Sport Japan vol.47の特集は「いざ東京大会へ!諸国スポーツ文化から見る日本のスポーツの道しるべ」です。 1964年以来50年以上の年月を経て、今夏に2度目の夏季大会「東京オリンピック・パラリンピック」が開催されます。他国スポーツ文化にも触れながら、あらためて日本のスポーツの未来を見据えるということで、米国、中国、韓国、ドイツのスポーツ文化を紹介しています。 米国スタンフォード大学フットボールコーチ、大阪経済大学人間科学部客員教授河田剛氏によりますと、何よりも個人がやりたいことを優先し、複数競技を推奨するのが米国の流儀であるということでした。米国スタンフォード大学アメリカンフットボール部コーチの経験から米国の状況を紹介されています。 東京財団政策研究所主席研究員柯隆氏によりますと、中国においてはスポーツと運動を分けて考えた方が明確だということです。卓球、水泳、飛込などの競技では国家プロジェクトとして予算を投じ、躍進を計ってメダルを量産するが、一般の中国人には運動するという習慣は少ないそうです。 ピッチコミュニケーションズ代表慎武宏氏によりますと、見る、そして、するのも大好き、というのが韓国人のスポーツに対する接し方であるそうです。もともとオリンピック種目でメダルの取れる競技の人気が群を抜いていたが、エリートスポーツでも多様化を見せ始め、エリートスポーツとレクリエーションスポーツの両輪で進んでいるのが現在の韓国だそうです。 ドイツ流サッカー・ディフェンス・コーディネーター坂本健二氏によりますと、ドイツでは地域スポーツクラブ(SC)が約9万あり、全人口の3分の1に当たる約2700万人もが汗を流しているということです。これは驚きですね!勉強は学校、仕事は会社、スポーツはSCで、ということであるそうです。そしてSC間の移籍は全く自由であるということです。これは素晴らしいシステムであると思いました。 筑波大学大学院人間総合科学研究科教授教育学博士菊幸一氏は東京オリンピック・パラリンピックを経て、日本のスポーツが向かう道を述べておられます。菊幸一氏によりますと、日本のスポーツの二つの特徴は、どの種目に取り組んでいたのかが重視される種目主義と、非日常(イベント)のために日常(練習)があるイベント主義であるそうです。菊幸一氏はこれからのスポーツの主な3つの関わり方を提案しておられます。一つはテクノロジーを利用した都市でのスポーツ、二つ目は自然相手の予想できない環境でのスポーツ、三つ目は人と人との触れ合いを重視した地域でのスポーツです。 東京オリンピック・パラリンピックを契機に日本におけるスポーツの状況や環境がどう変化していくのか、注目していきたいと思います。 |