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第1回医科・歯科合同研修会

2017年08月06日(日) 院長ブログ

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本日、三重県医師会館におきまして第1回医科・歯科合同研修会が開催され出席いたしました。講演1は「観血的処置時の抗血栓薬への対応」で講師は三重大学大学院医学系研究科循環器・腎臓内科准教授山田典一先生でした。

止血機能は出血を止める生体の防御反応で、不適切に過度に起こると病的血栓形成を招き、血流障害へとつながります。山田典一先生によりますと、脳血管で生じると脳梗塞、左心房(心房細動)、機械弁、心室瘤などで生じると脳塞栓症、全身塞栓症、心臓冠動脈で生じると心筋梗塞、末梢動脈で生じると四肢壊死、深部静脈で生じると深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症へとつながるそうです。抗血栓薬の使用目的と関連疾患について、動脈血栓は白色血栓(血小板血栓)で虚血性心疾患、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞などの疾患で起こり、治療薬はアスピリンなどの抗血小板薬であり、静脈血栓は赤色血栓(フィブリン血栓)で静脈血栓塞栓症、心房細動に伴う心原性脳塞栓、全身性塞栓症などの疾患で起こり、治療薬はワーファリンなどの抗凝固薬であるということです。わが国で使用可能な抗凝固剤はワーファリンの他にDOACと呼ばれる薬剤であるそうです。DOACはワーファリンよりそれぞれ半減期が短いという特徴もあるようです。山田典一先生によりますと日本循環器学会作成の循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドラインにおいて、抗血栓療法の適応は脳梗塞のうちアテローム血栓性梗塞、ラクナ梗塞などの非心原性脳梗塞の場合にはアスピリンなどの抗血小板療法が選択され、心房細動、左室血栓、急性心筋梗塞、人工弁置換などの心原性脳梗塞症はワーファリンやDOACなどの抗凝固療法、急性肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症などの静脈血栓塞栓症の場合はDOACなどの抗凝固療法が選択されるそうです。循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドラインや心房細動治療(薬物)ガイドラインにおいて至適治療域にPT-INRをコントロールしたうえでのワーファリン内服継続下での抜歯、白内障手術や抗血小板薬の内服継続下での抜歯、白内障手術はクラスⅡaで推奨されるということでした。消化管内視鏡や手術の場合でも出血軽危険度の場合は抗凝固薬や抗血小板薬も継続して行うが、出血高危険度の場合は休薬や代替薬の考慮が必要であるということでした。ワーファリン療法の代替として未分化ヘパリンを投与する方法をヘパリン橋渡し療法(ヘパリンブリッジ)というそうです。

科学的根拠に基づく抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドラインでは、ワーファリン服用患者で、原疾患が安定しINRが治療域にコントロールされている患者では、ワーファリンを継続投与のまま抜歯を行っても重篤は出血性合併症は起こらないことが推奨されており、逆にワーファリンを抜歯時中断した場合、約1%の患者において重篤な血栓・塞栓症が発症し、しばしば死の転帰をとる、と述べられているそうです。

出血リスクからみた手術・手技の分類では、抗凝固薬の中止が必要ではない手術・手技として、歯科治療では1~3本の抜歯、歯周外科治療、膿瘍切開、インプラント・ポジショニングなど、眼科治療として白内障、緑内障治療、手術を伴わない内視鏡、体表面の手術(腫瘍切開、皮膚の小切除など)が挙げられるそうです。出血高リスクの手術・手技としては、左側の複雑なアプレーション(肺静脈隔離術、心室頻脈)、脊髄麻酔、硬膜外麻酔、腰椎穿刺(診断目的)、胸部手術、腹部手術、整形外科の大手術、肝生検、経尿道的前立腺切除術、腎生検などが挙げられるそうです。出血高危険度の場合にワーファリン単独投与の場合にはINR治療域であるかヘパリンブリッジまたは一時的DOAC変更が考慮され、DOAC単独投与の場合には当日休薬またはヘパリンブリッジが考慮されるということでした。DOACの場合には、ピーク期を避けることも重要であるということでした。

山田典一先生はインフォームド・コンセントの重要性を指摘しておられました。抗血栓薬休薬に伴う血栓症発症のリスクと抗血栓薬継続投与に伴う出血のリスクについて患者と家族に十分なインフォームド・コンセントを行うことが重要で、抗血栓薬休薬していても出血が起こる可能性がことや抗血栓薬継続していても血栓や梗塞が起こる可能性があることも説明が必要であるということでした。

山田典一先生は抗血栓薬の観血的処置(手術)時の安易な中止は重篤な血栓症発症につながりかねず厳に慎むべきであり、観血的処置や手術時の抗血栓薬の取り扱いは、抗血栓薬を投与する医師と処置(手術)を行う医師とが情報を共有し個々の症例について中止に伴う血栓症発症リスクと出血リスクを十分に考慮して慎重に決定するべきであると述べられました。抗血栓薬中止に伴う血栓症は機能的予後不良であることから休薬しないことを基本とし、出血の高リスク群ではヘパリンブリッジを行い対処すると山田典一先生は述べられました。

山田典一先生の懇切丁寧な説明に、会場におられました歯科医師会、医師会両方の先生方が観血的処置時の抗血栓薬への対応に理解を深められた様子でした。この様な合同研修会は歯科・医科の相互理解を深め、共通認識を持ち、情報を共有するために有意義であると思われました。


 
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