先週放送の「ためしてガッテン!」は「新・現代病!世界に広がる謎の痛み」という題に惹かれて視聴いたしました。 皆さん、「スマートフォンサム」という言葉をご存じですか?実は私も初めて聞きました。「サム」とは親指のことです。世界中で普及しつつあるスマートフォンですが、スマートフォンを人差し指で操作していると問題ないのですが、親指で操作すると手首を痛めることがあり、これを「スマートフォンサム」と呼ぶそうです。 実はこれは母指狭窄性腱鞘炎なのですが、その成因について番組では興味深い解説をしていました。発生学的に人間の手指は、猿と同様に握る(指を屈曲する)動作が重要なので筋肉が発達しており、指を伸ばす動作は重要性が低いので指を伸ばす筋肉は弱いということです。さらに指を伸ばす筋肉は腱の部分が多く、親指を伸ばす筋肉の腱は手首の親指側を通っており、そこに腱が通るトンネルである腱鞘が存在するのです。また腱鞘は解剖学的にバリエーションがあり、内部に隔壁が存在する場合は、さらに腱鞘炎をきたしやすいということでした。つまり元々弱い筋肉である親指を伸ばす筋肉を酷使すると、腱鞘のところで炎症を起こしてしまい腱鞘炎発症し、手首の親指側の痛みを生じるということです。 それにしても手首が痛いのに、まさかその原因が親指にあったとは、確かになかなか気づきにくいでしょうね。 出演しておられた先生によりますと、以前はピアニストや美容師などの手を酷使する特定の職業の人に多かったらしいのですが、最近はごく普通の若者やサラリーマン、主婦にも多く見られるようになったということでした。その原因は親指の使いすぎなのですが、スマートフォンを親指で操作したり、パソコンのキーボードをよく使ったりすることにより起こることが多いそうで、世界中に?広がってきているそうです。 特定の年齢の女性に多いという特徴もあるようです。40~50歳代の女性で更年期に体内のホルモンバランスが変化し、炎症を抑える機能が低下して腱鞘炎を起こしやすくなるようです。また出産の前後にもホルモンバランスの変化に加えて、赤ちゃんを抱っこするときの親指の負担で腱鞘炎を起こしやすくなるようです。 番組でも紹介がありましたが手首の腱鞘炎のチェック法は親指を曲げて、他の4本の指で親指を軽く握り、親指側を上にした状態で手首を小指の側に軽く曲げて、手首に強い痛みが出れば手首の腱鞘炎が起きている可能性があるという方法で「アイヒホッフテスト」といいます。またこの手首の腱鞘炎は「ドケルバン病」とも呼ばれます。ともに外国人の名前で、一般にあまり馴染みはないでしょうね。 出演しておられた先生によりますと手首を守るために気をつけることは、まず痛みが出たときにもんではダメということです。炎症が起こっている部分をもむと、患部にダメージを与え症状が悪化するということです。スマートフォンが原因であれば親指の操作を避けてできるだけ人差し指などを使うことや、パソコンを使うときにはキーボードの手前にタオルを敷いてその上に手を乗せて操作することで親指の負担を減らすことなどが勧められるということでした。 症状が強いときや長引いているときは、整形外科の受診が勧められるということです。治療はサポーターなどによる患部の保護や、痛み止めの注射が中心になります。 私のようにアナログ人間で、スマートフォンの使用は人差し指超スロー操作をしている場合には、スマートフォンサムは無縁かと思われました。それもまた情けない話ですね。 |