みんなの家庭の医学、4月10日放送で、「肩こり」の新事実、しつこい肩こりの原因は首の傾きにあった!を観ました。 肩こりの解消法には、首や肩甲骨周囲の筋肉の体操、ストレッチ、温熱療法などによる血行改善、外用薬、内服などの薬物療法などがあります。首や肩甲骨周囲の筋肉の緊張過多が「肩こり」の直接の原因です。 筋肉の緊張が増加してしまう原因には色々ありますが、番組によりますと首の傾きがしつこい肩こりの原因になっているようです。首が傾いている場合には首を支えている「頭板状筋」が片方だけ腫れていることが多いということで、これは生活習慣の中で首を傾けるクセがその原因になっているそうです。長年このような姿勢を続けていると脳が誤作動を起こし、筋肉のバランスが悪化し痛みが続くようになるそうです。番組では、この様な首の傾きを直して肩こりを解消できる「朝晩2回の鏡体操」を勧めていました。これは鏡を見ながら首を左右に傾ける体操と、左右に回転(回旋)させる体操を行い、首の傾きを矯正するというものです。 やはり姿勢を正すことが、心身ともに良い影響があるようですね。 「肩こり」、「首の傾き」、「肩の傾き」、実はこの3つとも私も持っているのです。早速、鏡体操を始めます! |
2月15日放映のNHKのテレビ放送、「ためしてガッテン」では腰痛についても解説していました。 慢性腰痛に苦しんでいた方が「あること」を試してみたところ、痛みが激減したということでした。 あることとは「歩く」ことと「痛みの変化を日記につける」ことでした。「歩く」ことにはポイントがあるみたいで、おなかと背中を伸ばした姿勢で15分間歩くことが大事だそうです。なかなか良いやり方ですね。また15分間という時間もちょうど良いですね。だいたい全く運動しない人と、やり過ぎてしまう人と極端になりがちですので。 そして何より重要なのは「痛みの悪循環」を断ち切ることです。腰に痛みを感じると、また痛くなるのではと不安に駆られて過剰に安静にすることにより、筋力低下、血行の悪化を起こしてしまい発痛物質が産生され留まってしまいます。結果として痛みが増強され、脳にストレスを与えてしまい交感神経が優位となり更に血管が収縮して血行が悪化します。この様にどんどん痛みを悪化させてしまい慢性疼痛に陥ってしまうことを「痛みの悪循環」といいます。 この「歩く」ことは「痛みの悪循環」を断ち切るきっかけの一つになりそうですね。また「痛み日記」をつけることは痛みとのつきあい方を知るきっかけになるようです。痛みの程度を数字で表すことで、ある程度痛みを客観視できるのもよいですね。しかしながら痛みのことであまり心を占めてしまうと逆効果かもしれません。上手に活用するのが良いと思われます。 |
先日東京で開催されたラグビードクターフォーラムに出席しました。 これは2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップに向けて大会をサポートするグラウンドドクターを目指す医師や、今までラグビーに関わってきた多くの医師が参加しました。今回のテーマは脳振盪でした。ラグビーのようなコンタクトスポーツ(人と衝突するスポーツ)では脳振盪はしばしば起こりますが、最近ではスノーボードやスキー、バスケットボールなどでも多く見かけるようです。 東京慈恵会医科大学脳神経外科教授谷諭先生が「脳震盪はなぜ防がなくてはいけないのか」という講演をされました。脳震盪は外傷直後に意識を失う状態に陥った場合のみを指すのではなく、記銘力障害や混乱などの精神活動の一時的低下、さらに平衡感覚障害や病態が判っていない諸症状(頭痛、めまい、耳鳴り、二重視など)も広く含まれるという理解が重要です。気を失っていなければ、つい脳震盪では無いと考えてしまいそうですね。また脳震盪は(1)致死的外傷である急性硬膜下血腫を併発することがある(2)脳振盪の諸症状(頭痛、めまい、耳鳴りなど)が継続している時期に再び打撃を被ることによって致死的脳損傷を生じえるセカンドインパクト症候群があり得る(3)脳震盪の繰り返しにより認知機能の低下を来す慢性脳損傷を起こすことがあるなどの理由から「脳震盪は極力避けるべきものである」という認識をしっかりと持つことが大事です。 iRB(国際ラグビー評議会)は’Players First’「安全性を確保して選手を守る」という基本姿勢を打ち出しています。それにともない日本でも少しずつ脳震盪に対する対処が厳格になっているようです。医療従事者としては選手の安全性の確保が最大の使命で、それがひいては競技人口の増加に寄与するのではと期待しています。しかしながらラグビー人口が減少している中で、「脳震盪、脳震盪疑い」の選手が出ればチームとして試合継続が困難なチームが多い状況で、選手の安全と競技の活性化を両立させるためには、競技関係者と医療従事者の協力と連携が欠かせないと思われます。 昨日、今日と東京秩父宮ラグビー場で7人制ラグビー世界大会「東京セブンズ2012」が開催されています。7人制ラグビーはオリンピック種目にも採択されました。この東京での大会が、世間でいったいどれだけ認知されているのでしょうか? ラグビーの活性化にはもっと創意と工夫が必要ですね。 |
手の痛みについてNHKのテレビ放送、「ためしてガッテン」で2月15日に放映していました。内容は以前にご紹介した、「腱鞘炎」と「ヘバーデン結節」についてでした。またQ and A整形外科のコーナーを参考にご覧になって下さいね。 手指の腱鞘炎は指屈筋腱の狭窄性腱鞘炎でばね指といいます。番組では腱鞘の働きを自転車のブレーキになぞらえて、うまく説明していました。腱鞘があってこそ腱が有効に働くということですね。治療は局所の安静が中心になりますが、症状の強いときには注射の治療を行うことが一般的です。ステロイドホルモンという薬を腱鞘の部分に注射するのですが、手のひらに注射するのでかなり痛いことや糖尿病のかたは血糖値が上昇するので良くないということなどが問題点です。糖尿病の方は腱鞘炎を起こしやすいということもありますので、治療上悩ましい問題です。 保存治療(手術以外の治療)で症状が改善しないときには手術治療が考慮されます。番組では鏡視下の手術を紹介しておられましたが、一般には切開する方法がよく行われています。切開すると傷が少し大きくなる(約1.5cmくらい)という問題点もありますが、鏡視下手術の場合は傷が小さいが2カ所できる(それぞれは数mm ずつでしょう)ことや一部の施設でしか行っていない、保険適応外であるなどの問題点もあるようです。治療に当たってはよく相談されるとよいでしょうね。 ヘバーデン結節は関節の軟骨がすり減って、骨が変形してくることにより関節の変形を起こす「変形性関節症」の一つです。番組ではテーピングのテープを巻いて関節の可動性を制限する方法を紹介していましたね。なかなか有効な治療手段がないということが実情かと思われます。 |
広陵町中央公民館「かぐや姫ホール」にて、第25回奈良県スポーツ医・科学研究会、奈良トレーニングセミナー2012が開催され、出席しました。講師は市立奈良病院循環器科の守川先生とサッカー奈良クラブの羽中田監督でした。 守川先生の講演は「スポーツと突然死-日本人が注意すべきポイントは?-」でした。心停止に陥る原因として心筋の異常と冠動脈異常があるということです。先日天皇陛下が手術をされたのは冠動脈の狭窄によるものでしたね。若い世代では心筋の異常による場合が多く、死亡率も高いので注意を要します。水泳や音刺激、時には睡眠中に発作が起こることもあるらしく、家族歴の聴取が大事ということでした。日本人が注意すべきポイントとしては冠攣縮性狭心症が多いということでした。日本人の狭心症の約40%が冠攣縮性狭心症であり、特徴は早朝の運動で起こりやすく過換気でも誘発されるということでした。早朝のマラソンをされる方は特に要注意ですね。急激に運動負荷を増やさずに、十分なウオーミングアップが肝心です。心肺蘇生で最も重要なのは確実な胸骨圧迫(心臓マッサージ)をするということでした。これにはとっさの時には脈の確認(頸動脈)や人口呼吸が難しいということがあるようです。もう一つはせっかく胸骨圧迫をしていても不十分な場合(押し方が足らない、回数が少ないなど)が多いようです。またAEDを装着して解析の結果でショックが不要であると判断された場合でも心肺停止状態に陥っている場合があるので、その場合でもしっかりとした胸骨圧迫を実施することが重要で、このことが救命に繋がると言えるようです。守川先生の講演はとてもわかりやすく、勉強になりました。 羽中田監督の講演は「サッカーからの贈り物」という演題でした。羽中田昌さんは山梨県出身で小学校から韮崎高校までサッカーの有名な選手でしたが、高校卒業後に不慮の事故で脊髄損傷を受傷し下半身不随となり車いす生活を余儀なくされています。しかしながらサッカーの情熱を失うことなく一念発起し公務員を辞しバルセロナ留学を経て最高位のS級ライセンスを取得し今年から奈良クラブ監督に就任したそうです。バルセロナでコーチの門を叩いたときに、実践テストがあるので下半身不随では無理と断られて非常に落胆したそうです。その時に「諦めなければ目標はかなうんじゃないの?」とおっしゃった奥様の言葉に励まされたそうです。また自分を信じることの大切さを教えてくれたセルジオ越後さんとの出会いなど、サッカーを通じて得た人との出会いは下半身不随になったから余計にたくさん得ることができたとおっしゃっておられます。申し込めば5000万円を得ることができたはずのサッカーくじも得られなかったからこそ3冊もの本を執筆することに繋がったので逆に良かったと思っているということや、コロンブスの塔、サグラダファミリア、バルセロナのスタジアムなどを見上げることにより謙虚な気持ちを持つことができて成長に繋がったという話などは、人間にとって大事なものは何かということを教えてくれるような興味深い体験談でした。今は「愉しもう!」を合い言葉にサッカーの奈良クラブ監督としての活動を開始されたということでした。 本当に素晴らしいスポーツ指導者が奈良県に来てくれましたね。 |