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「かかりつけ医で診療する排尿障害」

2019年09月23日(月) 院長ブログ

先日、名賀医師会臨床懇話会が開催されました。特別講演は「かかりつけ医で診療する排尿障害」で講師は三重大学医学部附属病院腎泌尿器外科助教吉尾裕子先生でした。吉尾裕子先生は過活動性膀胱、前立腺肥大症、神経因性膀胱などについて解説して下さいました。

突然起こる我慢できないような強い尿意を尿意切迫感といい、急におしっこがしたくなり我慢できずに漏れることを切迫性尿失禁というそうです。過活動性膀胱とは尿意切迫感を主症状とする症候群で、頻尿、夜間頻尿、切迫性尿失禁などの症状を伴うということでした。尿失禁の種類は腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流性尿失禁、反射性尿失禁、機能性尿失禁、真性尿失禁などがあるそうです。過活動性膀胱の原因疾患は神経因性と非神経因性に分けられ、神経因性過活動性膀胱は脳幹部より上位の障害である脳血管障害、パーキンソン病などや脊髄障害など、非神経因性過活動性膀胱は前立腺肥大症、加齢、女性の骨盤底筋障害、特発性(女性に多い)などであるそうです。過活動性膀胱診療ガイドラインによりますと、一般医家向けのアルゴリズムでは検尿と残尿測定はするべきであるとされているそうです。検尿により血尿、膿尿の有無を判定し、血尿があった場合や膿尿で抗菌薬治療が無効であった場合は専門医に相談する必要があるということでした。残尿測定は超音波検査で行うそうで、水平断面像、矢状断面像から前後径(cm)、長径(cm)、短径(cm)を計測し、それぞれの積に0.5を乗じた値が残尿量の近似値(mL)となるそうです。残尿量が100mL以上であれば専門医に相談する必要があるということでした。4つの質問からなり計14点のスコア化された過活動性膀胱症状スコア(OABSS)では、質問3が2点以上かつ合計点数が3点以上であれば過活動性膀胱が強く疑われるということでした。

吉尾裕子先生によりますと、過活動性膀胱の治療は行動療法、薬物療法に分けられるが、行動療法を患者指導することが特に重要であるということでした。行動療法は膀胱訓練、骨盤底筋体操、生活習慣の改善であるそうです。膀胱訓練はおしっこを溜める練習で、少しずつ排尿間隔を延長することにより膀胱容量を増加させる訓練法であるそうです。骨盤底筋体操は骨盤の底にある筋肉を鍛える体操で、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁に効果があるそうです。生活習慣の改善では、冷えないように注意すること、カフェイン、アルコール、香辛料、過度の飲水の制限、適度な運動の励行、便秘のコントロール、禁煙などであるそうです。薬物療法は抗コリン薬、β3受容体作動薬などであるそうです。

吉尾裕子先生によりますと、頻尿とは昼間頻尿は8回/日以上、夜間頻尿は1回/日以上が目安であるということです。注意しないといけないのは多尿や夜間多尿の場合もあるということでした。排尿状態や尿失禁のタイプを把握し排尿ケアを考える上で、排尿時刻と排尿量、尿失禁の状態を記録する排尿日誌が勧められるということでした。

吉尾裕子先生によりますと女性の排尿障害は妊娠、出産、老化、運動不足、肥満、便秘、女性ホルモンの低下などによる骨盤底筋機能の脆弱化が関与することがあるということでした。女性の3~4人に1人は経験するといわれている尿失禁の種類は咳やくしゃみで漏れる腹圧性尿失禁、急におしっこがしたくなり我慢できずに漏れる切迫性尿失禁、その両方がある混合性尿失禁などがあるそうです。腹圧性尿失禁の治療は骨盤底筋体操、生活習慣の改善、内服治療(β2作動薬)、手術治療(尿道スリング手術)などであるそうです。

吉尾裕子先生は以前に亀田メディカルセンター ウロギネ・女性排尿機能センターで研修をされたということでした。ウロギネコロジー:UrogynecologyとはウロはUrology:泌尿器科、ギネはGynecology:婦人科からなる造語で、泌尿器科と産婦人科の境界領域にある病気を治療する診療科であるそうです。骨盤臓器脱や排尿トラブル、排便トラブルなどが対象となり、日本では亀田メディカルセンターが先駆けであるそうです。

間質性膀胱炎は膀胱に原因不明の炎症が起こり、昼夜を問わず頻尿や膀胱容量の低下などをきたす疾患であるそうです。難病にも指定されているということでした。

吉尾裕子先生によりますと内科疾患と関連のある排尿障害が数多くあることや、患者様がまず、内科かかりつけ医での治療を希望される方が多いというデータから、まず内科かかりつけ医での治療を行い、困ったときには腎泌尿器科に相談することを勧めておられました。

私は専門外で、なかなか理解が難しい分野ですが、吉尾裕子先生は大変わかりやすく解説して下さいました。ありがとうございました。


 
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