先日、名賀医師会臨床懇話会が開催されました。特別講演は「新しい視点から診た今日のパーキンソン病」で演者は市立四日市病院脳神経内科部長家田俊明先生でした。 専門外の私から見ますと、パーキンソン病はあまり馴染みがなく特殊な疾患であるのかと思っていましたが、家田俊明先生によりますとパーキンソン病は稀な疾患ではなく、パーキンソン病患者は徐々に増加してきている可能性があるということでした。家田俊明先生によりますと吉本新喜劇で一昨年に亡くなられた井上竜夫さん等が演じておられたコミカルな老人の特徴は、年配で腰が曲がっており、手が震え、小股歩行で倒れやすいなど、高齢者に生じたパーキンソン病の特徴をよく捉えているということでした。家田俊明先生によりますと40歳代、50歳代で発症するパーキンソン病は神経変性疾患であるが、80歳代、90歳代で発症するパーキンソン病はエビデンスの確立はないものの、正常な老化の過程によるものである可能性があり、少量の薬が奏効する可能性があるので見過ごしてはいけないということでした。 家田俊明先生によりますとパーキンソン病の症状は運動症候として無動、筋固縮、安静時振戦、姿勢保持反射障害の四徴と非運動症候として自律神経症状、認知機能障害、感覚障害などがあるそうです。パーキンソン病は1817年にイングランドのジェームズ・パーキンソンが初めて報告し、病理ではレビー小体という特徴的な封入体が認められるそうです。レビー小体にはαシヌクレインというタンパク質が異常に蓄積しており、αシヌクレインは主に大脳新皮質、海馬、黒質、視床および小脳に発言する機能不明のタンパク質であるそうです。レビー小体はパーキンソン病をはじめとする神経変性疾患の原因と考えられているそうです。パーキンソン病はドーパミンの枯渇により起こるそうで、パーキンソン病の薬物治療ではドーパミン補充療法としてドーパミンの前駆物質であるL-ドパを投与するそうです。 脳内伝達物質であるドーパミンの代謝はドーパミン前駆物質であるL-ドパ→ドーパミン→ノルアドレナリン→アドレナリンとなるそうです。ドーパミンは「快」、ノルアドレナリンは「驚」、アドレナリンは「悩」の感情と関連しており、これら3つは三兄弟のように関連しあっているということでした。 家田俊明先生によりますとパーキンソン病は単なる運動症状を呈する疾患ではなく、感覚障害、自律神経症状、認知機能障害などをきたす総合診療的疾患であり、運動症状に対する治療はめざましい発展を遂げているが、非運動症状に対しては対処療法が主体であるそうです。薬物療法はL-ドパ、ドーパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬、COMT阻害薬、アマンタジン、抗コリン薬などであるそうです。 専門的なところは私には理解が少し難しかったですが、家田俊明先生のわかりやすい解説は本当に有り難かったです。ご講演を拝聴し、パーキンソン病をもっと幅広い視野で考えることの必要性を認識させていただきました。ありがとうございました。 |