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第29回三重上肢外科研究会

2013年07月12日(金) 院長ブログ

先日、第29回三重上肢外科研究会が開催され出席しました。

特別講演1は「器質的障害と機能障害から考える肩関節障害のリハビリテーション」で講師は三仁会あさひ病院リハビリテーション科主任水谷仁一理学療法士でした。今回は特に肩関節疾患に対する理学療法に関する講演で、理学療法士の講演を聴く機会があまりないので、とても興味深く聴かせて頂きました。五十肩、腱板修復術後、投球障害に関して理学療法の理論から工夫、トレーニング方法など色々と紹介して頂きました。投球障害ではボールの握り(指腹握りと尺側握り)の比較や投球動作とシャドウピッチングとの乖離など、おもしろい着眼点における研究の成果を紹介して頂きました。

特別講演2は「日常診療によく見られる肩関節疾患―診断と治療法―」で講師は大阪医大整形外科助教三幡輝久先生でした。肩関節の解剖、肩腱板断裂、肩関節不安定症、肩関節拘縮に関して、詳細に解説して頂きました。腱板断裂では疼痛とともによく起こる症状である筋力低下は、しばしば認められる症状ですがKeeganタイプの頚椎症性神経根症が鑑別診断となり、肘屈伸筋力低下の有無をチェックする必要性を指摘しておられました。肩腱板断裂では大半を占める棘上筋腱断裂では肩外転筋力低下を認めますが、棘下筋腱断裂合併では外旋筋力低下、肩甲下筋腱断裂合併では内旋筋力低下、小円筋腱断裂合併では広範囲断裂でありDrop Arm Signを認めます。疼痛誘発テストである各種のインピンジメントサインは肩腱板断裂に対して感度は高いが特異度は低く、ペインフルアークサインは感度では低いものの特異度がより高く、ドロップアームサインでは感度はかなり低いが特異度が極めて高いということでした。治療は鏡視下に関節包修復術、再建術を行っており良好な結果を得ているということです。

肩関節不安定症では原因が外傷性の場合は手術治療も考慮されるが、非外傷性の場合は必ず保存治療が選択されるということでした。やはり鏡視下で手術治療をされるということでしたが、骨欠損が大きい場合には手術治療困難な場合があるということでした。

肩関節拘縮では原因が外傷性でも非外傷性の場合でも、保存治療が選択されるということでした。手術治療の選択には慎重さを要するようです。

今回の研究会は理学療法士の演題もあったために理学療法士の参加も多く、会場は満席で座るところも足りないくらいの大盛況でした。参加者の熱気が伝わってくる研究会でした。

伊賀地区学校保健研修会

2013年07月09日(火) 院長ブログ

先日、伊賀地区学校保健研修会が開催され出席しました。私も名張幼稚園の園医をさせて頂いており、興味を持って参加致しました。

講演(1)は“学校生活と発達障害”で講師は関西医科大学小児科、名張市立病院小児発達支援外来担当の小林穂高先生でした。発達障害は自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動障害、学習障害、知的障害精神遅滞などに分類されますが、それぞれがオーバーラップしていることも多いそうです。発達のかたより、ゆがみなどを生じ、対人関係や興味・関心の持ち方が独特な場合が自閉症スペクトラム障害、注意・集中力や衝動性のコントロールが未熟な場合が注意欠陥多動障害、読み、書き、計算の分野に限局した障害の場合が学習障害になります。発達障害とは、子どもの発達の途上において、何らかの理由により、発達の特定の領域に、社会的な適応上の問題を引き起こす可能性のある凸凹を生じたものだそうです(杉山)。つまり発達障害は発達の特性があり(発達凸凹)しかも日常生活での困り感があることと捉えると良さそうです。

発達障害の特徴を持つ子供は、小中学校の通常学級の中で日々生活をしており、平均で6.5%、小学校1年生では約10%にものぼるそうです。発達障害児への対応や支援の目標はそれぞれの発達特性を活かして、社会での役割を果たすこと、子供の頃の自尊感情を高めることで、やはり子どもを理解することが最も重要であるようです。保護者の方にできることは、生活リズムを整えること、愛情形成などでトラウマを作らないことや子どものこだわりに親が巻き込まれないことなどが重要であるようです(杉山)。

またコミュニケーションの問題として、目に見えないものを理解することが難しい、人の気持ちを察することが苦手ということがあり対人関係で躓きの原因となるそうです。「言葉がけ」は、目に見えない、聞いた瞬間から消えていく「あやふやな情報提供」にすぎないということで、視覚支援が有効です。

支援者は社会性や多動性・衝動性に目がいきやすいが、発達障害の子どもが抱えている感覚過敏、不器用の問題は集団参加や学業の困難に直結しやすいために、学校現場での注意深い観察と気づき、早期からの支援が望まれるそうです。聴覚過敏や触覚過敏は発達障害の子どもが実は一番困っている問題であるかもしれない、ということを知ることが大切だそうです。確かに集団生活は騒音と混乱のるつぼになることも多いですからね。これは慣れが解決する問題ではないようで、問題行動の背景に「感覚過敏」があることが多いそうです。周囲の理解がどれだけ大事かということが、よくわかりました。

講演(2)は“明日からできる「心の保健室活動」―子どもの質問紙調査と担任との連携”で講師は長尾こころのクリニック院長長尾圭造先生でした。長尾圭造先生は「健康症状チェック表」と「Coopersmithの自尊感情のアンケート」を用いて、学校の先生と医師が連携して子どものメンタルヘルス状態推進に取り組んでおられます。大変ユニークな取り組みで成果の得られる手法であることと、とても感心致しました。

「病期からみた漢方薬の選び方~リウマチ、CRPSなどを中心に~」

2013年07月07日(日) 院長ブログ

先日、漢方領域別セミナーが開催され出席しました。演題は「病期からみた漢方薬の選び方~リウマチ、CRPSなどを中心に~」で講師は松村外科整形外科医院院長松村崇史先生でした。

松村崇史先生は手の外科を専攻される傍ら漢方医学治療にも造詣が深く、日常の診療でも西洋医学と漢方医学を見事に融合させた治療を行われているようです。

CRPSは複合性局所疼痛症候群のことで、外傷などをきっかけに長時間持続する痛みや浮腫、皮膚温の異常、発汗異常などの症状を伴う難治性の慢性疼痛症候群です。CRPSや関節リウマチに対して、病期に照らして有効な漢方薬治療を紹介して頂きました。

漢方では病態を進行状況に従って六病位という6段階に分類しており、傷寒論では陽証を太陽病、少陽病、陽明病、陰証を太陰病、少陰病、厥陰病の3つに分け、それぞれの病期に応じた治療が勧められます。このあたりは西洋医学より緻密なところですね。

その時点での個人の総合的な状態を「証」といい、漢方の基本的な診断・治療法として「随証治療」を紹介して頂きました。また証を時空的にとらえて漢方薬治療の方針を決定すること、炎症・疼痛性疾患に病期(病位)の概念を導入し治療に応用することを紹介して頂きました。

とても奥が深いですね。

まだまだ勉強です。

「骨転移-日常臨床での落とし穴と最近の話題」

2013年07月03日(水) 院長ブログ

先日、伊賀・名賀合同臨床集談会が開催され、特別講演は「骨転移-日常臨床での落とし穴と最近の話題」で講師は三重大学医学部整形外科准教授松峯昭彦先生でした。

他臓器から骨に転移することにより発生した転移性骨腫瘍は原発巣の特定に苦労することもありますが、三重大学医学部附属病院がんセンターでは包括的に治療していることを教えて頂きました。松峯昭彦先生は骨破壊病変の発見に、叩打痛などの所見の重要性を指摘しておられました。

さらに悪性軟部腫瘍についても紹介して頂きました。骨軟部悪性腫瘍はその発生頻度の少なさから見逃されがちですが、隆起性の病変、出血性の病変を見たら腫瘍かもしれないと考える重要性を説いておられました。悪性度の高い軟部腫瘍の特徴として、増大のスピード、サイズ(5cm以上)、硬さ(硬い)、可動性に乏しい、局所熱感、局所発赤、疼痛などを挙げておられます。

感染に見えたが悪性リンパ腫であった症例、猫ひっかき病など特殊な症例も紹介して頂きました。

紛らわしい隠された疾患を見逃さないようには細心の注意が必要ですね。

第47回東海地区整形外科教育研修会

2013年06月30日(日) 院長ブログ

先日、第47回東海地区整形外科教育研修会が名古屋で開催され、出席しました。講演Ⅰは「上腕骨近位端骨折に対する保存的治療―下垂位での早期運動療法について―」いしぐろ整形外科院長石黒隆先生、講演Ⅱは「なぜ今、整形外科超音波診療なのか?」城東整形外科診療部長皆川洋至先生、講演Ⅲは「医療紛争・医療裁判の実態と課題~整形外科事例をふまえて~」水島綜合法律事務所所長水島幸子先生でした。

上腕骨近位端骨折は骨粗鬆症に関連して高齢者に多い骨折です。石黒隆先生は上腕骨近位端骨折に対する治療が手術治療偏重の傾向があると疑問を投げかけておられ、早期運動療法による保存的治療(手術をしない治療)の工夫と良好な成績を紹介して下さいました。本法の適応は上腕骨骨頭と骨幹端の骨折面の接触が得られるものとしています。三角巾とバストバンドで腕を躯幹に固定し、受傷後1週から身体と床を平行に倒し、さらに患側の肩を床に近づけてリラックスした状態で身体を前後に揺らしながら、1日1000~3000回の腕の振り子運動を始めます。ポイントは立位保持可能であること、骨折部の接触が確実に得られていること、骨癒合まで重力に逆らって腕の挙上をしないことです。この方法により上腕骨近位端骨折の軽症例だけではなく、3-part骨折、4-part骨折などの重症例にも良好な成績が得られているということです。石黒隆先生はマレット骨折に対するExtension block pin法(石黒法)や指の基節骨骨折に対するMP関節屈曲位での早期運動療法(ナックルキャスト)など様々な工夫と理にかなった治療方法を数多く報告しておられます。

皆川洋至先生は整形外科超音波診療の第一人者としてご高名です。今回は肩関節周囲炎などに関して日本における歴史を江戸時代にまでさかのぼって紹介して頂きました。レントゲン検査にもMRI検査にも頼らず超音波検査だけで肩関節周囲炎の病態を診断しておられます。また超音波を駆使して神経ブロックを行ったうえで拘縮を伴った凍結肩をマニプレーションで治療し良好な成績を報告しておられます。しかしながらその技術の高さは芸術的なようにも思われ、現在のところなかなかここまで超音波を使いこなす整形外科医は少ないように思われました。

水島幸子先生は医療事故・医療裁判の実態と課題について具体的に紹介、解説して頂きました。予見可能性、結果回避可能性など用語が難しく、解説して頂いてもどれだけ理解できたか自信がありませんが、全く知らないでは済まないことかと思われました。今後、更に知識と理解を深める必要性を感じました。

3演題とも大変参考になることばかりで、とても勉強になり意義深い研修会でした。


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