先日、第2回ラグビードクターカンファランスが開催されました。基調講演Ⅰは「スポーツ外傷・変形性関節症における診断と救急処置(肩・腰・膝を中心に)」で演者は東京慈恵会医科大学スポール・ウェルネスクリニック診療部長舟崎裕記先生でした。基調講演Ⅱは「World Rugbyにおける脳振盪のマネジメント~エリートラグビーからコミュニティーレベルまで~」で演者は流通経済大学スポーツ健康科学部教授山田睦雄先生でした。基調講演Ⅲは「2017年女子ワールドラグビーにおける医療体制を経験して…」で演者は亀田総合病院スポーツ医学科部長代理服部惣一先生でした。土曜日の診療後に駆けつけましたので、基調講演Ⅱから拝聴いたしました。 基調講演Ⅱでは山田睦雄先生がWorld Rugbyにおける脳振盪のマネジメントについて紹介してくださいました。山田睦雄先生によりますとラグビーフットボールでは脳振盪に関するマネジメントは世界レベルで統一された基準で厳密に規定されており、他の競技と比較すると珍しいということでした。World Rugbyホームページ中のPlayer Welfareのページには脳振盪の受傷後から復帰に至るまでの対応について詳細に述べられていますが、山田睦雄先生によりますとプログラムの中で説明されていることは、基本的にラグビーの試合中に発生した脳振盪の対応はRecognize & Removeであるそうです。これはすべてのレベルのラグビーに適応されており、「脳振盪または脳振盪の疑いのある選手は退場にして再出場させない」というものであるそうです。World Rugbyが規定するエリートレベルの試合に関してのみ特別な脳振盪の対応を行っており、これがHead Injury Assessment (HIA)であるということでした。 基調講演Ⅲでは服部惣一先生が2017年8月に行われた第8回女子ワールドカップ・アイルランド大会に4大会ぶりに出場を果たした日本代表「サクラフィフティーン」のチームドクターとして帯同した経験を踏まえて、女子ワールドカップ大会での医療体制、女子ラグビーのエリートレベルでの外傷・傷害データ、女性アスリートに特徴的な問題である「月経」や女子アスリートに多いとされる「脳振盪」と「前十字靱帯断裂」、現場で有用であった携帯型超音波検査機器などについて報告して下さいました。大変、有意義な学会であったと思われました。 今回、学会の会場が東京大学伊藤国際学術研究センター「伊藤謝恩ホール」で開催され、こちらは東京大学赤門のすぐ隣であったために、私は初めて生で赤門を見ることができました。さすがに重厚で趣のある建築物でした。
|