先日、第3回ラグビードクター・カンファランスが開催されました。 開会の辞では公益財団法人日本ラグビーフットボール協会副会長坂田好弘氏が挨拶をされました。坂田好弘氏は選手時代に1968年の日本代表のニュージーランド遠征で、オールブラックス・ジュニア戦で4トライを挙げ、翌年にはニュージーランドに留学し、カンタベリー州代表やニュージーランド学生選抜に選出された伝説のプレーヤーです。坂田好弘氏は同志社大学学生の選手時代に、医療と関わった経験として大晦日に練習で下顎骨折を受傷し緊急手術を受けたエピソードなどを披露して下さいました。またその経験から絶好調の時ほど危ない、調子に乗るとダメ、と含蓄深いアドバイスを紹介してくださいました。 Ⅰ.基調講演の第1席は「ラグビーワールドカップ2019TM日本大会の成功に向けて」で演者は公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会事務総長島津昭氏でした。 2019年9月20日に、世界三大スポーツ祭典の一つであるラグビーワールドカップがいよいよ日本で開幕します。島津昭氏によりますとラグビーワールドカップ2019は、アジアで、そしてラグビー伝統国以外で初めての開催であり、正に「新たな歴史をつくる大会」となるということです。”4年に一度じゃない。一生に一度だ”というキャッチコピーのもと、全国12都市で44日間にわたり全48試合が繰り広げられるこのトーナメントを成功させるために、公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会では準備を進めているということでした。 ラグビーワールドカップの毎大会の優勝チームに渡されるカップは「ウェブ・エリス・カップ」で、1823年に英国のパブリックスクール、ラグビー高で、ウィリアム・ウェブ・エリス少年が当時の原始的フットボール(サッカーが生まれる以前の競技)のルールを無視してボールを持って走り出して、そのエリス少年がラグビーの創始者とされるエピソードから命名されたそうです。 ラグビーワールドカップ2019TM日本大会のトーナメントマークは日本の象徴となる朝日と富士山がワールドラグビーのマークと合わさったものですが、ラグビーにおける日本と世界の融合が示されているそうです。トーナメントマークのテーマは「ユニティ(Unity)」でラグビーワールドカップにとっての新しいテリトリーである日本(アジア)とラグビー伝統国の選手、ファンが「一体となって」ラグビーをグローバルスポーツにするためにアジアで初めての大会を「一緒に」作り上げること、日本の人々、そして全世界のラグビーファンがラグビーの精神を「共有」し、「団結」すること、そして開催都市を中心に日本全国が「結束」して、世界中から集まったラグビーファンをおもてなしし、素晴らしい体験をしてもらいたいという気持ちがこもっているそうです。 ラグビーワールドカップ2019TM日本大会の大会ビジョンは「絆 協創 そして前へ」で、日本と世界の人々を強い絆で結び、誰も経験したことのない、ラグビーと仲間たちの祭典を協創し、すべての人の輝く未来へ、進もう心ひとつに、というビジョンであるということでした。 島津昭氏は試合会場、キャンプ地の整備、参加チームや観客向けの医療サービス体制整備、大会ボランティア「TEAM NO-SIDE」の募集・研修、チケット販売の取り組みなど、ラグビーワールドカップ2019組織委員会の取り組みなどを紹介してくださいました。島津昭氏によりますと、ワールドカップスタンダード(世界基準)とされる大会準備は佳境を迎えており、その取り組みは大きな経済効果やラグビーの地平線を広げる「レガシー(遺産)」ともなるということでした。 Ⅰ.基調講演の第2席は兵庫医科大学整形外科主任教授吉矢晋一先生が「スポーツ外傷・変形性関節症における診断と薬物療法」を発表されました。 Ⅱ.基調講演は「Rugby World Cup (RWC) 2019の医務体制」を中村外科・小児科医院院長中村明彦先生が、「中高生の重症頭頚部外傷」を聖隷三方原病院脳神経外科部長佐藤晴彦先生が、「2020年に向けて、セブンス帯同ドクターとしての役割」を久留米大学・五反田病院院長五反田清和先生が発表されました。 いよいよ今年に開催されるラグビーワールドカップ2019TM日本大会を迎えるにふさわしい演題ばかりで、大変有意義な講演会でした。 |