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小児救急医療講習会

2018年12月24日(月) 院長ブログ

先日、名賀医師会におきまして小児救急医療講習会が開催されました。

演題は「応急診療所におけるアレルギー性疾患対応について」で講師は国立病院機構三重病院臨床研究部アレルギー疾患治療開発研究室室長長尾みづほ先生でした。長尾みづほ先生はアナフィラキシー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などについて、詳細に解説して下さいました。

長尾みづほ先生によりますとアナフィラキシーは「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」であるということです。アレルギー症状は皮膚症状、粘膜症状、呼吸器症状、消化器症状、神経症状、循環器症状などあり、臓器別の症状出現頻度は皮膚が92.0%、呼吸器が33.6%、粘膜が28.0%、消化器が18.6%、ショックが10.4%であるそうですが、皮膚症状のない場合もあり、その場合は診断が難しいということです。アナフィラキシーショックはアナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴うものだそうです。即時型の皮膚・粘膜反応はアレルギー反応以外で生じることが極めて稀であるため、それに呼吸器または循環器症状を合併すれば、アレルゲン曝露が確認できていない状況下でもアナフィラキシーと診断できるそうです。皮膚・粘膜症状を伴わない場合は、他の疾患や症候(窒息、痙攣、心筋梗塞、湿疹など)との鑑別が重要で、「アレルゲンとなり得るものへの曝露」を診断の必要条件とするそうです。アナフィラキシーショックは、アレルゲン暴露後に単独で生じる場合があり、ショックと判定する収縮期血圧は11歳~成人で90mmHgで、こうなるとバタッと倒れる人も多いそうです。

アナフィラキシーに対する医療機関での対応は、呼吸器症状、消化器症状、神経症状、循環器症状でグレード3であれば、アドレナリン筋肉注射を施行するということです。アナフィラキシーの消化器症状のためにトイレに行くときには、急激な体位変化や自律神経系の変調によってショックをきたすことがあるので注意が必要であるということです。また神経症状では評価項目として活気や眠気、頭痛、精神状態などがあるそうですが、興奮や不穏の精神状態もアナフィラキシーの神経症状であるそうです。安静を保つ体位にすることが重要であるということですが、安静を保つ体位とは、ぐったり、意識朦朧の場合には血圧が低下している可能性があるため、仰向けで足を15~30cm高くする体位を、吐き気、嘔吐がある場合は嘔吐物による窒息を防ぐために体と顔を横に向ける体位を、呼吸が苦しく仰向けになれない場合は呼吸を楽にするため、上半身を起こして後ろに寄りかかる体位をとらせるということでした。アドレナリン筋肉注射はアナフィラキシーに対する第1選択薬で、早期に行うことにより、アナフィラキシーによる死亡率や入院率を下げるために、アナフィラキシーと診断した場合は迅速に投与すべきであるということでした。投与部位は大腿中央部の前外側部です。アナフィラキシーの院外での対応については、緊急性が高いアレルギー症状への対応は、救急車を要請(119番通報)、ただちにエピペン注射液を使用、反応が無く呼吸が無ければ心肺蘇生を行う(AEDの使用)、その場で安静にする(立たせたり、歩かせたりしない!)、その場で救急隊を待つということで、チームワークが大切であるということでした。エピペン注射液の使い方は、①ケースから取り出す。②オレンジ色を下に向けてしっかりグーで握る。③青い安全キャップをはずす。④太ももの外側に注射する。⑤オレンジ色のニードルカバーが伸びているかどうか確認する。という手順であるそうです。服の上からでも注射できるということです。食物アレルギーの診療には詳細な問診が重要であるということでした。食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、原因食物の摂取単独または運動負荷単独では症状が出現せず、原因食物摂取後の運動負荷によってアナフィラキシーが誘発される疾患であるということでした。

長尾みづほ先生は気管支喘息の家庭内での対応についても解説して下さいました。急いで受診すべき喘息発作は、生活の様子として遊べない、話せない、歩けない、食事がほとんどとれない、横になれない、眠れないなど、全身の様子として顔色が悪い、ボーッとしている、または興奮している、暴れているなど、呼吸や脈の様子として、遠くからでも明らかにゼーゼーしていることがわかる、息を吸う時にのどや肋骨の間などがはっきりとへこむ、小鼻が開く、脈がとても速い、などがあるということでした。救急受診のタイミングについては苦しくて眠れない、気管支拡張薬の吸入や内服の効果が不十分、気管支拡張薬が手元に無い、強い喘息発作のサインがあるなどであるそうです。長尾みづほ先生は落ち着いて対応することが重要であるということで、日頃から発作の時にどうしたらよいのか考えておくことと(薬はありますか?どこに受診しますか?日中、夜間では?)症状を冷静に観察すること(強い喘息発作のサインはありますか?、気管支拡張薬で良くなっていますか?呼吸以外の症状はありますか?)が大事であるということでした。入院の適応は当初から大発作であること、外来で追加治療を含む治療を2時間行ってなお反応良好とならない、外来治療中に悪化が認められた、肺炎、無気肺、縦隔気腫、皮下気腫などの合併症がある、2歳未満の中発作以上でβ2刺激薬吸入に対する反応が良好で無い、などであるそうです。

長尾みづほ先生はアトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会委員のメンバーであるそうです。日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドラインと日本アレルギー学会アトピー性皮膚炎診療ガイドラインを統合して、アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018が作成されたそうです。アトピー性皮膚炎の薬物療法は抗炎症外用薬で、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏が有効であるということです。ステロイド外用薬は個々の皮疹の重症度に応じて適切なステロイド外用薬を選択し、病変の性状、部位によって剤型を使い分け、炎症を十分に抑制するように使用することが重要であるそうです。高度の鱗屑、痂皮の付着、高度の腫脹、浮腫、湿潤を伴う紅斑、丘疹の多発、痒疹結節、多数の掻破痕などは重症のサインであるということでした。小児の留意点として、基本的な治療方針は成人と変わらないが、個々の皮疹の重症度に応じた治療によって比較的短期間で寛解状態に導けること、しばしば低年齢ということで漫然とマイルドクラスのステロイド外用を続ける場合があるが、皮疹の改善が乏しい場合にはランクアップが必要であること、逆にベリーストロングでないと改善しない際には、他に皮疹の悪化要因がある場合もあるため、専門医のもとでコントロールしていくことが望ましいということでした。

ステロイド外用薬の使い方は大人の人差し指第一関節分の軟膏を大人の手2枚分くらいの広さの患部に塗るそうで、フィンガーチップユニットというそうです。塗り薬の塗り方のポイントは、塗る人の手や塗るところをきれいにしてから塗ることと、すり込まず患部に乗せるように塗ることだそうです。すり込むと患部に薬がつかない部分が出てくるためであるからということでした。つい、すり込んだ方が効果的かと思っていたのですが、これは意外でした。皮疹が十分に軽快した後もステロイド外用薬を継続する場合、ステロイド外用薬の塗布頻度を減らして保湿剤へ移行することが好ましい治療であるそうです。

専門外の私には少し難しいところも多かったですが、長尾みづほ先生は丁寧に詳しく解説して下さいました。ありがとうございました


 
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