先日、名賀医師会研修会が開催されました。講演は「三重県における肝炎啓発及び受検・受診・受療の現状~全例治癒の時代を目前にした今、ピットフォールとは?」で講師は三重大学医学部附属病院消化器内科教授竹井謙之先生でした。本講演は肝疾患非専門医向け肝炎対策説明会として開催されました。 ウイルス性肝炎については、以前は治療困難とされていましたが、医療の進歩により安全かつ有効に治療できるようになったそうです。しかしながら肝炎ウイルス検査自体を受けたことのない方や陽性と判明していても医療機関を受診していない方が未だに多く、受検勧奨や肝炎に関する情報提供体制の整備、地域連携による受検・受診・受療の促進が課題となっているそうです。本説明会の目的は肝疾患非専門医を受診している患者の中から肝炎ウイルス陽性者の掘り起こし等を勧め、医療機関への受診・受療に繋げていくことであるそうです。 竹井謙之先生によりますと三重大学消化器内科における肝癌の成因はC型肝炎ウイルス陽性が71.2%、B型肝炎ウイルス陽性が15.4%、アルコール多飲と他の慢性肝疾患が12.2%、肝疾患なしが1.2%であるそうです。C型肝炎ウイルス感染経路は輸血(1992年以前)、血液凝固製剤の投与(1988年以前)、フィブリノゲン製剤の投与(1994年以前)、刺青、ピアスの穴開け、注射針・注射器の共用(薬物常習者など)、針刺し事故、性行為、母子感染などであるそうです。 竹井謙之先生によりますとC型慢性肝炎治療はなぜ必要かというと、肝硬変、肝癌への伸展を防ぐことであるそうです。C型慢性肝炎の自然経過はC型肝炎に感染すると30~40%は自然治癒し、60~70%はC型急性肝炎となり、C型急性肝炎になると100%C型慢性肝炎に移行し、肝硬変、肝細胞癌へと高率に移行するそうです。 竹井謙之先生によりますとC型慢性肝炎治療はどんどん進化しているそうで、ジェノタイプ別にみたC型肝炎ウイルスのⅠb型は日本で最も多く(約70%)インターフェロンには治療抵抗性であるそうですが、このタイプのC型慢性肝炎の治療成績は新薬により飛躍的に向上しているそうです。主な肝発癌高リスク因子は年齢:65歳以上、ALT値:30IU/L超、血小板数:15万/μl未満、肝線維化:F2以上、AFP値:10ng/mL以上で、C型肝炎の患者さんでいずれかの項目に該当する方は、肝発癌の高リスク群だと考えられているそうです。竹井謙之先生によりますと肝発癌率は高齢者の方が早く進むことや、ALT値正常例でも肝組織像の伸展がみられるのでALT、AST値が正常であっても油断ならないと強調されました。経口内服薬のSOF/LDVという治療では、三重大学の初回投与後12週で100%近い効果が認められ、副作用もほとんど認めなかったということでした。しかしながら非常に高額であるそうですが、竹井謙之先生によりますとC型肝炎は制圧が目前であると言えるそうです。 B型肝炎ウイルスについては、世界の人口約60億人中、約20億人が感染既往者であり、B型肝炎ウイルスキャリアが約3億5000万人~4億人で、B型肝炎ウイルスキャリアのうち15~40%が肝硬変、肝疾患、肝細胞癌へ進行するそうです。感染既往者の数のあまりの多さに驚きました。世界では毎年約100万人がB型肝炎ウイルス関連の疾患で死亡しており、現在死亡原因の第10位であるそうです。日本のB型肝炎ウイルスキャリア(HBs抗原陽性者)は約130~150万人で全人口の約1%であるそうです。竹井謙之先生によりますとB型肝炎ウイルス量が多いと発癌の可能性が増すそうで、HBV DNA量と肝発癌は相関するそうです。免疫抑制剤によりB型治癒肝炎が劇症化することがあり、B型肝炎ウイルス再活性化が問題になっているそうです。HBs抗原が消失しても、肝細胞にはHBVが残留しているそうで、免疫により活動が抑えられているB型肝炎ウイルス既往感染の再活性化をde novo B型肝炎と言うそうです。de novo B型肝炎では肝細胞におけるB型肝炎ウイルスの潜在感染があるところに化学療法や免疫抑制療法などによりB型肝炎ウイルス再増殖し、その後に免疫状態回復すると肝炎発症するそうで、de novo B型肝炎は通常のB型肝炎に比して劇症化する率が高度で、致死率も高いそうです。 B・C型肝炎ウイルス検査で陽性と判明しながら、定期受診を受けていない感染者が少なくとも53万人に上ることが厚生労働省研究班の調査で分かったそうです。53万人~120万人が定期受診をしていないと推定され、感染に気づいていない感染者は78万人、治療中の患者も含む全体の感染者数は210万人~280万人と推定されるそうです。薬の開発が進み、早期治療で慢性肝炎への進行をほぼ押さえ込めるようになった一方で、自覚症状が少ないために陽性と分かっていても受診行動につながりにくいそうです。 インターネットで肝炎ウイルス検査マップというサイトがあるそうで、検査施設を探すことができるようです。また三重大学医学部附属病院内には肝炎相談支援センターがあり、様々な啓発活動を実施しているそうです。課題は重症化する前に新規症例の掘り起こしだそうです。血液検査でHBs抗原陽性、HCV抗体陽性の方は専門医を受診し、治療・フォローアップに関する方針を相談することが重要であるということでした。 三重県では肝炎ウイルス陽性者の方を対象として初回精密検査または定期検査の費用の一部又は全部を助成するそうです。問い合わせ先は各地の保健所です。 竹井謙之先生のご講演を拝聴して、肝炎治療の変遷を垣間見ることができました。私が大学の講義で習った30年前とは全く様変わりです。医療の進歩を実感いたしました。 |
本日東大阪市花園ラグビー場で第97回全国高校ラグビーフットボール大会準々決勝が行われ、グラウンドドクターとして参加しました。 今日は本当に寒くて、凍えました。昼前には雪が降り、積もるほどではなかったですが、寒さがとても身にしみた一日でした。しかしながら試合の方は4試合とも寒さを吹っ飛ばすような熱戦が繰り広げられ、見応えのある試合ばかりでした。 試合後には準決勝の抽選が行われ、1月5日(金)に行われる予定の準決勝第1試合は東福岡VS東海大仰星、第2試合は大阪桐蔭VS桐蔭学園となったようです。 見たところ東福岡が一歩リードしているように思えましたが、4チームともいずれ劣らぬ超高校級のチームばかりですので、激戦必至です。地元大阪のチームも2チーム残っていますので、益々盛り上がることでしょうね! |
新年おめでとうございます。 旧年中は皆様には何かとお世話になり、誠にありがとうございました。 今年も患者様とのコミュニケーション、スタッフ同士のコミュニケーションを大切にして、連携しながら皆様との信頼関係を築いていきたいと思っております。 今年もどうぞよろしくお願いいたします。 |
本日、東大阪市花園ラグビー場、花園中央公園多目的球技広場におきまして第97回全国高等学校ラグビーフットボール大会が開催され、グラウンドドクターとして参加いたしました。大会は12月27日から始まっており、今日はシード校も出揃い3グラウンドに分かれて16試合が行われる期間中最も試合の多い日です。好天にも恵まれ、各グラウンドにおきまして熱戦が繰り広げられました。ピッチサイドでは毎年の生駒おろしの寒風が、今日は少しましな気がしました。今日は試合数が多いためか観客が多かったようで、バックスタンド側もほとんど満員という盛況ぶりでした。 東大阪市花園ラグビー場は現在、2019ラグビーワールドカップ日本大会の開催に向けて改修工事中でした。本大会は、工事を一時中断しての開催ということでした。完成しますと、約3万人収容のスタジアムになるそうです。電光掲示板の後ろは全部工事中になっていました。第1グラウンドの芝のコンディションは抜群で、フカフカの美しい芝の緑色が映えて最高でした。 大会のテーマは「花園から世界へ」ということです。将来の日本代表選手が、本大会で活躍することでしょうね。楽しみです! |