へ「ならやまと整形外科スポーツクリニック」の内覧会に行ってきました。院長の森本光俊先生は奈良医大整形外科の出身で、私と同門になります。昨日、今日と内覧会で、4月8日(火)に開院だそうです。

森本光俊先生は奈良医大整形外科の中でもスポーツ医学に精通され、数々のスポーツ医学関連の仕事をしてこられ、「奈良野球少年を守る会」理事長も務めておられます。私は初対面でしたが、森本光俊先生は大変真面目で温かそうな印象でした。森本光俊先生のスポーツ選手、スポーツ少年少女に対する愛情が伺えるような気がしました。クリニックは広い敷地で駐車場もゆとりがあり、室内は十分なスペースのリハビリ室、広々としたレントゲン撮影室、最新鋭のエコー検査機械などが目をひきました。

クリニックのホームページを見せてもらいますと、ロゴマークの由来(ポイントワン精神とは)とクリニック名称の由来(ならやまと整形外科とは)について紹介してありました。これは興味ある素晴らしい内容でした。森本光俊先生はとても価値の高いミッションを設定しておられると思います。私には、このクリニックが森本光俊先生の人生を投影しているように思われました。

皆様、是非一度ご覧下さい。


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