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先日、第19回奈良スポーツ医学研究会が開催され出席しました。 特別講演Ⅰは「スポーツドクターの役割とメディカルサポートの実際~スポーツ外傷障害の疼痛に対するスクリーニングと治療~」で講師は宮崎大学医学部整形外科助教田島卓也先生でした。 田島卓也先生は宮崎県ラグビーフットボール協会メディカル委員長で、2003年~2004年U-19ラグビー日本代表チームドクター、2004年~2007年ラグビー日本代表帯同ドクターなどを務められ、日本ラグビー界のメディカル部門の第一人者であります。田島卓也先生によりますと、平成23年8月24日にスポーツ基本法が施行されており、スポーツの基本理念を定め、スポーツに関する施策の基本となる事項を定めるものであるそうです。 田島卓也先生によりますと、スポーツドクターとは選手のスポーツ活動復帰が治療のゴールであるということで、通常の診療の場では日常生活活動レベルの改善と仕事復帰などを治療のゴールにしますので、より求められるレベルが高いと言えるかもしれません。田島卓也先生はスポーツドクターの役割を、スポーツそのものの理解、競技特異性やルール、トレーニングに精通すること、アンチドーピング、整形外科医であれば整形外科以外の知識(内科的な知識など)、状況判断や心理面までかなり幅広く求められるものが多く、スポーツドクターの資質として高いレベルの臨床力、総合力、新しい知識、現場での活動力などを挙げておられました。田島卓也先生の目指しているスポーツドクターがかなり高いレベルであることがうかがえます。 田島卓也先生によりますと、宮崎大学整形外科ではスポーツグループがスポーツ整形、メディカルチェック、検診、マッチドクター、健康スポーツナース派遣などを行っているそうです。メディカルチェックは社会人選手、国体選手、高校全国大会出場レベルの選手などを対照に行っているそうです。競技により検査項目や内容を変更したりするそうです。 検診は2007年から学童期運動器検診としてアンケートと直接検診を行っているそうです。子どもの体力低下は危機的レベルであり、運動不足による肥満や生活習慣病が問題になっているそうです。また逆に運動過多も問題となり、四肢、脊椎のスポーツ障害を生じているそうです。中でも宮崎大学整形外科では国民的人気スポーツである野球において少年野球検診で野球肘などの早期発見、早期治療に積極的に取り組んでいるそうです。選手、指導者へのアンケート、可動域検査、エコー検査などの一次検診を行い、必要に応じてレントゲン検査、診察を行う二次検査をその場で直ちに行うそうです。これにより二次検診の受診率を大幅に高めているそうです。 田島卓也先生によりますと、現場のサポートとしてはチーム帯同ドクター、マッチドクターなどの派遣を行っているそうです。マンパワー不足が問題で、宮崎大学整形外科教授帖佐悦夫先生の現場のサポートに加わっているそうです。マンパワー不足解消のため平成21年からは健康スポーツナース養成にも取り組んでいるそうです。現在31名の健康スポーツナースがいるそうです。 宮崎県は各種スポーツのキャンプ地としても有名で、2009年には1131団体、17万2894人がキャンプに参加したそうです。県を挙げて招致しているそうです。スポーツ選手マンパワー不足にとってキャンプ地でのストレスは、怪我をしたときなど不慣れな土地で病院受診しないといけないことで、それに対して迅速な対応が望まれるということでした。キャンプ地でスポーツ選手が受診した受診科は整形外科65%、内科12%であり、整形外科の部位は下肢59%、上肢28%であり、画像検査ではMRI検査が必要となることが多いそうです。MRI検査はどこでも混み合っていますから、なかなか緊急で検査を行うことは難しいでしょうね。田島卓也先生はキャンプ地後方支援病院間での横断的サポートシステムが必要であろうと指摘されました。 田島卓也先生はU-19ラグビー日本代表チームドクター、ラグビー日本代表帯同ドクターなどの経験を元に帯同ドクターの役割として外傷の対応、選手のコンディショニング、ドーピングコントロール、選手所属各チームとのコミュニケーションなどが重要であると指摘されました。また外傷、障害への対応、メディカルチェック、テーピングメニュー、外傷チェック、処置、リハビリプラニングなどを行い、外傷発生時には診断、画像診断、重症度判断、予想治療期間、治療プラン、リハビリテーションプランなど多くのことが求められるということでした。また外傷、障害統計によりますと、下肢外傷、体調不良、上肢外傷、頭頚部外傷の順であったそうです。また外国においては選手が下痢などを起こさないように、出てくる食事、水、生野菜、ジュース、氷、牛乳、ヨーグルトなどすべての食材はまず、ドクター、トレーナーが味見を行い、翌日に下痢をしていなかったら選手にも許可するようにしていたそうです。まさに体を張った選手サポートをしておられたようです。 2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップ日本大会に向けて田島卓也先生は試合時には試合会場にマッチドクター、さらに病院待機ドクターも必要であり、整形外科だけの対応ではもちろん無理で、全国的、全県的なサポートが試合地、キャンプ地でも必要で、さらには観客対応も必要であるということでした。田島卓也先生によりますと、All Japanでのサポート体制の構築が必要であるということです。 地域の検診からワールドカップまで、精力的にかつ緻密にスポーツ医学会を牽引している田島卓也先生に感心しきりでした |

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リオデジャネイロ五輪で、ラグビー7人制男子日本は4位でしたね。おめでとうございます。素晴らしい成績だと思います。 一次リーグではニュージーランドに勝利、準々決勝でもフランスに勝利と、また新たな歴史を作ってくれました。最後は少し息切れした感じでしたが、フィジーと南アフリカはとてつもなく強いですね。仕方ないと思います。ラグビー7人制男子日本代表チームは15人制とは異なる魅力を見せてくれたと思います。ありがとうございます。 リオデジャネイロ五輪は日本選手の活躍で盛り上がっていますね。水泳、体操、柔道など目覚ましい活躍ですね。卓球も男女とも頑張っていますね。これからいよいよ正念場の様ですね。 応援したいと思います。 |

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平成28年9月1日(木)午後2時から午後4時半までアドバンスコープADSホールにおきまして、「救急医療週間の講演会~大震災に備えて~」が開催されます。 特別講演は「災害時、エコノミー症候群にならないためにできること」で講師は三重大学大学院循環器・腎臓内科学准教授山田典一先生です。基調講演1は「災害時の口腔ケアについて」で講師は医療法人あたらし会理事長新達也先生で、基調講演2は「熊本自身での活動と災害に備えて薬の管理」で講師は一般社団法人三重県薬剤師会会営久居調剤薬局管理薬剤師小林竜也先生です。 三重県内にも多くの活断層があるそうで、大震災は決して人ごとではありません。発生の予測は困難ですから、日頃からの備えが重要ですね。 大変、興味深い講演会です。 皆様、ぜひお越しください。 |

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リオデジャネイロ五輪が開幕しましたね。 早速、日本選手の活躍が報じられています。 まずは柔道女子48kg級近藤亜美選手、柔道男子60kg級高藤直寿選手が銅メダル、ウエイトリフティング女子48kg級三宅宏美選手が銅メダルを獲得しました。水泳競泳男子400m個人メドレーでは萩野公介選手が金メダル、瀬戸大也選手が銅メダルを獲得しました。 おめでとうございます。勇気をいただいたような気がします。ありがとうございます。 腰痛などコンディション不良が報じられていた三宅宏美選手は、始めに失敗が続きどうなることかと思われましたが、瀬戸際で粘って最後に挽回して3位に食い込みました。ハラハラ、ドキドキ、そして最後に感動でした。三宅宏美選手の精神力と集中力に拍手ですね。 8月22日まで、感動のドラマがいくつも見られそうですね。 |

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伊賀地区学校保健研修会の講演(2)は「子どもを支える~子どもの視点で考えるいじめ・虐待問題など~」で講師は特定非営利活動法人子どもセンター「パオ」理事長弁護士多田元先生でした。 NPO法人子どもセンター「パオ」は2006年に少年事件や虐待問題に関わってきた弁護士や福祉関係者が虐待を受けるなどして家で暮らせない子どもたちを支えるために設立したそうです。今年は設立10周年を迎えました。多田元先生は児童相談所や児童養護施設など既存の仕組みだけでは救いきれない子どもたちに安全な居場所をという思いから緊急避難のシェルターも設けたそうです。 多田元先生によりますと1990年に初めていじめ・虐待問題の統計がとられ、1年間で1101件であったそうです。それが今や年間8万件を超えるそうです。マスコミによりますとこれは大変な増加であるということになるのですが、多田元先生は今までは明るみに出てこなかった事例が発見されやすくなったということだそうです。 多田元先生は子どもの相談、子どもの支援活動は子どもの相談もまた子どもの参加のひとつのかたちであることを認識することが重要であると述べられました。多田元先生は子どものパートナーとしての弁護士の役割として、子どもを支える、指導しない、子どものことは子どもから学ぶ、子どもと関わるプロセスを大切にして楽しむことなどを挙げられました。 2002年5月に出された国連子ども特別総会の子どものメッセージは「わたしたちにふさわしい(fit)世界を求める」というもので、「わたしたちにふさわしい世界は、すべての人にふさわしい世界だから。わたしたち子どもは問題を作り出す根源ではありません。わたしたちはその問題を解決するのに必要な力なのです。」というメッセージでした。 学校といじめ問題はいつの時代にも問題になります。なぜ、いじめ問題が日常化しても、見えないのか?ということですが、中井久夫氏によりますといじめは(1)孤立化、(2)無力化、(3)透明化という深刻化のプロセスを辿るそうです。 今年6月に北海道で起こった、男児置き去り事件は行方不明となっていた男児が6日ぶりに無事保護されるという幸いな結果になりましたが、マスコミや世間では虐待では?という意見もあり様々な議論もあったようです。多田元先生は小林美智子医師による子どもの視点に立った虐待の定義を紹介されました。小林美智子医師によると「虐待の定義はあくまでも子ども側からの定義であり、親の意図とは無関係です。その子が嫌いだから、にくいから、意図的にするから、虐待というのではありません。親はいくら一生懸命であっても、その子をかわいいと思っていても、子どもの側にとって有害な行為であれば虐待なのです。我々がその行為を親の意図で判断するのではなく、子どもにとって有害かどうかで判断するように視点を変えなければなりません。」ということです。多田元先生はこの事件に関して、この定義に照らして本件は明らかに虐待ではあるが親も困っている、すなわち親への支援が必要、それが子どもの虐待防止に繋がるというように述べられました。虐待であるかどうかの議論や親へのバッシングなどではなく、この違った視点からの発想の方が子どもの虐待防止に対して建設的な考え方であるように思え、目から鱗が落ちる思いでした。 多田元先生は新聞記事のインタビューで「壮絶な過去は変えられないけれど、環境を整え、新たな大人たちとの温かい関係を通して生きる力を身につけることはできる。子どもに教わりながら続けていきたい。」と述べておられます。多田元先生の子どもたちに対する献身的な愛情にただただ感服するだけでした。 特定非営利活動法人子どもセンター「パオ」のホームページにはこの様なメッセージが書いてあります。「どんなあなたもすてきなあなた あなたのままでいいんだよ。」 |
