10月31日、11月1日に仙台市の仙台国際センターで第38回日本足の外科学会が開催され、1日目に参加致しました。 4つの講演会場とポスターセッションが同時に行われ、大変盛況な学会でした。 基調講演は日本足の外科学会理事長木下光雄先生が「日本足の外科学会の現状と課題」を講演されました。本学会の歴史から、世界における本学会の立ち位置、進むべき方向などを示して下さいました。また哲学者中村雄二郎著書「臨床の知とは何か」や野口裕二著書の「ナラティブ・アプローチ」を紹介して下さり、木下光雄先生の幅広い見識の深さが伺えました。 「アスリートのスポーツ傷害に対するLIPUSの効果」を帝京大学整形外科松下隆先生が講演されました。LIPUSは低出力超音波パルス治療法のことで、体表に置いたプローブから照射されるパルス波が骨折部を機械的に刺激することにより、骨癒合期間を短縮させる非侵襲的な治療法です。骨折の骨癒合期間は38%短縮されるというデータがあるそうです。現在、難治性骨折や新鮮骨折に対する観血的手術症例などに保険適応がありますが、疲労骨折や偽関節に対しても効果が見込めるそうです。またLIPUS照射により線維芽細胞が誘導されることから、軟部組織損傷に対する効果も期待されています。保存治療に抵抗した短距離走者のアキレス腱症にLIPUSを応用したところ、治療開始後3ヶ月で競技復帰した症例を紹介して頂きました。 今学会では創傷治癒のセッションの座長を務めさせて頂きました。皮膚欠損創に対して陰圧閉鎖療法や遊離筋皮弁を用いた治療経験の演題でしたが、いずれも困難な症例をうまく治癒に導いている報告でした。 |
昨日、ヒルホテルサンピア伊賀にて市民公開講座が開催されました。 今年のテーマは「ロコモティブシンドロームと関節の変形」です。 悪天候にもかかわらず大変大勢の方が来場され、熱気あふれる雰囲気でした。 演題1は「栄養とロコモティブシンドローム」で講師は名張市立病院管理栄養士松本優子先生でした。カルシウム、タンパク質など色々な栄養をバランスよく摂ることが必要とは言われますが、具体的にどの様なすればよいのかわかりにくいですね。実際のレシピの工夫を紹介して頂き、ちょっとした工夫で栄養素のバランスが大変良くなることがわかり、とても参考になりました。中年期にメタボ対策でカロリーを控えることが強調されるので、高齢期になっても必要以上にカロリーを控えてしまうことがロコモの危険性を高めるということは成る程と思いました。年代によって必要とされる栄養も変わってくるということですね。 演題2は「変形性膝関節症」で講師はおおすみ整形外科院長大角秀彦先生でした。変形性膝関節症の病態と治療、日常生活での工夫など大変わかりやすく解説して戴き、聴衆の皆様もとても理解しやすかったのではないでしょうか。また大角院長の立派な獲物の数々も披露して頂きました。おおすみ整形に行けば、巨大な魚拓もご覧頂けるということでした。 演題3は「膝への負担を減らす運動療法」で講師はいまむら整形外科理学療法士森統子先生でした。膝を支える一番大事な筋肉は太ももの前の大腿四頭筋という膝を伸ばす筋肉ですが、この大腿四頭筋の中でも内側広筋、大腿直筋、外側広筋のそれぞれを別々に鍛える運動療法を紹介して頂きました。これはわかりやすいですね!皆さん、とても参考になったことと思います。 ご来場戴きまして、誠にありがとうございました。 |
先日、津市で疼痛に関する講演会があり出席しました。 講演1は「運動器疼痛の基礎と臨床~関節疾患を中心に~」で講師は藤田保健衛生大学病院整形外科准教授森田充浩先生でした。森田充浩先生は関節リウマチ、股関節外科などを専門にしておられ、アメリカなどへの留学歴も豊富な経験豊かな先生です。森田充浩先生によりますと、日本では疼痛を愁訴として持っておられる方の割合は男性20%、女性25%、全体で22.9%だそうで、これはとても多い割合ですね。しかしながら現在の薬の治療に満足しておられる方の割合は27.2%であると、整形外科にとって厳しいデータも紹介して頂きました。日本では疼痛に対しては、まずNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が使われることが多いですが、アメリカでは第一選択がアセトアミノフェンだそうです。森田充浩先生は関節疾患で治療に大変難渋するような数々の困難な症例を紹介して下さいましたが、創意工夫を持って粘り強く治療しておられることに感銘を受けました。 講演2は「腰痛治療の最前線」で講師は帝京大学ちば総合医療センター教授豊根知明先生でした。脊椎炎に対して創外固定を用いて見事に治癒に導いた症例、椎間板性腰痛に対する前方固定術、成人の脊椎変形(腰曲がり)に対する椎体骨切り術など、どれも見事な治療の数々でした。椎間板性腰痛ではMRI検査画像所見による変性腰椎の骨性終板の輝度変化(Modic change)が参考になるそうです。脊椎変形に対する椎体骨切り術は、かなり難易度の高い手術治療と思われますが、仙骨の傾き、骨盤の後傾などのパラメーターから骨切りの角度を決定するそうです。脊椎後弯などの脊椎変形が進行してしまい、円錐の空間からはみ出てしまうと姿勢の保持が困難になるという説明は成る程と思いました。 さらに腰痛に対する薬物療法に関しても詳細に説明して下さいましたが、最先端の手術治療から薬物療法まで網羅しておられる豊根知明先生に感心しきりでした。 豊根知明先生の親友という落語家の桂三輝(かつらサンシャイン)さんについても紹介して頂きました。桂三輝さんはカナダ出身で桂三枝さん(現・六代桂文枝)の弟子で、現在「あなたの街に住みますプロジェクト」で三重県伊勢市に住んでいるそうです。豊根知明先生はなんと桂三輝さんと焼き鳥屋で偶然知り合いになったそうです。豊根知明先生の人脈の広さにも感心致しました。 |
名張市のケーブルテレビ、アドバンスコープの企画番組「健康と生活」が10月から始まっています。毎月半月ごとに1つのテーマについて、アナウンサーの質問に医師が答えるという形式です。5分間くらいの番組で、1日に3回ほど放映されるそうです。収録内容はFMなばりでも放送するそうです。 10月前半は「物忘れと認知症について」、10月後半は「心筋梗塞について」です。 11月前半のテーマが「関節の痛みについて」で名賀医師会を通じての依頼により私が担当させて頂くことになりました。 実は、昨日クリニックにカメラマンとアナウンサーの方が来られまして収録を行いました。テレビ撮影カメラの前で話するなんて、初めてなのでとても緊張しました。カメラマンとアナウンサーの方に助けて頂いて、なんとか収録を終えました。 話の内容は、ロコモティブシンドロームの原因の一つである「変形性膝関節症」です。 でも、はたしてうまく話せているでしょうか??滑舌悪いからなー!(-_-;) |
「骨と関節の日」にちなんで毎年開催される市民公開講座が、今年は10月19日(土)にヒルホテルサンピア伊賀にて開催されることとなりました。 今年のテーマはロコモティブシンドロームと関節の変形です。 皆様、どうぞご来場下さい。 |