9月11日(木)午後2時からアドバンスコープADSホールにおきまして、名賀医師会主催で救急医療週間の講演会が開催されます。 講演1は「AED」の操作方法と実演、講演2の特別講演は「そのもの忘れは年のせい?認知症の基本を学ぼう」講演3は「名張市での認知症の取組み」です。 皆様、是非ご参加ください。 |
第27回日本臨床整形外科学会の「こまちセミナー」として「ガイドラインから見た軟部腫瘍」の講演が行われ、講師は秋田大学整形外科理学療法学専攻教授岡田恭司先生でした。 軟部腫瘍の診療は良性、悪性の判別が困難であることなどもあり、一般整形外科では苦手に思われることも多いように思います。岡田恭司先生は整形外科でも軟部腫瘍治療を専門としないが、日常臨床においてプライマリーケアで軟部腫瘍症例に遭遇することの多いわれわれ一般整形外科医に、懇切丁寧に軟部腫瘍について解説してくださいました。 臨床症状では軟部腫瘍の痛みと大きさ、腫瘍の存在部位の深さが大切であるということです。良性腫瘍では痛みのない場合が85%、悪性腫瘍では痛みのない場合が70%であるそうです。痛みだけで良性、悪性の判別は難しそうですね。軟部腫瘍の大きさが5cm以上で筋膜よりも深部に存在する場合に、悪性の可能性が高くなるそうです。しかしながら神経系、脂肪系、血管系の腫瘍では例外が多いそうです。これだけ例外が多いことが診断と診療を困難にしているようですね。 画像診断ではMRI検査が有用です。岡田恭司先生はいくつかの特徴的なパターンを呈する症例を紹介されました。 良性、悪性の診断で最も信頼できるのは病理診断です。岡田恭司先生は軟部腫瘍の生検において、生検方法、皮膚切開、進入路の選択、ドレーンの留置方法など留意すべき点について解説してくださいました。軟部腫瘍の生検において適切な方法が選択されないと、後の治療に大変難渋することが多いようです。岡田恭司先生はそういった経験をたくさんお持ちのようです。岡田恭司先生は、軟部腫瘍の生検は十分な知識と経験を持ってから行う必要があり、十分な画像検査もなく局所麻酔下に切除を試みることは厳に慎むべきであると警鐘を鳴らされます。軟部腫瘍切除生検の適応は、①2-3cmより小さい、②皮下に存在する、③血管神経と離れている、④画像検査がある、の全てが揃っていることだそうです。 |
昨日、第7回日本足の外科学会教育研修会が開催され出席しました。 日本足の外科学会教育研修会は、より広範な足部診療に対する関心に応えるため、基礎的診察法から代表的疾患の治療までテーマを拡大し集中的に講義するもので受講対象者は整形外科医です。 昨日は午前9時から午後5時まで、足の外科科学会精鋭の13名の講師によりほぼ休みなく集中講義が行われました。私は元々足の外科学会に毎年参加しておりましたが、ここ数年は学会参加もままならなくなっております。従ってこの様な研修会は、知識の整理と新しいトピックスの理解にとてもためになります。 昨日の研修会は大変盛況で、会場はほぼ満席で席が足らないくらいでした。参加者は160名以上で、整形外科医の「足の外科」への関心の高さが伺えます。 昨日は本研修会への参加のためにクリニックの外来診察休診とさせて頂きました。張り紙などで以前から周知させて頂きましたが、お知りにならずに診察目的で来院された方もおられたそうです。大変申し訳ありませんでした。 昨日得られた知識を日常臨床に還元し患者様に益する様に努力する所存ですので、何卒ご理解ご協力を賜りますようによろしくお願い申し上げます。 |
先日、奈良医大昭和63年卒業(倭の会)・昭和57年入学同窓会が開催され出席しました。奈良医大昭和63年卒業生の同窓会のことが「倭の会」と名付けられています。本会は4年ぶりの開催です。私は診療の後片付けに手間取り、随分遅刻しての参加となりました。 同級生の中で最も年が若い人は、現役で昭和57年に入学した昭和39年3月生まれの人だと思いますが、その方でも既に50歳になっています。つまり本会に参加した人は全員50歳以上になります。同級生で現役入学の方はおそらく2~3割くらいでしょうか?私も浪人しましたが、浪人して入学してくる人がほとんどで、中には社会人を経て奈良医大に入り直してくる方も結構おられまして、同級生でも10歳以上年長の方も数名はおられました。大学1年生の時には私は19歳でしたから同級生でも30歳以上の方のことはとても大人(オッサン)に見え、同級生とは思えませんでした。それから30年以上経って、全員が50歳以上の「余裕でオッサン」になってしまいますと10歳の年の差は、ほとんど誤差範囲になってしまっていました。 4年前と違い開業している方が増えて、病院勤務医の方が少数派になったかもしれません。私も4年前の同窓会の開催された少し後で病院勤務医を辞し開業しました。開業医の方も皆さんそれぞれの地域で頑張っておられるようですが、病院勤務医の方もそれぞれの専門性を高めて、指導者としての立場で活躍しておられるようです。同級生の中でも大学教授になって活躍している方も数名おられます。特別な才能のある方には、日本の医療の最先端を牽引していって欲しいですね。 会で同級生のE君に会ったときに言われました。大学1年生の時に部活動を続けるかどうか悩んでいたE君は当時私にこのことを相談してくれたそうです。そこで私がなんとアドバイスしたのかをE君に尋ねますと、当時私はE君に「好きに、せいや!」と言い放ったそうです。…ウーン、これは身も蓋もない返答ですね。さすがに30年の時を経て、私はこう言ったことは全く憶えていません。E君にこのことを相談はされたような気はします。ようやく今になってですが…。E君、スマン!これは時効ということで…。 しかしながら人の記憶には時効はありません。E君はこのことを一生、忘れないことでしょう。 30年前にタイムスリップしたような気がして、本当に楽しい時を過ごさせていただきました。 幹事のN君、M君ありがとう!ご苦労様でした。 |
第27回臨床整形外科学会で初日のモーニングセミナー1が行われ、講演は「OAの新しい画像診断法と臨床への応用」で講師は千葉大学大学院医学研究院総合医科学講座東千葉メディカルセンターの渡辺淳也先生でした。 OAとはOsteoarthritis(変形性関節症)のことで、様々な原因により関節の痛みや腫れを生じ、それが続くと関節の変形をきたす病気です。整形外科のあつかう疾患の中で最も多い疾患の一つと言えるでしょう。OAは関節への繰り返す微小外力や加齢に伴い生じた退行変性を基盤として発生しますが、OAの初期に起こる変化は関節軟骨の変性です。渡辺淳也先生によりますと、関節軟骨は水分が70~80%、コラーゲンが15~20%、プロテオグリカンが2~5%で、血管に乏しく細胞密度が低いために、プロテオグリカンの減少やコラーゲン配列の不整化などが起こりやすいそうです。関節軟骨機能低下は軟骨自体の摩耗に加え周囲の骨増殖性変化を生じ、最終的に不可逆的な関節変形へと進行します。渡辺淳也先生によりますと、進行したOAに対しては外科的治療以外に有効な手段がないため、なるべく早期にOAの診断をし、進行予防のための有効な対策を取ることが大切であるということです。 MRI(磁気共鳴撮像)は、単純レントゲン写真では評価困難な関節軟骨など軟部病変の検知が可能であり、渡辺淳也先生は近年の新しいMRI検査の進歩で、形態学的評価に有用な3D isotropic MRIと質的評価に有用なT2マッピング、T1ρマッピングを紹介されました。渡辺淳也先生はこれらのMRI撮像法がレントゲン撮影や従来のMRI撮像法では検知できない早期の軟骨変性を捉えることが可能であり、また軟骨変性度を定量的に評価可能であることを示されました。 現在のところOAに対する疾患修飾性作用薬として臨床応用されているものはありません。渡辺淳也先生によりますと、ヒアルロン酸製剤、COX-2選択的阻害薬、骨粗鬆症治療薬の一部などが基礎的実験などにおいて軟骨保護作用を示すことからOAに対する疾患修飾性作用薬としての候補として挙げられるそうです。ヒアルロン酸を投与することにより粘弾性が上昇し、これにより人工膝関節置換術施行までの期間を延長することができたり、軟骨体積減少抑制を認めるそうです。OAにおける軟骨下骨変化と軟骨変性との関連性が研究されており、軟骨下骨脆弱化と軟骨変性が関連しているということです。このことにより骨粗鬆症の一部は、投与により関節裂隙狭小化が改善されたという報告もあるそうです。今まで骨粗鬆症とOAは原因も治療薬も別ですよ、と私も常々患者様に説明いたしておりましたが、今後は少し話が変わってくるのかもしれません。 渡辺淳也先生は基礎研究と臨床研究をリンクさせて大変興味ある研究をしておられ、とても感心致しました。 |