Sport Japan vol.50の特集は~もっとパフォーマンスを楽しむために~「データ」を取る!活用する!です。 全日本女子バレーボールチームのアナリストで日本スポーツアナリスト協会代表理事の渡辺啓太氏は2010年に世界で初めてタブレット型コンピュータを用いた情報分析システムを考案・導入したそうです。映像でよく見る監督がタブレットを示しながら選手に指示を出す、先駆けですね。渡辺啓太氏によりますと、情報収集の段階で重要なのは正確性の担保だということです。ただその先が特に重要であるということで、伝えることの重要性であるそうです。データの活用ということなので、理詰めでドライなのかと思いましたが、むしろ対人間のコミュニケーション能力が重要なようです。そのチームの達成目標はどこにあるのか、そこからスタートするということです。トップクラスだけではなく、一般のレベルでもデータは大切であると、渡辺啓太氏は説きます。競技レベルの違いはあっても、客観的に見えるデータを整理し、変化、進化の面白さを味わうのが醍醐味であるということでした。興味深い話しですね! 帝京平成大学現代ライフ学部経営学科教授増島篤先生は、オリンピックや野球のWBCで何回もチームドクターを務められ、スポーツドクターの視点、データの現状と、その効果的活用法を解説されています。オリンピックではIOCから各国に日報による報告が課されているそうですが、増島篤先生によりますと国によって対応に温度差もあるようです。増島篤先生は野球肘健診などでも、100人中5~6%の割合で野球肘の兆候が見られるというデータがあると、指導者に選手の異変への気づきを促すと述べておられます。増島篤先生は、わたしたちは選手につい指導しがちですが、ドクターもトレーナーも指導者も、選手に勝利させることではなく、選手を自律させることが最終目標であると述べておられます。選手一人ひとりにとっての最善策を考えるためにデータを用い、これまで積み重ねてきた経験という財産を重ねて、増島篤先生は診療にあたっているということです。 明星大学心理学部心理学科准教授、公認心理士、臨床心理士藤井靖先生はスポーツ選手のなかなか直らない悪い癖を、データを取り、見直すことで解決する方法を解説しておられます。人の行動のメカニズムから5つの要素を記録し、データを分析し練習計画を立てて、少しずつ目標に近づけるようにするということです。データを記録すれば物事を客観的に見られて、問題解決に繋がるということでした。とても興味深い話しだと思いました。 |