馬見丘陵公園で「やまと花ごよみ2017」第4回馬見チューリップフェアが開催されており、昼から雨も上がったので見に行ってきました。 チューリップと満開の桜のコラボで、とても綺麗でした。大勢の人で賑わっており、駐車場も満車の様子でした。 大道芸パフォーマンスやNHK奈良合唱団のステージもやっていました。 雨が上がってくれて、本当に良かったです!
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先日、第38回奈良県骨・関節研究会が開催されました。特別講演は「疼痛学的視点からみた変形性膝関節症」で講師は高知大学医学部整形外科教授池内昌彦先生でした。 変形性膝関節症はcommon diseaseであり、X線学的な変形性膝関節症は日本で約2500万人であるそうです。しかしながら症状を有する症候性変形性膝関節症は約800万人であるそうです。池内昌彦先生はこのギャップがなぜ起こるのか、すなわち変形性膝関節症がなぜ症候性になるのかを解説して下さいました。変形性膝関節症は軟骨の摩耗から始まりますが、軟骨に神経は存在しませんので疼痛は軟骨以外の部位で発生するということです。滑膜には痛みに関連する神経終末が存在し、滑膜増生と疼痛には相関が認められるそうです。滑膜炎を起こすと滑膜から炎症性サイトカインが産生され、変形性膝関節症の病期が進行するそうです。 骨膜は神経に富んでいますが、池内昌彦先生によりますと骨髄内にも自由神経終末が多く認められ、MRI検査にてT2強調像高信号を呈するBone Marrow Lesionが疼痛の原因となっているということでした。Bone Marrow Lesionが認められると変形性膝関節症病期は進行しやすく、なければ進行しにくいという傾向があるそうです。この様に変形性膝関節症の疼痛と関連するMRI所見として滑膜炎と骨髄病変が挙げられるということです。高位脛骨骨切り術後に疼痛が軽減した症例において、Bone Marrow Lesionの消失が認められたそうです。 池内昌彦先生によりますと無症候性変形性膝関節症のMRI所見として軟骨損傷43%、骨髄病変15%、骨棘形成13%、半月板損傷10%、滑膜炎4%も認められたそうです。これらの所見を認めながら症状を有さない症例が多く認められたということは、驚きでした。これらの状態に陥ったときに、疼痛として認知するかどうか?ということには疼痛感作が影響するということでした。滑膜炎や骨髄病変が生じると末梢神経から中枢神経に刺激が伝わって下降性疼痛抑制が働きます。この痛覚伝導路には感覚を司る部分と情動を司る部分があるそうです。また内因性鎮痛機序には脊髄後角介在ニューロン、下降系疼痛調節系、内因性オピオイド、広汎性侵害抑制調節などが挙げられるということです。痛み刺激を繰り返すと痛みを強く感じてしまうという時間的加重を痛みにおける感作といい、脊髄後角の感作で起こる痛覚過敏を中枢感作と呼ぶそうです。中枢感作の特徴として、中枢感作を示唆する身体所見としては痛みの特徴が夜間痛や安静時痛、広範囲である、長引く、薬剤に反応しない、不定愁訴(抑うつ、不眠、イライラなど)、圧痛の閾値が低いなどが挙げられるそうです。 池内昌彦先生によりますと変形性膝関節症を理解するのに、炎症性、メタボリックシンドローム、疼痛感作、過負荷の4つの側面を持ったサブグループの集合体と理解し、その特徴に応じた対処をしたほうがよいということでした。 次に池内昌彦先生は変形性膝関節症の治療について述べられました。変形性膝関節症の治療は、まず教育、運動、減量から始まり、次に薬物療法など、最後に手術治療となります。症候性変形性膝関節症800万人に対して、全人工膝関節置換術を受けた方は約8万人であることを考えると、保存治療(手術をしない治療)の重要性がわかります。保存治療の鎮痛効果は証明されているそうです。変形性膝関節症に対して筋力トレーニングをすることにより、膝関節の機能的安定性が得られ、筋肉が抗炎症性サイトカインを放出し、筋収縮により下降性疼痛抑制が賦活化されるために、筋力トレーニングと鎮痛効果は相関関係が認められるそうです。また水中運動を行うことにより疼痛軽減、筋力増強、歩行スピード向上が認められたそうです。また池内昌彦先生は変形性膝関節症に対する薬物療法についても解説して下さいました。 池内昌彦先生は術後疼痛管理が患者満足度につながるということで、「痛くない人工膝関節置換術」を目指しているそうです。手術中にできる疼痛対策として、局所麻酔薬先行投与、筋・骨への愛護的操作、瘢痕を作らない工夫、低圧ター二ケット、出血対策、術後ステロイド剤などだそうです。術後も神経ブロック、浸潤麻酔、フェンタニル、内服薬など駆使して多角的管理を行うそうです。池内昌彦先生は考えられる全ての疼痛対策を講じていると述べておられました。患者様に限りなく優しい医療を実践しておられる池内昌彦先生の姿勢に感服いたしました。 |
不眠症で悩まれておられる方も多いようですね。私はどちらかというと眠くなって困るタイプなのですが、寝ようと思っても寝られないというのは本当に辛いことでしょうね。そういう方々にヒントになる有用な情報が、数多く紹介されています。 「寝逃げ」してしまえば悩みは消える、という項目は興味深かったです。寝ている間に脳内で記憶の整理がおこなわれ、問題解決の糸口が見つかったりするというメカニズムです。これは、成る程!と思いました。 |
先日、名賀医師会臨床懇話会が開催されました。演題は「気胸について」で講師はますだ呼吸器科クリニック院長増田大介先生でした。 増田大介先生は東海大学呼吸器外科出身で、平成28年6月1日から名張市でますだ呼吸器科クリニックを開院しておられます。ますだ呼吸器科クリニックでは、患者さんが気軽に受診し相談できる場の提供、患者さんのニーズに可及的に対応のできる呼吸器疾患・生活習慣病を主とした外来診療(診断と治療)の実施、名張市、伊賀市及び周辺地域の診療施設との病診連携の重視を目標として掲げておられます。増田大介先生は呼吸器外科での豊富な経験を元に気胸について説明して下さいました。 気胸は自然気胸、外傷性気胸、人工気胸、医原性気胸などに分類され、自然気胸は原発性気胸(特発性気胸)と続発性気胸に分類されるそうです。気胸の程度が軽症であれば安静で経過観察となるそうですが、中等度以上になると入院して胸腔ドレナージが必要になります。緊張性気胸は生命に危険のある状況ですので、早急にドレナージが必要です。気胸の手術治療は、原因であるブラの切除です。気胸治療の難しさは再発することであるそうで、若年者自然気胸に対する手術治療後の再発率は決してゼロにはならないということです。この再発率を低くするために治療上工夫を凝らしてきた点などを、増田大介先生は紹介してくださいました。 増田大介先生によりますと、気胸の診断と治療は呼吸器科の基本であるが、実際のmanagementは難しく、奥が深い疾患であるということです。整形外科にも肋骨骨折の患者様はしばしば来られますが、気胸などを合併すると対応困難です。やはり胸部外傷は胸部の専門科でないと対処困難ではないかと思われました。 |
先日、名賀医師会予防接種講習会が開催されました。講演は「ワクチンに関する最近の話題」で講師は国立病院機構三重病院小児科副院長管秀先生でした。 当院ではワクチンはインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの接種のみ施行しておりますが、ワクチンに関する最近の話題を興味深く拝聴いたしました。 最近の三重県の話題として、2月に松阪保健所管区での麻疹集団発生が起こったそうです。松阪の企業内で20歳代から40歳代まで13人が発症したそうです。管秀先生によりますと日本の常在麻疹ウイルスは2010年5月以降には検出されていないそうです。近年の麻疹の特徴として、海外からの輸入例が多い、ワクチン接種率が高くなったにもかかわらずワクチン未接種者と接種歴不明者が多い、医療機関での感染が目立つなどが挙げられるそうです。 Hibワクチンと7価肺炎球菌ワクチンの日本での開発と導入は、2013年4月に定期予防接種開始となったそうですが、アメリカから比べると20年遅れであるそうです。Hib髄膜炎は公費助成開始後2年で92%、3年で98%減少したそうです。これは効果が歴然ですね。高齢者の肺炎球菌ワクチン接種は2014年10月以降導入されていますが、肺炎の年齢別死亡率では95%が65歳以上であることに基づいているそうです。肺炎球菌ワクチンに関しては予防接種がすべての肺炎を防ぐものではないことなどの理解を得ることが必要であるということでした。 水痘の合併症は最近の二次感染、Reye症候群、急性小脳失調症、髄膜脳炎、死亡例などもあるそうです。水痘は年齢の上昇に伴い症状が重くなり死亡率が上昇する傾向があるそうで、30歳から49歳では10万例あたり約25.2例、約4000人に1人は死亡する計算になるそうです。これは非常に高率ですね。人食いバクテリアと恐れられる劇症型溶連菌感染症ですが、小児では水痘が危険因子になるそうです。兄弟から水痘が感染し、不幸にも劇症型溶連菌感染症に感染してしまうことなどもあることを紹介してくださいました。水痘の予防は水痘ワクチン接種で、2014年10月以降は2回法で定期接種となっているそうです。水痘ワクチン定期接種後の様々な問題を管秀先生は提示して下さいました。 B型肝炎ウイルスは免疫系が未熟な周産期における感染では95%がキャリア化し、以降年齢が高くなるにつれキャリア化率は減少するそうです。日本では母子感染防止対策事業により小児期のHBs抗原陽性率が事業開始の約10年間で0.22%から0.02%に激減したそうです。体液によるB型肝炎ウイルス感染が報告されており、ようやく日本でも全ての子どもにワクチンを接種するユニバーサルワクチネーションが実施されるようになったということでした。ロタウイルス感染症は小児重症下痢症の原因ウイルスであり、5歳までの全ての子どもでは最低1度は感染するそうです。管秀先生によりますとわずか10~100個のウイルス侵入で感染成立するそうで、公衆衛生の改善だけでは感染が防げず、ワクチンが最も有効な手段であるそうです。 インフルエンザワクチンは日本ではスプリットワクチンという種類であるそうです。スプリットワクチンの課題として管秀先生は乳幼児、高齢者では発症予防効果が低下する、気道粘膜での感染防御は期待できない、B型インフルエンザに対するワクチンの効果がA型より劣る、鶏卵で培養することによる問題、変異株への対応ができない、アナフィラキシーや高度の局所反応発現の可能性がある、抗体持続期間が短いなどを挙げられました。種々の剤型、投与方法を工夫したインフルエンザワクチンの開発が進んでおり、日本への導入も間近であるそうです。それぞれのワクチンおよび被接種者の特徴をよく理解して、より有効かつ安全と考えられるワクチンを選択することが重要であるということでした。 それぞれのワクチンにおいて、まだまだ発展途上の部分もあるようです。しかしながら管秀先生によりますと、予防ワクチンは過去、現在を含めて最も成功した医療技術の一つであるということです。ワクチンが人間の死亡率削減に及ぼす影響は、安全な飲料水の供給についで大きなものであるそうです。このあたりは一般的な認識を変える必要がありそうですね。大変勉強になる講演会でした。 |