-第35回- 心に残る医療 体験記コンクール入賞作品集を読みました。 本コンクールは昭和57年度から始まり、もう35回も続いているということです。今回も1600編もの応募があり、審査により17編が入賞作品として選ばれたそうです。 厚生労働大臣賞の「3度目の手紙」という作品は、骨髄移植を受けた方がドナーに感謝の気持ちを綴った作品でした。骨髄バンクでは、プライバシーを守る観点からドナーと受容者のお互いの名前や住所は非公開で、受容者は2度だけドナーに手紙を出すことができるというルールだそうです。このルールは私も知りませんでした。本作品は著者がドナーへさらなる感謝の気持ちを伝える、心のこもった作品でした。著者は主治医から「ドナーさんとは、何代も何代も前の遠い昔、血縁関係にあったのですよ。遺伝子が適合するということは、その証しなんです。ロマンがあるでしょう!」と教えてもらって感動した、とありました。 これは確かに心の琴線に触れる言葉ですね!素晴らしいと思いました。 |
本日、天理親里競技場で「2017 ラグビー スプリングカーニバル IN 奈良」が開催され、グラウンドドクターとして参加しました。第1試合は天理西中学vs奈良県中学スクール選抜で、第2試合は天理大学vs早稲田大学でした。 雲一つない晴天で少し暑いくらいでしたが、天候にも恵まれて熱戦が展開されました。第2試合の早稲田大学は長年、日本ラグビー界を牽引している伝統校です。早稲田大学ラグビー蹴球部のユニフォームと言えばお馴染みの「エンジ×黒」のボーダー柄ですが、今回新しいデザインに変わっていました。色合いは同じですが、機能性向上を追求し選手の気持ちを一つにまとめるチームの象徴という新しいユニフォームは、伝統と斬新さの両方を感じさせる素晴らしいものでした。 第2試合の結果は54対17で天理大学が勝利致しましたが、終始緊迫した試合で観客の皆様は白熱した内容を堪能していた様子でした。特に試合を終えたラグビースクールの中学生たちが熱心に観戦していました。奈良県でこのようなハイレベルな試合が開催されて、本当に良かったと思いました。 |
仙台市で第90回日本整形外科学会学術総会が開催されました。本日のみ参加いたしました。 「医療安全」、「整形疾患の痛み治療と教育」、「運動誘発性筋痙攣の発生機序における電解質の関与~経口補水液を用いた研究から~」、「感染対策とワクチン」などの講演とシンポジウムを拝聴しました。それぞれに内容の深い、ためになる演題ばかりでした。 本会の標語は「復興と再生」、大震災の写真などを見ると当時の報道による映像などが思い出されました。 本会は4日間の期間に10以上の会場を用いて同時進行で行われます。本会は学会参加者が1万人規模の大規模な学会であるために会場確保が困難であり、来年以降は東京・横浜・神戸・福岡の4大都市に限定して開催されるということです。 それにしても本当にすごい規模の学会ですね。 |
5月10日に京都迎賓館でラグビーワールドカップ2019日本大会プール組分け抽選会が行われました。日本代表はアイルランド、スコットランド、ヨーロッパ地区1、ヨーロッパ・オセアニアプレーオフと同組になりました。 日本代表の世界ランキングは現在11位だそうです。アイルランド(4位)、スコットランド(5位)は格上ですが、南半球勢のニュージーランド(1位)、オーストラリア(3位)、南アフリカ(7位)らと対戦するより、少しは番狂わせの可能性も高いような気がします。 それにしても、まだ2年以上もあるのにもう予選組み合わせとは、気の早いことですね。まだ出場チームも全ては出そろっていませんが…。 ラグビーワールドカップ2019日本大会が1歩ずつ近づいているようで、嬉しい気持ちになります。 |
先日、名賀医師会臨床懇話会が開催されました。特別講演は「がん診療と地域連携~肺がん治療を中心に~」で講師は伊賀市立上野総合市民病院副院長田中基幹先生でした。田中基幹先生は泌尿器科と腫瘍内科を専門としておられ、泌尿器科領域にとどまらず全ての領域のがん診療に取り組んでおられます。田中基幹先生は伊賀市立上野総合市民病院におけるがん診療と地域連携について紹介してくださいました。 田中基幹先生によりますと日本人の2人に1人は癌にかかり、3人に1人は癌で亡くなるそうです。今や日本は癌多死社会と言える、ということでした。日本人が罹患する癌の頻度は大腸癌、胃癌、肺癌などが多いそうですが、肺癌は死亡数が多く、発見が遅れると死亡率が高くなるということでした。田中基幹先生によりますとこれからのがん診療で求められることは、ライフステージや癌の特性を考慮した個別化医療であるだろうということでした。 伊賀地域二次救急医療圏(伊賀市、名張市および周辺地域)における人口は約18万人、高齢者は約5万人であるそうです。伊賀地域二次救急実施病院は伊賀市立上野総合市民病院、岡波総合病院、名張市立病院の3病院だけですので、一定の割合で他地域への患者さんの流出はあると思われます。田中基幹先生はできるだけ多くの方が、慣れ親しんだ地域で医療を完結できるように目指したいと言っておられました。 田中基幹先生は泌尿器科専門医だけでなく、日本がん治療認定医、日本がん検診・診断認定医なども持っておられ、伊賀市立上野総合市民病院では本館5階の地域集学治療センターを立ち上げ統括しておられるようです。こちらは50床で4人部屋6室と個室が20室もあるそうで、入院患者様のQOLとプライバシーに配慮されています。がんサポート・免疫栄養療法センターではがん化学療法認定看護師や日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医など各種エキスパートの育成を進め、外来化学療法室を運用し通院での化学療法を推進しているということでした。医師(がん治療認定医・精神科医)、看護師、栄養士、がん相談支援室スタッフなど多職種により緩和ケアチームを作っているそうです。免疫栄養療法を含めた適切な栄養療法を介入することでがん患者の体重減少とQOLの低下、生命予後まで改善されるということで免疫栄養療法室が役割を果たしているそうです。 伊賀市立上野総合市民病院は在宅療養後方支援病院として開業医との連携強化を図っているそうです。かかりつけ医との連携も強化しており、退院後のフォローにも力を入れているそうです。伊賀市立上野総合市民病院では地域出前講座や市民講座を行い、地域住民との交流も積極的に深めているそうです。地域医療研修会も活発で、がん診療連携推進病院指定を受けている伊賀市立上野総合市民病院では毎月1回多職種の医療スタッフが参集し「キャンサーボード」という検討会、講習会を開催しているそうです。これらの取り組みにより、紹介率、逆紹介率も向上してきているそうです。 地域集学治療センターでは手術を受けられた患者様だけではなく、他病院で治療を受けられた患者様のがん治療継続、緩和医療や終末期医療を紹介元や地域医療機関と連携し後方支援を中心に運用するという役割であるそうです。伊賀市立上野総合市民病院におきまして着実に進んだ医療システムが構築されてきている様子と、それを牽引している田中基幹先生の熱意に感心いたしました。 |