先日、名賀医師会におきまして名賀医師会臨床懇話会が開催され、春日井市民病院内科医長坂洋佑先生の「CKD (慢性腎臓病) 診療のポイント」という講演を聴きました。 昨年にも、の村信介先生のCKDに関する講演をお聴きしましたが、日本では人口の約8人に1人がCKDということで新たな国民病として大変注目されているホットな話題です。今回は「CKD (慢性腎臓病) 診療のポイント」ということで、主に内科医師に向けたお話しですので、私の理解できた部分だけ少し紹介いたします。 CKD診療ガイドラインが2012年に改定されたそうで、その主な変更点は重症度の分類を腎機能のステージ分類であったものを、腎機能に原因と蛋白尿を加えたものに変更されたそうです。蛋白尿をより重視したところが大きなポイントであるということです。CKD患者を腎臓内科専門医に紹介すべきパターンは、まず尿蛋白が多い場合で、これは進行性の可能性があるということです。次に血尿を合併している場合で、腎炎である可能性が高いそうです。最後に尿蛋白は正常であるが腎機能の悪い場合で、年齢別で判断すべきであるそうです。 また合併する高血圧症に対する降圧剤は、蛋白尿の有無や糖尿病の合併の有無で選択が変わってくるそうです。蛋白尿や糖尿病を合併する場合にはRAS阻害薬といわれる降圧剤が第一選択になるということです。(このあたりは私が処方することは滅多にありませんので、詳細はわかりません。) 未治療の高血圧症は腎機能を悪化させ、RAS阻害薬は蛋白尿も減らすそうです。 世界的に見ても日本人の塩分摂取量はかなり多い方であるそうで、1日6g未満に減らす塩分制限がCKD患者にとって最も大切であるそうです。 貧血もCKDで起こる症状で、腎性貧血は腎不全が進行している証拠であるそうで、最初には腎臓専門医への紹介が必要でしょうということでした。 講演後の質疑応答では造影剤腎症の話題も出ていました。循環器領域では頻用される造影剤検査の合併症ですが、高リスクの方は腎障害も循環器障害も合併している場合が多いでしょうからこれは大変難しい問題ですね。 今回、インターネットで調べて初めて知ったのですが、日本慢性腎臓病対策協議会がCKD啓発動画研究会を作って色々なCKD啓発のための動画をYou Tubeに公開しています。なかなかユニークな動画が多いのですが、「Bang Bang CKD (CKDをやっつけろ!)」は振り付け・ダンス付きの乗りのいい動画です。「あなたもCKD?~くちびる編」はくちびるのアップでC,K,Dと訴えかける動画でかなりインパクトが強いです。 これは大変面白い試みですね! まだまだ認知度不足のロコモも参考になるのでは?と思いました。
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先日、第30回奈良県骨・関節研究会が開催され特別講演として東京医科大学整形外科准教授高瀬勝己先生の「肩鎖関節周辺損傷における新しい知見と今後の展望」という講演を聴きました。 肩鎖関節周辺損傷は肩外側を打撲して受傷することが多く、鎖骨外側端骨折、肩鎖関節脱臼などが代表的です。 高瀬勝己先生は関節鏡を用いた手術を行い、入院期間を短縮し早期の社会復帰およびスポーツ復帰を目指しておられますが、鎖骨外側端骨折に対しても鏡視下円錐靱帯再建術施行していると紹介して頂きました。 またもう一つの代表的な外傷である肩鎖関節脱臼はRockwood分類という分類があり、大雑把に言ってType 1が肩鎖関節捻挫、Type 2が肩鎖関節亜脱臼、Type 3が肩鎖関節脱臼、Type 4,5,6がより重度の肩鎖関節脱臼となります。 高瀬勝己先生は解剖学的研究とMRI検査による詳細な検討によりType 2においては、菱形靱帯は損傷されているものの円錐靱帯は温存されている場合が多いことを明確に示して下さいました。 肩鎖関節脱臼の治療はType 1,2は保存治療(手術をしない治療)、Type 4,5,6は手術治療が勧められます。Type 3に関しては治療方針について、保存治療か手術治療か意見が分かれるようです。これは両者でその結果に有意差を認めないからの様ですが、それぞれのメリット、デメリットを考えて症例に応じた治療方針の選択になるものと思われます。 高瀬勝己先生は手術治療を選択した場合の注意点として、菱形靱帯と円錐靱帯など個々の靭帯を解剖学的に再建する必要性を指摘しておられました。また40歳以上の症例では、受傷機転が類似するために腱板損傷の合併が多く、同時に治療する必要性を指摘しておられました。 |
先日、尼崎中央病院整形外科部長三木健司先生の「整形外科医が行う慢性疼痛疾患の診断と新しい鎮痛薬」という講演を聴きました。 三木健司先生は大阪大学で手の外科を専門としておられますが、基礎医学にも長年携わっておられ「疼痛」の専門家として高名です。日本整形外科学会、整形外科痛みを語る会の創設メンバーであり、日本運動器疼痛学会、日本線維筋痛症学会などでも要職を務めておられます。 慢性疼痛は、以前に古志貴和先生の講演でもお聞きしたように、神経細胞の可塑性(変性してもとに戻らなくなってしまうこと)が関与しているようです。 日本人では慢性疼痛の部位として、男性は腰痛、肩こりの順で女性は肩こり、腰痛、手足関節痛の順に多いそうです。全体で見ても人口の15%は何らかの慢性疼痛を有するということですが、その対処方法は医療機関を受診する(19%)、民間療法を受診する(20%)、何もしない(55%)、という内訳だそうです。しかしながら慢性疼痛を有して医療機関を受診した場合の満足度は約30%であるという結果は、厳しい現実を突きつけられたような感じがしました。 従来、慢性疼痛に対しても所謂「痛み止め」(非ステロイド性抗炎症薬)しかなかったわけですが、最近では種々の薬が開発されて疼痛に対する治療選択の幅が拡がってきています。三木健司先生には新しい薬を投与する適応(適した症例)や副作用を回避するコツなど色々なことを教えて頂きました。大変参考になりました。 三木健司先生は米国ベストドクターズ社から専門医同士の評価によって選ばれるBest Doctors in Japanに2回も選出されたそうです。三木健司先生の評価の高さが伺えます。 |
今月から理学療法実習に学生さんが2人、クリニックに来てくれています。実に遠路はるばるで、一人は大阪から、もう一人は石川からの学生さんです。 総合病院では常々、学生実習がありましたが、当クリニックでは初めてです。 学ぼうとする姿勢の若者がいますと、クリニックが更に活気づきますね!こちらも嬉しく思います。 どんどん色々なことを吸収していってもらいたいと思います。 できるだけのことは応援してあげたいですね。 |
昨日朝に、たまたまNHKテレビを観ていたらビジネス新伝説 ルソンの壺という番組がやっていました。そこでは名張市のオキツモ株式会社という企業が取り上げられていました。ああ名張市の企業の特集なんだ-!、と思い番組を観ていましたら、当社は家電や自動車の製造に欠かせない耐熱塗料のトップシェアを占めるみたいで樹脂に様々な鉱物を混ぜることで15000種類もの耐熱塗料を作っているそうです。また現在ではメーカーの依頼に応じて遠赤外線、消音、抗菌、脱臭などの機能を持った耐熱塗料も製造しているそうです。 かつては道路事情も悪くて地理的に苦労した話とか、電報で依頼を受け取ってから生産したなど、数々の困難を乗り越えた会社の歴史も紹介していました。 それが今ではトップシェアを占めるまでに成長したのは、当社が他にない強みに特化したことだということです。これはまさに時代のニーズに合っているな、と感心しました。この素晴らしい先端技術が今後中国で活かされて、少しでも環境改善に繋がってくれればと願わずにはおれません。 万葉集に「わが背子は何処いくらむ沖津藻(おきつも)の 名張の山を今日か越ゆらむ」とあり、沖津藻は名張の枕詞であり名張のことを沖津藻と呼ぶことも知りました。このことや当企業のことも名張の地元の方には当たり前のことでしょうが、まだ名張に来て間もない私は知りませんでした。名張で働いていてほとんどの時間を名張で過ごしている私にとっても、名張のこの様な優秀な企業の活躍は大変嬉しく思えます。 |